良い夢
恋次・・・私、決めたから・・・・・・。
何を?
私・・・結婚します!
え・・・???
まぁ・・・
恋次には、関係ない事だと思うけど・・・
でも・・・
背中を押してくれたのは、恋次だし・・・
恋次には、一番最初に報告しようと思って。
け・け・け・結婚!?
うん。
だ・誰と?
えっと・・・
「確か・・・三番隊の平隊員で・・・優しくて・・・結構格好良い人」
だったョ・・・。
「確か、三番隊」・・・って・・・
名前も知らねぇのか!?
うん・・・。
一度しか会った事ないし・・・
名前も、一回聞いただけじゃ憶えられないし・・・
でも、顔は・・・何となく憶えてるョ?
ほら・・・
あんまりじっと、顔見る訳にはいかないでしょ?
だから、ハッキリとは憶えてないんだけど・・・
また会えば、きっと分かる。
素敵な人・・・だった・・・と思う・・・。
寝惚けてんのか!?
名前も、素性も、容姿も、良く分かんねぇようなヤツと・・・
何が結婚だ!!!
冗談も休み休み言え!
え・・・・・・。
だって恋次が・・・・・・
「これが最初で最後のチャンスだぞ!
お前みたいなの貰ってくれるって・・・
そいつが、我に返る前に、とっとと結婚しちまえ。
いいか、一日も早く入籍するんだぞ!」
って・・・言ったんじゃない・・・?
俺が、そんな事言う訳ねぇだろー!
大体・・・そんな相談されてねーぞ?
されたとしても、俺は絶対反対だ!
何があっても反対で、
「
の縁談は、全てブチ壊せ!!」
これが、俺から俺への至上命令だ!
恋次・・・
そんなに私が嫌いなの・・・?
私の縁談ブチ壊す・・・って・・・
私には、結婚なんてさせない・・・
私なんか、一生一人で居ろ!・・・って事?
違う!!
お前は・・・
は・・・俺が貰うんだョ!
他のヤツになんか、絶対渡すか!
恋次は酷いョ・・・。
「さっさと結婚しろ」って言ってみたり・・・
「縁談はブチ壊す」って言ってみたり・・・・・・。
あのなー
俺がいつ「結婚しろ」なんて言ったんだョ??
俺は、そんな事言った憶えねーぞ?
言う訳がねーんだョ。
「いつ」って・・・昨日・・・。
昨日?
昨日は・・・俺とお前・・・会ってねーだろ・・・?
昨日・・・・・・
だから、昨日は会ってねぇ・・・・・・
夢の中で・・・。
・・・・・・えっ?
夢の中・・・?
うん。
恋次だったョ。
私、ハッキリ憶えてるもん。
夢って・・・
それは、俺じゃねぇだろ・・・?
恋次だもん。
いや・・・
夢に出てきたのは、俺かもしんねぇけど・・・
それは・・・俺じゃねぇだろ・・・?
じゃぁ誰?
見掛けも・・・声も・・・全部恋次だったョ?
だから・・・夢だろ?
夢の中の俺は・・・お前が作った俺で・・・俺じゃねぇ・・・だろ?
恋次しか居ないもん。
私がこんな事相談出来るの・・・。
だ・だから・・・
「結婚しろ」って言ったのは、夢の中の俺・・・だろ?
( 夢の中でも、絶対言わねぇと思うけどな・・・ )
それは・・・架空の俺で・・・・・・・俺とは違う・・・・・・
私は・・・
私は・・・恋次が大好き・・・。
恋次と、もっと仲良くなって・・・
恋次の彼女になって・・・そして・・・
いつの日か・・・
恋次のお嫁さんに・・・なりたかった・・・。
・・・
?
大好きな恋次に・・・「結婚しちゃえ」って言われて・・・
諦めもついたし・・・決心したの。
恋次を好きでいても・・・どーにもならないんだって・・・。
お・お前・・・・・・
そ・それ・・・本気か?
本当に・・・俺の事・・・好きなのか??
うん。
いつも言ってるでしょ?
「恋次、好きだョ」って・・・。
でも・・・恋次はいつも知らん顔・・・。
「俺は、好きなヤツがいるからさ」・・・って・・・。
・・・・・・はっ???
俺・・・
お前から告白された事なんて、一度もねーぞ?
まぁ・・・
「好き」とは言ってくれるけど・・・それも、友達としてだし・・・
お前に「好き」なんて言われてたら・・・
今頃、とうに夫婦になってるョ。
恋次は・・・
私が、恋次の事好きなの知ってて・・・
それでも・・・
「確か、三番隊の・・・名前も分からないような人」と・・・
「結婚しろ」って・・・・・・。
酷いョ・・・。
な・何言ってんだョ??
俺は・・・
に好かれてるなんて・・・
思いたくても、思えるような状況じゃなかったし・・・・・・。
それにだな・・・
「確か三番隊で、名前も分かんねぇ」っていうのは
お前が悪いんだろ?
告白してきたヤツの身元くらい、ちゃんと憶えてこいョ。
まぁ・・・
何はともあれ・・・・
が俺を好きなら、何も問題ねーョ。
一緒になろうな。
無理だョ・・・。
だって・・・
もう・・・「確か三番隊の人」と、入籍しちゃったもん・・・。
えっ!!!!!
だって・・・名前も分かんねぇんだろ?
うん。
私が先に、婚姻届に記入して・・・
「出しておいて下さい」って、渡しちゃったから・・・。
冗談だろ!!??
そ・それ・・・いつだ?
恋次に会う直前。
こうしちゃいらんねぇ。
すぐに取り返してくるから、自分の部屋で待ってろ。
恋次・・・もぅいいョ・・・・・・。
私・・・
一番好きな恋次とは、結ばれなかったけど・・・
きっと・・・幸せになるから・・・。
良い訳ねぇだろー!
俺が良くねぇ!
を幸せにするのは、俺なんだョ!
と・とにかく、今は話してる暇ねぇから、ちゃんと部屋に居ろョ・・・
冗談じゃねーョ・・・・・・
隊員: 阿散井副隊長、随分うなされてますね・・・。
このまま何もしなくて、ただ寝かせておくだけで大丈夫でしょうか?
何か解毒剤のようなものでも・・・?
副隊長、「もしも」の為に、お作りになっていたでしょう?
大丈夫。
睡眠薬飲んだだけだから。
隊員: でも・・・
沢山飲まれたようですし・・・
すごい汗の量ですョ?
恋次の事だから・・・
きっと、夢の中でも戦ってたりするんだョ。
隊員: それが・・・
阿散井副隊長の「良い夢」なのでしょうか?
この「
副隊長特製の開発中の睡眠薬」は・・・
飲んで寝ると「良い夢が見られる」という効果があるんですョね?
そーなんだけど・・・
まだ「開発中」だからね・・・。
薬の効果については、何も言えないな・・・。
それに・・・この「ひと瓶」全部飲んじゃったからね・・・。
1回量の20倍・・・。
恋次の事だから・・・身体には異常ないと思うけど・・・
もしかしたら・・・
「良い夢」が「悪夢」に変化しちゃってるかもしれないね。
隊員: ですから・・・
薬は特別な容器にお入れ下さい・・・と・・・。
ジュースの瓶に、オレンジ色の、しかも甘い液体なんか入れておいたら
間違って飲む方がいらっしゃるかもしれませんし・・・。
恋次がいけないんだョ・・・。
私の部屋に勝手に入って・・・
机の上に置いておいた「薬」、勝手に飲んじゃうから・・・。
まぁ・・・
「良い夢」を見る事に主をおいた、睡眠効果の少ない薬だから
一杯飲んじゃっても、身体に害はないし・・・
放っておけばいいョ・・・。
「ほら!
!!取り返してきたぞ、婚姻届!」
あ・・・恋次・・・。
起きたの?
えっ?
あ・あれ・・・?
婚姻届は?
確かにこの手に・・・握ってたはずなのに・・・?
婚姻届?
そーだョ!
が、三番隊のヤツに渡した物と、もう一枚・・・
俺が
に渡そうと思って、貰ってきた・・・計二枚・・・
どこいった・・・?
恋次・・・?
良い夢だった・・・?
えっ!?
良くねーョ!
全然良くねぇ!
ヤツが、婚姻届出した後だったら、大変な事になってたんだぞ!?
でも、まぁ・・・取り返せたし・・・
が・・・俺の事「好き」って言ってくれたし・・・
お前と結婚出来そうだから・・・
「良い夢」だった・・・・・・夢??
えーーーーー!?
「夢」だったのか、あれ?
だ・だって・・・スゲェ「リアル」だったぞ?
起きた事・・・全てハッキリ憶えてるし・・・・・・。
「良い夢」は、憶えていたいじゃない?
だから、一生懸命研究したの。
成功みたいだね。
良かった。
って事は・・・
!
お前、俺を実験台に使ったのか!?
いつ、何処で、一服盛った!?
この瓶、見覚えない?
あ、それ・・・さっき俺が飲んだ・・・
えっ?
そ・それ・・・薬だったのか?
そーだョ。
甘くて・・・美味かったぞ?
が作った薬とは、思えなかったから・・・全部飲んじまった。
これから、心安らかに眠り、良い夢を見ようって前に飲む薬が
凄く苦かったり、不味かったら台無しでしょ?
そ・そりゃそーだけど・・・
作れるんなら、いつも甘い薬にしろョ!
の薬は、不味過ぎる!
不味いなんて言うのは、恋次だけだョ。
ごく少数意見は、取り入れられません!
他の奴らは、三席以下で・・・
お前に意見なんて、言えねぇだけだョ。
それに・・・お前の薬は、確実に効くし・・・
怪我人が、文句なんて言える立場じゃねーもんな・・・。
私の薬が嫌なら、飲まなきゃいいじゃない・・・。
もぅ、恋次には試飲も頼まないから安心して。
この睡眠薬だって・・・
新しく出来た「お友達」に飲んでもらおうと思って
用意しておいたのに・・・。
友達って・・・男か・・・?
うん。
えっと・・・
確か、三番隊の・・・・・・
えっ!?
そいつはやめとけ!
二度と会うな!
何で?
悪い予感がするんだョ。
早々に・・・婚姻届・・・渡してくるとか・・・。
大体・・・あんなヤツのどこが良いんだョ!?
恋次・・・何で知ってるの?
それは・・・
まぁな・・・夢の中で・・・・・・。
婚姻届って、初めて見たけど・・・・・・
何ー!?
お・お前・・・そんなもん貰ったのか?
うん。
コレ・・・・・・
( 恋次が、その紙を奪い取った )
お前なぁ・・・
名前も知らねぇヤツから、こんなもん受け取るな!
欲しけりゃ、俺が何枚でもくれてやるョ!
別に・・・
それだけ貰った訳じゃなくて・・・
プレゼントの大きな箱を貰って、その中に色んな物が入ってて
その中の1つだョ・・・。
とにかく、そいつとは絶対会うな!
いいな!?
うん・・・。
全く・・・正夢かョ・・・?
でも・・・正夢だとしたら・・・
は・・・俺を好き・・・って事か・・・?
確かに「好き」って・・・言ってたョな?
それなら・・・
おい!
!
この婚姻届に、お前の名前・・・書け。
えっ?
相手は・・・俺だ。
婚姻届を書く練習?
練習じゃねーョ!
俺とお前は・・・夫婦になる。
恋次・・・寝惚けてるの?
は言った。
俺が好きだって。
俺の嫁さんになりてぇ・・・って・・・。
はっ?
そんな事言ってないョ?
言ったんだョ。
俺の夢で。
夢・・・?
それは・・・夢で、現実じゃないでしょ?
お前の論理だろ!?
夢の中に出てきたのは・・・
確かに
で、
以外の誰でもねぇ。
あれが
じゃなかったら、誰なんだョ?
・・・・・・?
とにかく、ソコに名前書きゃ良いんだョ。
そーすれば・・・
俺と
の・・・
バラ色の未来が待っている・・・。
恋次・・・・・・。
薬、強すぎたかな・・・・・・?
やっぱり、解毒剤が必要だったのかもね・・・。
fin 2008,6,26 up