憧れ(3話)
〔 数日後 ・ 九番隊 隊舎内 〕
隊員1: よぅ!
。
まだ居たのか?
隊員2: ここ何日か、見かけなかったから、辞めたのかと思ってたョ。
・・・・・・休んでました。
檜佐木副隊長が、「休め」って・・・。
隊員3: お前・・・檜佐木副隊長に、「俺達にやられた」って言ったのか?
言ってないョ・・・。
ただ、あの日・・・怪我したところ、見られちゃったから・・・・・・。
隊員1: まっ、何でもいいや。
の復帰祝いで・・・今日もやろうぜ、「訓練」!
隊員2: お、やろー、やろー!
俺、ここんところ、ついてねぇし・・・少し発散させてーからな。
え・・・・・・
あのー・・・・・・、出来ません・・・・・・。
隊員3: 何だって!?
訓練は・・・もぅ、やらない事に・・・・・・
隊員1: 寝ぼけてんのか、
!?
お前には、これくらいしか貢献出来る事ねぇだろー!
修兵:
。
( 全員が、声のする方を向いた )
檜・檜佐木副隊長・・・・・・。
修兵: この書類、阿散井に届けてくれ。
は・はい!
( 修兵から、書類を受け取った )
修兵: もぅ、いいのか・・・怪我は?
は・はい・・・。
あ・あの・・・ご・ご迷惑おかけして、申し訳ありませんでした・・・。
修兵: かけたのは、迷惑じゃなくて・・・心配だろ?
阿散井も心配してんだろうし・・・
早く行って・・・元気な顔見せてやれ。
・・・は?
修兵: 阿散井のやつ・・・
の事、凄く気にしてたぞ。
俺の顔見ると・・・「
どうですか?」って・・・。
え・・・・・・
そ・それは、きっと・・・
私が、檜佐木副隊長に「本当の事」を言ったかどうかをですね・・・・・・
確かめようとして・・・・・・
修兵: お前ら!
隊員1: はい!
隊員2: はい!
隊員3: はい!
修兵: 手合わせなら、俺がしてやる。
ついて来い。
隊員1: えっ・・・?
い・いえ・・・
お忙しい、檜佐木副隊長の・・・御手を煩わせる訳には・・・・・・
( 修兵が、3人を睨みつけた )
修兵: いつでも手合わせしてやる。
二度と
には、手を出すな。
でないと・・・・・・阿散井に殺られるぞ。
隊員2: 「あばらい」って・・・・・・六番隊の、阿散井副隊長の事ですか?
修兵: そーだ。
隊員3: な・何で、阿散井副隊長が・・・?
修兵: 俺が聞きてぇくらいだ。
何で阿散井と・・・急接近したのか・・・。
とにかく、
苛めると・・・阿散井が黙っちゃいねーぞ。
死にたくなかったら・・・
には、指一本触れねぇ事だな。
もういい。
下がれ。
隊員1: は・はい。
3人: 失礼しました。
( 3人が、走り去って行った )
檜・檜佐木副隊長?
修兵: ん?
あの〜・・・・・・
檜佐木副隊長は、何か誤解をされているようですが・・・
私と阿散井副隊長は・・・別に、急接近なんてしてませんし・・・
私がどうなろうと・・・阿散井副隊長には、全く関係ない事なので・・・。
( 修兵が
を見つめた )
修兵: ちっとも嬉しそうじゃねぇな?
は?
修兵: これから、好きな男に会いに行くのに・・・。
す・す・好きって・・・・・・あ・あの・・・・・・・・・・・・
修兵: あっ、赤くなった。
そんなにいいか? 阿散井が・・・・・・。
阿散井の事を想い・・・胸が高鳴り・・・自然と頬が染まってく・・・。
そ・そんなんじゃありません。
もし、顔が赤いとしたら・・・それは・・・・・・
それは、檜佐木副隊長とお話しているからで・・・・・・・。
修兵: 「下らねぇ話しなんて、早く終わんねぇかなー」って思ってんだろ?
まぁ、そう焦るな。
け・決して、そんな事は思っていません。
私は・・・・・・
本当は・・・ずっと、檜佐木副隊長の事が・・・・・・す・・・
修兵: 「好き」ってか?
嘘つけ!!
お前・・・この間、初めて阿散井に会ったんだろ?
はい・・・。
修兵: 初対面の男に、あれだけハッキリ「大好き」って言えるヤツが・・・
ずっと好きな男に・・・何の意思表示もなしか?
俺の誕生日にも、クリスマスにも・・・バレンタインデーにも・・・
お前、一度だって俺の所に、来た事ねぇじゃねーか?
そ・それは・・・恐れ多くて・・・・・・。
修兵: どーせ見るんなら・・・
俺の所に、プレゼントの1つも持って来て・・・
「コレ、どーぞ」って・・・頬染めた・・・・・・
の顔が、見たかったョ・・・。
阿散井じゃなく・・・俺を想って染まった・・・可愛い顔がな・・・。
檜佐木副隊長・・・?
修兵: 自分の部下には、好かれていてぇ・・・それだけだ。
はぁ・・・・・・、申し訳ありませんでした・・・。
次からは、必ずプレゼントを用意致しますので・・・
あ・あの・・・受け取っていただけますか?
修兵: 待ってるョ。
はい!
修兵: じゃぁ・・・・・・行ってよし。
はい。
(
が、その場を離れようとした時・・・ )
修兵: あ・・・、それと・・・・・・
はい?
修兵: 済まなかった・・・。
はっ?
修兵: 知ってて、止めなかった。
あいつらとお前の「訓練」・・・。
えっ?
修兵: ・・・早く行け。
阿散井に、手渡しだからな。
机の上とかに置いて、帰ってくるなョ。
はい。
(
が、走り去った )
修兵:
・・・・・・。
俺は・・・お前の事は、良く知ってるつもりだった・・・。
お前の入隊が決まった「あの日」から・・・
ずっと見守り続けてきたから・・・。
あの日・・・
東仙隊長に呼ばれて、行ってみると・・・隊長が・・・
「ボーダーライン、一人引き受けてきた。
当分は、目を離さないでくれ。」って・・・。
ボーダーラインってのは、入隊出来るかどうか、ギリギリの奴。
どこの隊も、出来るだけ優秀な奴が欲しいから
そういう、ギリギリの奴は採らねぇ。
でも・・・
どーいう訳か東仙隊長は、このギリギリの位置に居た
を
九番隊に迎え入れた。
隊長の前じゃ言えなかったけど・・・
俺は心の中で、「面倒くせーなー」って呟いていた。
今となれば・・・何で隊長が
を採ってきたのか・・・
俺だけは、分かってる。
が・・・それを、封印してしまっているのも俺だ・・・。
それはいいとして・・・
俺は、東仙隊長の部屋を出て、そのまま「そいつ」・・・
に、会いに・・・じゃなく、どんな奴か確かめに行った。
「あー、あいつか・・・」
第一印象は「小さくて可愛らしい女の子」って感じ・・・。
どー見ても、戦闘向きじゃねーが・・・
たとえ、ギリギリとはいえ、入隊のラインに達してる奴だ、
見かけで判断するのは良くねぇ・・・・・・。
が・・・・・・
そんなあいつに・・・あいつの可愛らしさに・・・・・・
俺は、自分でも気が付かねぇうちに、惹かれていった・・・。
あいつの入隊直後は・・・
俺は、自分の身体が空けば、必ず
を確認しに行った。
命令だからな。
この時は・・・嫌々行ってたんだ・・・。
遠くから、あいつに・・・
いや、あいつとあいつの傍にいる奴らに、気付かれねぇように・・・
あいつの動向を確認し、目で追って・・・って・・・
「俺は、ストーカーじゃねぇんだぞ!」
なんて、思いながら・・・。
「しかし、面倒くせーなー、毎日、毎日。
いつまで続けりゃいいんだョ・・・。
大して問題なんて、ねぇじゃねーか。
東仙隊長も、気の遣い過ぎだョ。」
と、思ってた矢先・・・
あの「奴らの訓練」が、始まった。
男3人の後ろを歩き、森に入って行った
・・・。
俺は、気付かれねぇように、木陰に隠れてその光景を見守った。
「
弱いから、俺達が鍛えてやる」と言って始まった「訓練」。
俺は、止めるべきか迷ったが・・・
武器は使わず、体術のみで攻める男達を見て・・・
そして、たまに洩れ聞こえてくる、男達の言葉の端々を聞いて・・・
「こいつら、
に対して悪意はねぇな」
ってのが、分かったので・・・
まぁ・・・ちと、やり過ぎな感はあったけど・・・
止めねぇで、見守った。
「じゃぁ、またな」と言って、帰って行った男達。
置いていかれた
は・・・
大の字で横たわり、天を仰ぎ・・・泣いていた・・・・・・。
「どうしたもんか・・・?」
すぐに出て行って、助けてやるのは簡単だ。
しかし・・・ココは弱肉強食の世界。
自分で何とか出来ねぇ奴は・・・最後は淘汰される。
「強くなれ、
・・・。自分の力で頑張るんだ。」
この日から、俺の態勢も変わった。
今までは・・・俺の空き時間に、
を追ってた感があったが・・・
この「訓練」の翌日からは・・・
を、完全に俺の管理下に置いた。
俺の権限で、
の任務を決めた。
内容は・・・「掃除」。
大勢でうろちょろされると、俺が・・・
を探すのが大変だし・・・
多分・・・
この辺りから、俺の気持ちが変化してったんだろうな・・・。
が、他の男とニコニコ話してたりすると・・・
無性にイラついた。
だから・・・
には、隊舎中の至る所の掃除を、一人でやらせた。
毎日・・・、毎日・・・。
周りの奴らも、
が弱いから通常任務に就けず
掃除をやらされてると思って、全く違和感は感じてなかった。
「済まん・・・、
・・・。」
屈辱・・・だョな・・・。
「掃除しか出来ねぇ
」
なんて・・・皆から罵られて・・・・・・。
周りが何と言おうと・・・
お前を認めてる男が、ココに一人居る。
お前は・・・
確かに強くはねぇが・・・
お前自身が思うほど・・・周りの奴らが思ってるほど・・・
そんなに弱くもねぇんだョ・・・。
「ただ・・・俺の傍に置いときてぇだけ・・・。」
「
を、危険な任務に就かせたくねぇだけ・・・。」
そして、奴らの訓練。
これは、席官のヤツに頼んで、きちんと見張らせた。
が、必要以上に傷つかねぇように・・・
それ以上に・・・
は女だ。
取り返しのつかねぇような事に、ならねぇように・・・
乱暴・・・されねぇように・・・。
そんな心配するくらいなら
一喝して、「訓練なんか止めさせちまえばいいんじゃねーか?」
そんな風にも、思ったが・・・・・・
「やられて、傷ついて、悔しい思いをする」って事も・・・
強くなる為には必要だと考え・・・
見張りをつけ、度が過ぎねぇようにやらせてた。
これは・・・
俺の間違いだったのかもしれない・・・・・・。
でも・・・
分かってくれ・・・
・・・・・・。
お前の怪我を見るたびに・・・
俺の心も、傷ついてたんだョ・・・・・・。
誰よりも・・・
を、傷つけたくないって思ってるのは・・・
俺なんだから・・・・・・。
To be continued 2006,12,13 up