憧れ(9話)





               〔 修兵の副官室から出た、 と恋次 〕



               檜佐木さんが、心配か・・・?




                はい・・・。




               演習で、イライラする事でもあったんじゃねーか?
               大丈夫だョ、あの人なら。




                はぁ・・・。

                でも・・・
                檜佐木副隊長・・・本気で怒っていた様に見えたので・・・。




               あのなー・・・
               少しは、俺の心配もしろョ。

               本気で殴りやがった・・・檜佐木さん・・・。

               俺が、あの人に何かしたか?




                も・申し訳御座いませんでした・・・。

                大丈夫ですか・・・?
                痛みます?




               大した事ねーョ、こんなの。

               あっ、そーだ。
               消毒兼ねて、酒でも飲みに行かねーか?




                はっ・・・?




               アルコール消毒だョ。
               切れてんの口の中だし・・・
               お前と・・・酒でも飲めば治っちまうョ。




                はぁ・・・。




               何だョ!?

               相手が俺じゃ、不本意だろうけど・・・
               あからさまに、そんな顔する事・・・ねーだろ・・・?




                い・いえ・・・
                そーじゃなくて・・・沁みるんじゃないかと、思いまして・・・。

                ちゃんと手当てなさった方が良いのでは・・・?




               少しは、俺の心配もしてくれるのか?




                凄くしてますョ・・・。
                いつも、ご迷惑ばかりおかけしてますし・・・。




               んっ・・・・・・・・・・・・。




                どーかしましたか・・・?




               お前・・・・・・
               可愛い顔してんだから・・・
               迫ってみろョ、檜佐木さんに・・・?




                えっ!!

                な・何言ってるんですか!?

                そんな事・・・絶対に出来ません!




               い・いや・・・
               変な意味じゃなくてさぁ・・・
               「一緒にどこか行きませんか?」とか・・・そんな感じで・・・。

               俺も・・・
               いつまでも「 の好きな相手」って思われてんのも・・・な・・・。




                申し訳ありません・・・。




               迷惑とか、そんなんじゃなくて・・・
               いいんだけど・・・さ・・・
               何か、複雑なんだョな・・・。

               俺・・・
                の事・・・可愛く思えて・・・愛しいっていうか・・・
               いつも頭の中に、 の顔が浮かんできて・・・




                阿散井副隊長・・・??




               い・いや、何でもねぇ。




                はぁ・・・。




               とにかく、俺も複雑なんだョ!

               だ・だからさぁ・・・思い切って・・・

               あれだョ・・・

               「当たって砕けろ」・・・なっ?




                砕けろ・・・ですか・・・。




               そうだ。
               砕けてこいョ。

               砕け散ったら・・・俺が・・・

               俺が、支えてやるから。




                あっ、いえ・・・最初からダメなの分かってますから・・・。

                砕け散ったら・・・・・・




               辞めるなョ!? そんな事で・・・。

                の力になりてぇって・・・
               心底思ってる奴も・・・居るんだぞ?

               振られて居づらかったら、六番隊にくればいい。

               俺が、鍛えてやるョ。
               掃除なんかしなくていいように。




                阿散井副隊長・・・・・・




               けじめ・・・付けてこいョ。

               今のままじゃ・・・
               俺、手も足も出せねぇし・・・。

               俺も・・・
               俺と の、この微妙な関係・・・打破してーんだョ。




                あっ!




               どーした?




                鍵・・・
                檜佐木副隊長の副官室の鍵・・・返すの忘れてました。

                今ならまだいらっしゃると思うので、返しに行って来ます。




               明日じゃダメなのか?




                出来れば、早く返したいので・・・。




               そーか・・・。

               一人で大丈夫か?
               俺・・・顔合わせねぇ方が良いと思うから・・・。




                はい。

                阿散井副隊長・・・今日は、ありがとうございました。

                お怪我・・・お大事に。




               あ、ちょっと待て。
               これ・・・団子・・・。

               もぅ、怒られねぇと思うから、持ってけョ。

               じゃぁな。




                はい・・・、ありがとうございます。

               (  が、深々と頭を下げた )




               おぅ。

               気を付けてな。




                はい、失礼します。

               (  が、走り去った )




               やっぱり・・・
               あの人には、敵わねぇな・・・・・・。

                          ・
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・

               〔 九番隊 隊舎内 〕

               ( 隊員達の声が聞こえてきたので、 は身を隠し、それを聞いた )



          隊員1: 檜佐木副隊長、悩んでたみたいだな。



          隊員2: 演習総括の時・・・険しい顔してたもんな。



          隊員3: 今日の演習の結果で、3人の首切るんだろ?
               誰、辞めさせるか・・・悩みどころだョな・・・。



          隊員1: 明らかにダメそうな奴は、居なかったしな・・・。



          隊員2: 一人は、 で決定だろうけど、あと二人選ばなくちゃならないし・・・
               気が重いだろうなぁ・・・。



          隊員3: そーだョなー。
                は、演習にさえ出れなかったんだから
               最初から、決まってたんだろうけど・・・
               あと二人・・・誰になるんだろうな?



          隊員1: 言い渡す方も、言われる方も・・・辛いだろうな・・・。



               ( 隊員達が去って行った )




                檜佐木副隊長・・・
                誰辞めさせるか、決めなくちゃいけないんだ・・・。

                だから、イライラしてたのか・・・。


                私は決定。


                あっ・・・、だからあんな事・・・・・・

                「想っている」とか「大好きだ」なんて言って
                私の気持ちを、任務以外に向けさせて・・・
                その事に因って、自然と
                私が辞めなきゃならない方向に、向かわそうとしたんだ・・・。


                「戦力外だ」って・・・ハッキリ言ってくれればいいのに・・・

                優しいな・・・、檜佐木副隊長・・・。


                鍵返したら、「辞めます」って言おう。

                こんなダメな部下でも、最後通告するのは、嫌なもんだろうから・・・。


                だから、私から・・・・・・辞めますって・・・・・・


                あれ・・・?
                何で涙が・・・・・・?

                今は、辞めたくないけど・・・
                辞める覚悟は、とうに出来てた筈なのに・・・。

                涙が止まらない・・・。


                もぅ・・・檜佐木副隊長に、会えなくなっちゃうんだ・・・。

                もぅ・・・こんな状態じゃ、言う事も叶わない・・・。


                「好きです」

                「ずっと、憧れてました」って・・・・・・。

                                                                To be continued            2007,5,27 up

 

戻る