お前の手
〔 14番隊医療所 吉良が訪ねてきた 〕
すいません、
副隊長いらっしゃいますか?
あっ、吉良さん。
どーかされましたか?
あー、俺じゃなくてね・・・・・・恋次がちょっと・・・・・・。
恋次?
恋次が、どーかしたんですか?
風邪ひいちゃって、かなり熱があるみたいなんだけどね・・・。
あいつ、強がっちゃって・・・
フラフラなのに、休もうとしないんだョ。
周りが何を言ってもダメでさぁ〜・・・。
そーなんですか・・・。
出来れば・・・
さん、行ってあげてもらえないかなぁ〜・・・?
さんの言う事なら、聞くかもしれないし
さんの顔を、見るだけでも・・・
少しは元気になると思うから。
はぁ・・・、行くのはいいんですけど・・・。
残念ながら、風邪は治せないんですョ・・・・・・。
体のダメージを治す事は出来るんですけどね・・・
ウィルスとか、外的な物を取り除く事は、出来なくて・・・。
うん、それは分かってるからさぁ〜。
治すんじゃなくて、休むように言ってくれれば、いいんだけど・・・。
はい・・・。
でも・・・恋次・・・・・・
私の言う事なんて、聞かないと思いますけど・・・・・・。
そーだね〜・・・。
でも、きっと嬉しいはずだョ。
さんが「休んで」って言ってくれたらさ〜。
そーですか・・・?
うん。
「自分の事心配してくれてる」って思うだろうからね。
心配はしてますけど・・・。
だったら、そー言ってあげてョ。
「恋次の事が、心配だ」って。
その言葉だけで、風邪なんて治っちゃうかもね。
え・・・・・・。
じゃあ、忙しいのに悪いんだけど・・・お願いしますね。
はい。
( 吉良が帰っていった )
恋次・・・大丈夫かなぁ〜・・・。
きっと、無理しちゃってるんだろ〜ね〜・・・・・・。
私が行っても、ダメだろうけど・・・
とりあえず、栄養の取れる薬湯持って・・・行ってみるか・・・。
・
・
・
・
・
〔 恋次の副官室 〕
( コンコン )
ですけど。
あれ・・・?
いないのかなぁ〜・・・・・。
あー、もう帰って休んでるのかなぁ〜、それならいいけど。
(
がドアを開けてみた )
あれ?
開いてる・・・。
( 中に入ってみた )
あっ・・・、恋次・・・・・・。
ソファーなんかで寝ちゃって・・・・・・。
やっぱり・・・相当辛いんだろうね〜・・・。
早く帰って寝ればいいのに・・・。
(
が恋次に近づき、恋次の額に手を当てた )
わぁ〜〜〜、凄い熱・・・。
これじゃぁ、無理だョ・・・。
う〜ん・・・、39度以上あるなぁ〜。
(
が恋次の額から、手を離そうとした時 )
何しに来たんだョ。
えっ?
あっ、ごめんなさい・・・起こしちゃった?
いや、・・・そんな事どーでもいいョ。
何か用か?
( 恋次が起き上がった )
えっ・・・、別に用はないけど・・・。
だったら、すぐ帰れ。
でも・・・、恋次・・・具合悪いんでしょ・・・?
大した事ねーョ。
でも・・・風邪はうつるからな・・・。
にうつったら・・・大変だから。
うつったら、うつったでいいョ。
よくねーョ。
大した事ねーけど・・・・・・
結構・・・辛いから・・・・・・。
もぅー、恋次はー・・・。
それだけ熱があったら、十分「大した事」だョ。
早く帰って、寝た方がいいけど・・・・・・
今は辛そうだしなぁ・・・。
俺の事はいいから、お前が早く帰れョ。
もう薬飲んだし・・・・・・、すぐ治るョ。
あー・・・お前は帰ったら
ちゃんと手洗って、うがいしとけョな。
恋次・・・
私は一応そういう事は、言われる側じゃなくて、言う側なんですけど。
きっと恋次は、お腹でも出して寝てたんだろ〜ね〜。
もう冷えてきたんだから、気をつけないとダメだョ。
うるせーなー!
もういいから、とっとと帰れョ。
邪魔だョ!
・・・ごめんなさい・・・・・・。
あの・・・これ・・・・・・。
薬とは違うから、いつ飲んでも平気だから・・・・・・。
栄養・・・取った方がいいョ・・・・・・。
失礼しました・・・・・・。
(
がドアの方に、歩きかけた時 )
ありがとな。
えっ?
(
が振り返った )
治ったら、真っ先に
の所に行くから
それまでは、ここには来るなョな。
うん・・・。
あんまり・・・無理しちゃダメだョ・・・・・。
休む事も、必要だからね。
あぁ。
(
がドアの所まで行き、ドアを開けようとした時 )
( ドサッ! )
ん?
(
が振り向くと、恋次がソファーに倒れこんでいた )
あっ!!
やっぱり無理だョね〜・・・、あの熱じゃ・・・・・・。
(
が恋次の傍に行き、恋次をきちんとソファーに寝かせようとしたが )
うー・・・、恋次、重いョ・・・・・・。
動かないや・・・・・・。
でも・・・この体勢じゃ、辛そうだしなぁ・・・・・・。
(
が恋次に覆いかぶさり、上半身を動かそうとしている時に )
( 「ガチャッ」 ドアが開いた )
修兵: ・・・
・・・・・か・・・・・・?
お前! 何やってんだョ!!
えっ?
あ〜、修兵ーーーー、良かった〜〜。
修兵: あれ?
恋次・・・どーかしたのか?
うん、風邪でひどい熱でさぁ〜・・・。
今、ここに倒れこんじゃったんだけど・・・・・・。
ちゃんと寝かせてあげようと思っても・・・重くて・・・・・・。
修兵・・・・・・・・。
修兵: 分かったョ。
俺がやるから、
は離れてろョ。
うん。
( 修兵が恋次を、きちんと寝かせた )
修兵:
は・・・恋次に何か用か?
用はないけど・・・・・・。
この薬湯持ってきたくらいかな。
修兵: じゃあ、もう帰れョ。
恋次、風邪なんだろ?
大した事ねーョ。
え・・・でも・・・結構ひどいし・・・・・・。
治せるところは、治してあげようかなぁ〜って・・・・・・。
修兵: いいョ。
いいョ・・・って・・・・・・。
修兵: 恋次には、大した事なくてもな・・・
恋次が倒れる程の風邪だろ?
にうつったら、大変だからさー・・・
は、もう帰りな。
俺が、もう少し・・・ついててやるから。
うん・・・・・・。
じゃあ・・・少しだけ。
(
が、恋次の頬に軽く手を添えた )
修兵: えっ・・・、それで・・・少しは良くなるのか・・・?
う〜ん・・・、ダメかもしれないけど・・・。
喉の炎症とかが・・・少しは良くなるかなぁ〜って思って・・・。
修兵: そーなんだ・・・。
じゃあ・・・俺・・・・・・
軽い風邪ひいたら、
の所行くから・・・
そーやって・・・治してくれョな。
えっ?
うん・・・、治るか分からないけど・・・・・・。
修兵: 治んなくてもいいョ。
軽い風邪なんて、薬飲みゃーすぐ治るから。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
修兵: もういーんじゃねーか?
恋次は、ほっといても治るョ。
うん・・・そーみたいだね・・・。
熱、少し下がってきたみたいだし・・・。
修兵: えっ?
じゃあ・・・
の手が・・・効いたのか?
違うョ。
きっと・・・薬飲んで、ここで寝てたのが良かったんだョ。
私が来た時、ソファーで寝てたからね。
吉良さんの言う通り、最初から仕事休んで寝てれば
すぐに治ったのにね〜。
修兵: 吉良から聞いたんだ・・・恋次が風邪ひいたって・・・。
うん。
修兵: あいつ余計な事言って・・・。
に風邪がうつったら、ただじゃおかねーからな。
恋次: あいつが言ったのか・・・。
えっ?
あ・・・恋次・・・また起こしちゃった?
ごめんね・・・。
恋次: おかしいと思ったんだョ。
お前、薬湯持って来たんだもんな・・・。
修兵:
、もうその手はいいョ。
これだけ元気なら大丈夫だから、帰れョな。
うん。
恋次・・・吉良さんは恋次の事、凄く心配してて・・・・・・。
修兵も・・・、悪く言っちゃダメだョ・・・。
ここへは・・・私が、勝手に来たんだから・・・。
修兵: 恋次なんて、どーでもいいんだョ。
への配慮が足んねーョな。
恋次: どーでもいいだと!?
でも・・・確かに、
に言うってのはなぁー。
こいつは、医者面して絶対来るもんなー。
吉良さんは、恋次を心配して・・・。
私が来たのって・・・そんなに迷惑だったの・・・?
ごめんね・・・、すぐ・・・帰るから・・・。
そーだョね・・・・・。
私が来ても・・・しょーがないんだョね・・・・・。
恋次: そんな事ねーョ。
のおかげで、大分良くなったョ。
まぁ・・・吉良のおかげでも・・・あるんだョな・・・。
でも・・・今回は、来て欲しくなかったけどな・・・。
あ・・・、変な風にとるなョな。
あくまでも、風邪がうつるといけねーから・・・だからな。
修兵: そーだョ。
、もう帰れョ。
あー、俺もうつると嫌だから、一緒に帰るか。
そうしョーぜ。
恋次: そーだな。
修兵は、うつるといけねーから、もう帰れョ。
お前になんてうつったら、後で散々文句言われそーだからな。
きっと、他で風邪ひいたって・・・俺のせいにすんだろー。
とっとと帰れョ。
修兵: 言われなくても、帰るョ。
、行こーぜ。
恋次: あー・・・、
はちょっと待てョ。
修兵: 何だョ・・・
にうつったら、もっと大変だろー。
お前、
にうつす気なのか?
恋次: うつす気なんて、ある訳ねーだろ。
礼くらい・・・言わせろョ・・・。
修兵: 礼なんていいョ。
、帰ろう。
恋次は、これだけ元気なんだから、心配いらねーョ。
うん・・・。
恋次・・・お大事にね。
恋次:
・・・。
の手・・・凄くよく効いたョ。
嘘じゃねーぞ、本当に効いたんだョ。
修兵:
、恋次に騙されんなョ。
恋次、お前は薬飲んで寝てたから、良くなっただけなんだョ。
動けるんなら、さっさと帰って寝るんだな。
恋次: 分かったョ。
俺だって・・・
にはうつって欲しくねーからな。
、お前が来てくれたから・・・元気になれたョ。
ありがとな。
もう、大丈夫だから・・・。
気をつけて、帰れョな。
うん・・・。
恋次も早く帰って、ちゃんと休んでね。
恋次: あぁ、そーするョ。
修兵: じゃあな。
・
・
・
・
・
〔 次の日 14番隊医療所 〕
あっ、恋次・・・。
どーしたの・・・? やっぱり具合悪い?
バーカ。
治ったら来るって言っただろ。
えっ?
もう・・・治ったの・・・?
あんなに辛そうだったのに・・・。
まぁ・・・昨日はなぁ・・・・・・
情けねー姿・・・見せちまったョな・・・。
でも、もう完全に治ったョ。
の手が・・・効いたからな。
え・・・、それは、違うと思うけど・・・。
きっと、薬が効いたんだョ。
ここじゃ・・・人通るから話にくいョなー・・・、外・・・行くか?
外はヤメた方がいいョ。
まだ完全に治ってないかもしれないし・・・。
私の医務室でいい?
あぁ、悪ぃな。
・
・
・
・
・
( 医務室 )
恋次、ちょっと熱測らせて。
(
が、恋次の額に手を当てた )
もう、熱は下がったョ。
本当だ、ないみたいだね〜。
お前のおかげだョ、ありがとな。
( 恋次が
を抱きしめた )
れ・恋次・・・ここはちょっとまずいからさぁ・・・放してョ・・・。
誰か・・・入ってくるかもしれないし・・・、誤解されちゃうョ。
皆知ってるから、いいと思うけどなぁ〜。
恋次・・・放して・・・・・・。
分かったョ・・・。
やっぱり外の方が良かったなぁ・・・・・・。
( 恋次が
を放した )
外は、まだ無理だョ。
また風邪ひいちゃうョ・・・。
ひかねーョ。
抱きしめてりゃ暖けーしさ、心も満たされるからな。
え・・・・・・。
は、大丈夫そーか?
風邪・・・うつってなさそーか?
うん、多分大丈夫だと思うョ。
昨日帰って来てから、うがいと消毒しっかりやったし
薬湯も飲んだりしといたから。
何か俺って・・・バイキンみてーだなー・・・・・・。
えっ?
恋次じゃなくて、風邪に対処しただけだョ。
それは分かってるけどさぁー・・・・・・。
今日も俺が帰ったら・・・消毒するのか・・・?
んー、そーだね。
一応、しておこーかな〜。
お前・・・普通そーいう事・・・言うか?
え・・・・・・。
だって・・・出来れば、風邪ひかない方がいいでしょ・・・?
そーだけどさぁ〜・・・。
本当に消毒するにしてもさー・・・
俺には、「そんな事しないョ」とか・・・
「恋次の風邪なら、うつってもいいョ」とか・・・・・・・
嘘でも、言い方があんだろ〜・・・・・・。
嘘ついても、しょーがないと思うけど・・・。
まぁ・・・
に言っても、無駄だョな・・・・・・。
でもなぁ〜・・・
会った後に、消毒されるっていうのはなぁ〜・・・・・・。
俺自身が否定されてるみてーで・・・気分良くねーなぁ〜・・・・・。
昨日はしょーがねーにしても・・・今日はなぁ〜・・・。
じゃあ、消毒しないョ。
多分、大丈夫だと思うしさ。
いや・・・別にさぁ〜・・・してもいいんだョ・・・。
が風邪ひかないのが、一番なんだからさぁ〜・・・。
でも、分かんないようにやって欲しいんだョな〜、出来ればさぁ〜。
よく分かんないけどさぁ〜、消毒はやめとくョ。
恋次が、気にしてるみたいだからね〜。
その代わり、よくうがいして、薬湯飲んでおくからさ。
だから・・・そーいう事は「言うな」って、言ってんだョ。
お前ってヤツは・・・
本当に、分かんねーヤツだョなー・・・。
え・・・、じゃあ・・・何もしないョ・・・。
それならいいんでしょ?
いいョ。
うがいも、消毒も、しっかりやって・・・
薬湯もちゃんと飲んでおけョな。
その代わり、風邪ひいたら・・・ただじゃおかねーからな。
え・・・、でも・・・風邪くらい誰でもひくしさぁ〜・・・。
私が風邪ひいたら・・・怒るの・・・?
そ〜だなぁ〜〜〜。
治るまで、ずっと傍にいて・・・看病してやるョ。
ほんの少しだけ・・・怒るかもな。
「消毒までしたくせに、どーして風邪ひいたんだョ」ってな。
恋次・・・看病なんて、いいからね。
恋次に風邪うつっちゃったら、大変だもん。
いいョ、
の風邪ならうつったって・・・・・・って・・・
俺が・・・言って欲しかった言葉だな・・・。
えっ?
何でもねーョ。
お前の風邪なんて、俺にはうつんねーから、心配しなくていいョ。
俺の手じゃ・・・
の手みてーに、効き目はねーけどな・・・。
でも、愛情いっぱい込めて、看病するからな。
私の手だって・・・風邪には、効き目なんてないョ・・・。
そんな事ねーョ。
俺・・・あの時、薬なんて飲んでなかったんだからさー。
えっ?
だって・・・薬飲んだって、言ってたでしょ?
そー言わなきゃ、お前・・・帰んねーだろ?
あっ、そー言えば・・・あの時は・・・
確かお前・・・俺の風邪うつってもいいって・・・言ったョな・・・?
うん。
だって、風邪ひいてる人の所に行ったんだから
うつったって、しょーがないでしょ。
しょーがない・・・かぁ〜・・・・・・。
本当に、薬飲んでなかったの?
あぁ、自分とこ帰ってからはな、早く治そうと思って飲んだけど・・・
が来た時点では、飲んでなかったョ。
だから・・・
熱が下がったのも、体が楽になったのも・・・
勿論、元気が出たのも・・・みんな、
の手のおかげなんだョ。
そんなに効かないと思うけどなぁ〜・・・。
丁度、治り始めた時だったんだろうね〜。
違うョ。
あの時は・・・本当に最悪だったからな。
もし・・・普通はそんなに効かねーんだったら・・・
俺にだけ・・・特別に・・・効いたんだな・・・、嬉しいョ。
効いてくれたんなら、私も嬉しいけど・・・。
効いたんだョ。
が俺の事・・・少しでも思ってくれたから・・・
その気持ちが・・・俺の心に届いて。
俺は・・・
の為なら何でも頑張れるからな。
が応援してくれてんのに、風邪なんかひいてられるかョ・・・ってな。
まぁ・・・それは・・・
私の手が効いたんじゃなくて・・・
恋次のパワーが、風邪に勝ったって事だけどね・・・。
そーじゃねーョ。
が、治してくれたんだョ。
自分の力で治せんなら、最初っから治してんだろ?
うん・・・・・、そーだけどさぁ〜・・・・・。
俺だけには、効くんだョ。
の手がさぁ〜。
あー、他のヤツには、効かねーと思うから、やってやる事ねーからな。
絶対やるなョ。
え・・・。
とりあえず、
の手は・・・俺だけのもんだからな。
他のヤツに触れる事は、一切許さねーョ。
本当は・・・他のヤツの治療なんか、して欲しくねーけどな・・・。
これは、お前の仕事だから・・・しょーがねーョな。
仕事で使う手は・・・「14番隊副隊長の手」だからな。
「
の手」は・・・俺だけのもんだから・・・な。
手だけじゃなくて・・・
は・・・俺のもんだ・・・って、言ってみてーョな・・・。
今は・・・願望でしかねーけど・・・
でも・・・いつの日か・・・必ず・・・
を・・・俺だけのもんにしてみせるョ。
俺には、自信がある。
だって・・・
世界の誰より、お前が好きなんだから・・・。
fin 2005,11,28 up
あとがき
「恋次の風邪」・・・ヒロインが、ちゃんと付き添って看病するか
今回みたいに「帰れ」って言われるか・・・
どっちにしようか・・・迷ったところですが・・・
恋次なら・・・きっと「帰れ」と言うのでは・・・?と思い・・・
こんな感じにしてみました。(勝手な解釈です・・・(笑) )
長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お暇がありましたら、また遊びに来て下さいませ。