掌
〔 夜
の部屋 〕
( 携帯が鳴る )
あっ・・・、葉月君からだ・・・。
( ピッ )
もしもし・・・。
もしもし・・・
か?
はい・・・。
お前・・・何で連絡してこないんだョ。
朝も・・・待ったりしてたんだ、俺。
あ・・・ごめんなさい・・・。
あ・あのね・・・
ちょっと風邪ひいちゃって・・・熱もあったりして・・・
葉月君にうつしちゃいけないと思って・・・朝、違う道で行ってたの・・・。
( 初めて・・・嘘・・・ついちゃった・・・ )
そうか・・・。
でも、電話くらいかけられるだろ・・・。
・・・そーだね・・・。
熱で・・・頭が「ポーッ」としちゃって・・・
何も考えられなかったの・・・ごめんね・・・。
・・・病気なら、仕方ないョな・・・。
きつく言ってすまなかった・・・。
もう、大丈夫なのか?
あ、うん。
じゃあ、明日・・・一緒に帰ろう。
この間と同じ場所で待ってる。
はい。
じゃあ、おやすみ。
おやすみなさい・・・。
( ピッ )
とうとう嘘ついちゃったなぁ〜・・・。
この間、葉月君が変な事言うから・・・
まあ、聞き違いかもしれないけれど・・・
何か、葉月君と顔会わせづらくなっちゃったョ・・・。
とりあえず、聞かなかった事にして、普通に接しようって決めたけど・・・。
でも・・・
葉月君の真意が分からないし・・・すごく不安・・・。
普通なら「好き」なんて言われたら、凄く嬉しいし・・・しかも
葉月君からなのに・・・。
葉月君からだから・・・信じられないし、どーしていいか分からない・・・。
もう、忘れよう・・・。
やっぱりあれは、何かの間違いに決まってる。
きっと葉月君自身も、そんな事言ったなんて憶えてないョね・・・。
明日は普通に・・・うん、それがいいョね・・・。
・
・
・
・
・
( 待ち合わせ場所 )
今日はうちのクラスの方が早く終わったから、先に来れて良かった〜。
「
ちゃん」
( 呼ばれて、声のする方を見ると・・・背の高い知らない男の人が立っていた )
ちゃんやろ
は・はい・・・。
フーン。
なかなかーなんかじゃなくて、ごっつ可愛いやんか。
えっ?
自分、彼氏おんのか?
姫条。
( 声のした方を見ると、怖い顔をした葉月君が立っていた )
葉月。
( 葉月君は何の反応も示さず、姫条君の横を通り・・・
私の手を掴み、かなり早足でその場から離れた・・・。
もちろん・・・私は駆け足状態で・・・。 )
( 背後から・・・声が聞こえる・・・ )
ちゃ〜ん、またな〜。
・
・
・
( 随分歩いてきて・・・葉月君が急に立ち止まった )
「ドスン!」
( 私は顔から、葉月君に勢いよくぶつかった )
いたたたた・・・・。
( 顔を上げると、目の前に葉月君の顔が・・・
「ウッ」叫びそうになったのを、必死にこらえ・・・
でも、視線を合わせる事は出来なかった )
大丈夫か?
う・うん・・・。
ごめんなさい・・・ぶつかっちゃって・・・。
いや・・・今のは俺が悪い。
ごめんな。
・・・うん。
あ・あのさぁ〜・・・さっきの人って、1−Aの人?
あぁ。
( な・何か葉月君凄く怒ってるみたい・・・話題変えた方がいいかなぁ〜)
あ・あのさぁ〜・・・。
えっと・・・これから何処行くの?
ん?
ごめん・・・何も考えずここまで来た。
えっ?
あ、そーなんだ・・・。
ここからだと・・・公園が近いから・・・公園行こうョ。
そーだな。
行くか。
うん。
( 次の瞬間・・・
葉月君が、掴んでいた私の手を離し・・・
そのまま、その手は・・・
私の掌と重なり・・・軽く握られた・・・)
( !!
ど・どーいう事??
私と葉月君、手なんかつないじゃって・・・。
葉月君のやる事・・・本当に分からないョ・・・。
何か、心臓がいくつあっても足りないくらい「ドキッ」っとする事ばかりで)
・
・
・
・
・
( 公園 )
今日は、池の方に行ってみようョ。
そーだな。
あそこのベンチにでも座るか。
うん。
( 当然、座ったら手を離すものだと思っていたが・・・
座っても・・・いっこうに手を離す気配がない・・・ )
あ・あのさぁ〜・・・
私、何か飲み物買って来るョ。
ちょっと待っててね。
あぁ。
( お前の手の感触、昔と変わらないなぁ〜。
小さくて・・・ちょっと柔らかくて・・・。
俺・・・その感触が大好きで、いつもお前と「手」つないでたョな )
・
・
・
・
・
やっと「手」が離れたョ〜・・・。
そりゃぁ、葉月君と手つなげるなんて、こんなにいい事はないけどさぁ〜。
でも・・・私達って別に付き合ってる訳でも何でもないのに・・・。
思考回路も心臓も、パンクしちゃうョ・・・。
下手に喜んで、後で辛い思いするのは私だもん・・・。
普通でいなきゃ・・・。
・
・
・
・
・
はい、これでいい?
あぁ、サンキュ。
あっ、葉月君、その指輪かっこいいね〜。
そうか?
うん。
葉月君、手も綺麗だもんね〜。
指もスラ〜ってしてて。
私なんて、手小さいし・・・指輪なんて全然似合わないからさぁ〜。
今度、作ってやるョ。
えっ?
お前に似合うシルバーリング。
作るって・・・
もしかして、それも葉月君が作ったの?
あぁ。
うゎ〜、凄いね〜。
葉月君って、何でも出来ちゃうんだね〜。
そんな訳ないだろ。
出来ない事の方が多いョ。
えっ・・・あ・・・はぁ・・・。
最近・・・仕事が多くなってきて・・・
休みの日まで入ってくるから・・・。
かなり時間はかかると思うけど・・・。
あ、はい 。
無理しないで下さい・・・。
必ず作るから・・・待っていてくれ。
はい。
それから・・・・・・。
はい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
葉月君?
1週間も連絡しないなんて・・・やめてくれ。
えっ?
丁度1週間前だョな・・・ここ来たの。
あっ・・・はい・・・。
病気なら仕方ない・・・でも、それは逆じゃないか?
えっ?
病気だったり、調子悪かったりする時こそ、傍にいてやりたい・・・。
俺・・・間違ってるか?
ううん・・・ごめんなさい・・・。
( 嘘ついちゃって・・・心が痛いョ・・・ )
・・・。
はい。
俺・・・お前を少しでも見失うと・・・不安になる・・・。
えっ?
そろそろ行くか。
あ、はい・・・。
( ベンチから立ち上がった瞬間・・・
葉月君が・・・手をつないできた・・・。
何だろう・・・この感じ・・・
葉月君と手をつないだのは、これで2回目・・・しかも今日。
なのに・・・何でこんなに自然なの・・・?
まるで、今まで何回もつないできたみたいに・・・。
葉月君・・・どうしよぅ・・・。
私・・・このままだと、本当に葉月君の事好きになっちゃうョ・・・。
手が届かないって・・・分かってるのに・・・ )
fin 2005,8,17 UP
あとがき
姫条君登場〜ですが・・・
管理人・・・関東生まれの関東育ちな為
多分・・・とてつもなくミステリアスな関西弁に
なっていると思われます・・・(汗
これから先・・・姫条君にはたくさんご登場
いただこうと思っておりますので・・・
そこのところは、目をつぶって下さいませ。