嫌い・・・

               ( 薬屋からの帰り道 )


                副隊長〜。

                あっ・・・鳳君・・・。

               あの・・・それ、お持ちしますョ。

                えっ・・・、あー・・・でも・・・。

               貸して下さい。

                ありがとう・・・。
                あ・あの・・・鳳君・・・?

               気になさらなくて、結構です。
               もう・・・済んだ事ですから・・・。

                でも・・・、ごめんなさい・・・。
                本当は、ちゃんと謝りに行かなくちゃいけないのに・・・・・・   
                勇気がなくて・・・。

               いえ・・・
               あなたを苦しめた・・・俺がいけなかったんです・・・。
               本当は・・・あなたの前に顔なんて出せたもんじゃないんですけど・・・。
               でも・・・俺・・・やっぱりあなたが・・・・・(好きで・・・)

               あのー・・・
               許してもらえるなら・・・
               前みたいに、買い物のお手伝いさせていただけませんでしょうか?

                えっ?
                いいの?

               はい。
               俺が、あなたの為に出来る事って・・・
               こんな事くらいしかありませんから・・・。

                こんな事じゃないョ〜・・・凄く助かるもん。
                でも・・・私・・・あんなに酷い事しておいて・・・。
                やっぱり申し訳ないョ・・・。

               そんな事ないです。
               あれだけ・・・嫌がってたんですから・・・。

                えっ?
                あ・あのさぁ〜・・・嫌がってた訳じゃ・・・・・・

               もう、いいんです。
               前みたいに・・・普通にしていただけるなら・・・それだけで、十分です。

                あ・あの・・・
                こちらこそ・・・よろしくね・・・。

               はい。

                そー言えばさぁ〜・・・
                鳳君って、親睦会には出てないョね〜・・・。

               あー・・・、はい。
               親睦会には、登録していませんから・・・。

                あー・・・そーなんだ・・・。

               はい。
               あっ、別に 副隊長のせいじゃないですからね〜。

                えっ・・・あ・・・うん・・・。

               うちの連中・・・失礼な事してませんか?

                ううん、皆凄く良くしてくれてるョー。
                本当にありがたいと思ってます。

               そーですか、なら良かった。
               あー、そー言えば・・・プール、行かれたんですョね〜。

                えっ・・・・・・・。
                うん・・・・・・・。

               皆、言ってましたョ、 副隊長・・・可愛かったって。

                えーー・・・・・・・。
                あぁ・・・きっとそれ、水着が可愛かったんだョ。

               そんな事ないと思いますョ。

                えっ?

               うちの連中なんて、自分とこ帰ってきたら、言いたい放題ですから。
               そいつらが、口々に「可愛かった」って言ってましたから。

                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

                副隊長・・・泳ぐのお好きですか?

                えっ・・・
                あー・・・、好きとかいうレベルじゃなくて・・・泳げないの・・・。

               そーなんですか・・・。

                うん。
                何か・・・「浮いてるだけ」って感じ・・・。
                鳳君は、泳ぐの好きなの?

               えっ?
               あ、はい。
               泳ぐのは・・・得意な方かなぁ〜。

                へぇ〜、いいねぇ。

               えっ?
               あ・あのー・・・もしよろしかったら、教えますけど・・・。

                えっ・・・あー・・・いいョー・・・。
                私ね〜・・・余りにも無様だからさぁ〜・・・。
                なるべくプールとかには近づかないようにしてるの・・・。
                この間も・・・1回も水の中に入らなかったョ・・・。

               ・・・・・・・・・すいません・・・。
               俺・・・何て事・・・・・・・・・・。

                えっ?

               教えるだなんて・・・副隊長に対して・・・。

                えー、そんなの気にしなくていいって。

                それじゃぁー・・・
                そにうち、決心がついたら・・・教えてもらうから。
                でも、すご〜く覚えの悪い生徒だからね〜、きっと苦労するョー。

               えっ?
               あ、はい。
               俺、泳ぐのだけは、自信ありますから。

                うん、その時はよろしくね。

               はい。




                よう!

                あ、恋次。

               あ・阿散井副隊長・・・。

                また持たされてんのか?
                お前も大変だなぁ〜。

               あ・・・いえ・・・
               これは、自分が持たせていただいてるだけで・・・。

                そんなに気遣わなくたっていいって。
                こいつなんて、甘やかすと、すぐつけあがるからョー。
                仕事関係以外は、普通に接してればいいんじゃねーか?

               はぁー・・・でも・・・。

                まぁ、俺がどーこーいう事じゃねーけどなぁ・・・。
                でも、お前が必要以上に下手に出る事で
                逆に、 の方が心痛めてたりもするんだぜ。
                二人で居る時くらいは、友達でいいんじゃねーのか?

               はい・・・。
               あ・あの・・・それじゃあ俺・・・この辺で・・・。
               阿散井副隊長・・・申し訳ありませんが・・・
               「これ」持って行っていただけますか?

                ん?
                いーけど。

               あ、じゃあ・・・お願いします。
               では・・・失礼しました。

                あ・・・鳳君・・・。

               また・・・お手伝いしますので・・・すいません・・・。

                えっ・・・、うん・・・ありがとう〜。




                俺・・・邪魔したか?

                えっ?
                そんな事ないと思うけど・・・
                でも・・・きっと・・・

                何だョ。
  
                うん・・・・・・。
                鳳君・・・私と恋次の事・・・勘違いしてると思う・・・。

                そーなのか?

                うん・・・多分・・・。



                なぁ・・・この後少し時間とれるか?

                えっ?
                うん、大丈夫だョ。

                じゃあ・・・少し話し・・・しねーか?

                うん、いいけど・・・。
                何か恋次・・・元気ないね〜・・・。

                そんな事ねーョ。
                具合も悪くねーし、ケガもしてねーからな。

                うん・・・。

                          ・
                          ・
                          ・


                この辺にでも座るか・・・。

                うん。


                鳳も・・・勇気あるョなぁ〜・・・。

                えっ?

                ちゃんと自分の気持ち・・・ に伝えたんだろ・・・。

                えっ・・・・・・・・・・・。



                なぁ・・・。

                ん?

                俺が・・・・・・・・・
                もし、付き合ってくれっていったら・・・
                お前・・・なんて答える?

                えっ?  
                恋次が?

                あぁ・・・。

                断るョ。

                ぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

                だって、どーせからかってるか、試してるかどっちかだもん。
                そんなのに、一々引っかかってられません。

                そーか・・・。

                うん。




                俺さぁ・・・。

                ん?

                明日・・・・・・・・・・
                大きな仕事しに行くんだョ・・・・・・。

                大きな仕事って・・・もしかして・・・強い相手って事?

                まぁ・・・そーいう事だな。

                でも、恋次強いんだから、大丈夫なんでしょ?

                ん?
                まぁ・・・普通ならな・・・。

                普通って・・・どーいう事?

                あんまり・・・やる気が起きねーんだョ・・・。

                えっ?
                何で?


                俺・・・・・・・・・・
                明日・・・勝って帰って来て・・・何かいい事あんのか?ってさぁ〜。
                明日だけじゃなくて・・・その次も、次も・・・・・・・
                勝ったって・・・何にもいい事ねーじゃねーか・・・って思ってさぁ〜。

                えっ?
                どーして?
                そんな事ないでしょ〜・・・大勢の人が助かるじゃない。


                でも・・・
                その大勢に、いくら感謝されても・・・
                俺の心は・・・満たされねーんだョ・・・。

                ある1人が・・・全然俺の方・・・見てくんねーからなぁ・・・。

                あぁ・・・恋次が好きな人の事・・・・・・・。


                俺なんて・・・
                もうこのまま帰って来なくても・・・いいような気がしてョー・・・。
  
                何言ってんの?
                そんなのダメだョ・・・。

                ん?
                少しは・・・心配してくれるんだ・・・。

                少しじゃないョ・・・。
                凄く心配になっちゃうョ・・・。

                恋次がそんな事言うなんて・・・。



                じゃあ・・・
                俺に少し・・・力くれるか?

                えっ?
                力って・・・私、力なんてないけど・・・。

                そーいう力じゃねーョ。
                心に力をくれって言ってんだョ。

                私にそんな事出来るの?

                あぁ、 にしか出来ねーんだョ。

                出来るんならやるけど・・・。



                嘘でいいから・・・言ってもらいたい言葉がある・・・。

                うん。

                さっきお前・・・
                「れんじがすきなひと」って言ったョなぁー。

                えっ?
                あー・・・うん。

                それの・・・下3つの字・・・とってくれ・・・。

                えっ?
                下3つ・・・・・・・・
          
                れんじが す き   な   ひ    と・・・・・・・。

                れんじがすき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

                「恋次が好き」・・・・。



                あぁ、それ。

                えっ・・・・・・・。

                俺の目・・・見て言ってくれ。

                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

                嘘でもダメか・・・?


                これ言ったら、勝って帰って来るの?

                どーかな・・・。
                でも・・・少なくても、今よりは頑張れる気がすんだ・・・。




               ( 二人の視線が合った )


                恋次が

               ( 涙が・・・溢れ・・・ )

                              好き・・・・・・。


                何だョ・・・。
                泣くほど嫌なのかョ・・・・・・・。



               (  が恋次に抱きついた )


                もう、言ったんだからね〜・・・。
                だから・・・
                だから・・・絶対帰って来てョね・・・。


                えっ?
                 ・・・。

                大丈夫だョ。
                勝って帰って来るョ、 のところに。

                本当に?

                あぁ。
                俺が負ける訳ねーだろー。


               (  が恋次の顔を見上げ、恋次が の涙を拭った )


                もう泣くなョ。
                何も心配いらねーョ。

                お前・・・俺の事・・・待っててくれんだろ?

                うん。

                なら、絶対帰ってくるョ。

                うん。



                あー・・・
                今、泣かせたの・・・恋次だからね・・・。

                自分で勝手に泣いたんだろ?
                俺は関係ねーョ。
                大体・・・お前、すぐ泣き過ぎなんだョ。
                大した事じゃねーのに、ビービー泣きやがって・・・。

                でも・・・

                今のは・・・

                嬉しかったョ・・・。



                あっ、さっきの言葉・・・もう1回言ってくれョ。

                えっ?

                お前泣いたから・・・
                何て言ってんのか、よく分かんなかったんだョ。

                嫌だョ。
                もう、2度と言わないもん。


                そーか・・・。
                俺なんか帰って来なくていいって事か・・・。
                結局・・・冷てーヤツなんだなぁ〜・・・ は・・・。

                えっ・・・。

                頑張ろうと思ったけど・・・
                今ので、テンション下がったョ・・・。
                もう・・・どーでもよくなった。
                 と会うのも・・・今日が最後だな・・・。



               



                     「恋次が好き」 でも 「恋次なんて大嫌い」

               




                これでいい?


                それで力出せってのか?
                無理に決まってんじゃねーかョ・・・。

                恋次も細かい事、言うんだね。

                細かい事じゃねーだろーョ。
                もーいいョ・・・。

                あーぁ・・・・・・。
                お前にこんな事頼まなくちゃ、やる気も出ねーなんて・・・・・・
                俺・・・どーしちまったんだろーなぁ〜・・・。


                恋次・・・ちゃんと帰ってくるんだョね〜・・・。

                帰って来て欲しいか?

                うん。

                そーいうとこだけは、素直なんだからなぁ〜・・・。
                突き放すか、優しくするか・・・どっちかにして欲しいョ・・・。

                えっ?

                帰って来て欲しいけど、言葉は言えねーんだろ?

                うん。

                「うん」じゃねーョ。

                そー言えば・・・さっき・・・
                鳳と、何話してたんだョ・・・。

                ん?
                あー、今度泳ぐの教えてもらうの。

                えっ?
                泳ぐの・・・・・って・・・・・プールでか・・・?

                当たり前じゃん。
                何言ってんの? 恋次。

                お前・・・プール好きじゃねーって、言ってたじゃねーか・・・。

                うん。
                でも、泳げれば楽しいかもしれないでしょ?
                鳳君、泳ぐの得意だって言ってたからさぁ〜。

                 が・・・・・・頼んだのか?
                教えてくれって・・・・・・・。

                そーだョ。



                お前・・・・・・鳳には優しいんだな・・・・・・。

                えっ?

                そーだョなぁ・・・。
                あの時・・・ が俺んとこ、知らせに来なきゃ・・・・・・
                今頃、お前ら付き合ってたんだもんなぁ・・・・・・・・・・。

                やっぱり俺は・・・・・・・・・・・・・ダメだなぁ・・・・。

                ダメって・・・何が?


                あいつには・・・自分のすべてまかせてもよくて・・・・・・

                俺には・・・嘘でも・・・好きって言えねーんだろ・・・・・。


                えっ?
                さっき、言ったじゃない。

                あんなの言ったうち入いんねーョ。
                大体・・・「嫌い」の方には・・・「大」がついてんじゃねーかョ・・・。




                もーいいから・・・・・・・
                「嫌い」の方だけ言ってくれョ・・・10回でも100回でも・・・。

                何で?

                それの方が・・・俺には・・・いいんだョ。

                恋次・・・私の事嫌いなの?

                お前、人の話しちゃんと聞いてんのか?
                俺が、 の事嫌いな訳ねーだろ。
                こんなにずーっと一緒にいて・・・そんな事も分かんねーのか?


                信じなくてもいいから・・・笑うなョ・・・。




                俺は・・・ が大好きなんだョ。

                何でか分かんねーけど・・・大好きで・・・・・

                言葉になんねーほど、大好きなんだョ!


               


                お前には、通じねーみたいだけどな・・・・・・。


                恋次?

                だから、どーって事じゃねーョ・・・。
                忘れてくれ。

                今度は、お前の番だからな。
                「嫌い」って言えョな、「大」つけてもいいから・・・。

                「嫌い」って言ったら・・・帰って来てくれるの?
                さっきは「好き」って言ってくれって・・・言ったのに・・・。

                えっ?
                だってお前、「好き」って2度と言わねーんだろ。
                だったら、さっさと嫌われた方が・・・ずっと楽なんだョ・・・。
                ゴチャゴチャ言ってねーで、早く言えョ。
                さっさとふっきって・・・・・・・・・
                明日・・・行きてーんだョ・・・・・・。

                「嫌い」じゃないもん・・・。

                えっ?

                本当は、恋次の事「嫌い」じゃないけど・・・
                言えっていうなら・・・言うョ・・・。



                恋次なんて嫌い・・・。嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌い・・・・・

               (涙が・・・・・・流れ・・・・・・・)




                       恋次なんて嫌いだョ。

                       でも・・・絶対帰って来てョ・・・。

                       恋次が帰って来なかったら・・・・・・・

                       私も・・・・・・・・・・死ぬョ・・・・。

                       だって・・・

                       ずっと一緒にいたいもん・・・。

                       死んでも・・・一緒にいたいから・・・・。

                       でも・・・

                       でも・・・やっぱり死んじゃ嫌だからね・・・。

                       絶対・・・帰って来てね・・・。



                 ・・・・・・。

                お前・・・・・・。



                 はやっぱり変なヤツだなぁ・・・。
                それだけの事言えて・・・
                「好き」って言えねーなんて・・・。

                俺・・・どー受け取ったらいいんだョ・・・。
                まぁ・・・「嫌いじゃない」って言ってくれたから・・・
                「良し」とするか・・・。


               ( 恋次が の涙を拭った )


                お前、俺が負けると思ってんのか?
                そんなの、ありえねーョ。
                「死ぬ」なんて、縁起でもねー事言うな。
                お前の1番嫌いな言葉だろ。

                恋次・・・普通になったの?

                えっ?

                普通なら、勝てるんでしょ・・・。

                お前・・・面白い事言うョなぁ。
                まぁ、そこが可愛かったりもするんだけどな。

                恋次?

                んっ・・・あぁ・・・
                普通以上だから、大丈夫だョ。

                あぁ・・・ さぁ〜さっき・・・
                「俺とずっと一緒にいたい」って言ったョなぁ〜。

                えっ?
                そんな事言ったっけ?

                言った!!
                絶対言ったョ。
                それって・・・どーいう意味だ?

                えっ?
                よく分かんない・・・。

                逃げんのか? ずるいぞ。

                う〜ん・・・今まで通りって事だョ、きっと。

                人ごとかョ・・・・・・。
                全く・・・
                何信じていいのか、分かんねーョなぁ・・・ の言った事は・・・。
                まぁ・・・
                俺の為に2回も泣いてくれたんだからなぁ〜・・・
                涙は・・・信じていいんだョなぁ・・・。

                恋次?

                ん?

                さっき・・・恋次、変な事言ってたョねー。

                ん?
                何て?

                私の事「大好き」って・・・。

                えっ・・・・・・・・・・・。
                あ・あのなぁ〜・・・
                いや、そんな事言ってねーョ。
                何かの聞き違いだろ。
                大体お前・・・自分の言った事はすぐ忘れるくせに、何だョ。

                そーだョね。
                恋次が私の事、好きな訳ないもんね〜。
                おかしいと思ったんだ〜。

                えっ・・・あ・あのなぁ〜・・・
                ・・・・・・・・・・・・・・・好きなところもあるョ・・・。

                ん?

                好きなところも・・・いっぱいあるョ・・・。

                あーぁ・・・。
                やっぱり俺は・・・ には勝てそーにねーや。

                そろそろ帰るか・・・。

                うん。
                あー・・・恋次、これあげる。

                ん?
                何だ?

                お守り。

                貰っちゃっていいのか?
                大事なもんなんだろ?

                うん。
                大事な物だから、あげるんじゃない。
                いらない物あげたって、しょーがないでしょ。


                 ・・・。
                ありがとー。


                帰ってきたら、真っ先に の所に行くからョー。

                うん。

                ちゃんと、待っててくれョな。

                うん。

                                           fin                                                                         2005,9,14 up

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あとがき

番外編「最高の嘘」とは、真逆な感じですが・・・
あちらは、あちら・・・と言う事でー。

久々にお笑いなし(自分的には)で書いてみましたが・・・。
ヒロインちゃんはどこまでも鈍く・・・
恋次には手強いのであります(笑
鳳君も復活してきて・・・これからどーなっていくのか・・・
どーなるんでしょーね(爆)分かりません・・・(本音)