お花見(前編)
〔 待ち合わせ場所 〕
あっ、恋次〜〜〜!
(
が恋次に、走り寄った )
恋次・・・待った?
ごめんね・・・ちょっと遅れちゃって・・・。
ん? いいョ。
大して待ってねーから。
それより・・・仕事・・・忙しいのか?
えっ?
顔色・・・良くねーぞ・・・・・・。
え・・・、そんな事ないョ。
仕事は・・・重傷者が、何人かいるから・・・ちょっと大変だけどね。
でも、「ほらっ」
(
が手を、顔のあたりまで上げた )
この指輪が、効いてるはずだから。
そーでしょ?
ずっと・・・しててくれてるのか・・・?
うん。
だけどなー・・・・・
その指輪の力は・・・そんなに大きいもんじゃねーんだョ・・・。
だから・・・
絶対に、無理はするなョ。
うん。
お前・・・歩けるか?
河原まで、ちょっと遠いぞ・・・。
うん、大丈夫だョ。
顔色なんて、悪くないョ。
光の当たる加減なんじゃないの?
なら・・・いいけど・・・。
もし、辛いようだったら、すぐ言えョ。
うん、ありがとう〜。
・・・・・・
俺の前では、強がんなくていいんだぞ。
俺は・・・・・・
の顔色の違いくらい・・・すぐ分かるんだからな・・・。
恋次・・・。
( 恋次が、
の手を握った )
行こーぜ。
お前の足取りが鈍ってきたら、抱いてってやるから。
大丈夫だョ。
恋次は、心配し過ぎなだけだョ。
可愛くねぇなー。
もたまには
「疲れちゃって、歩けない」とか「抱っこして〜」とか・・・
言ってみろョ。
え・・・・・・
恋次の好きな人って・・・そんな事言うの?
私とは、全然違うね・・・。
私・・・そんな事・・・言えないョ・・・。
俺は、
に言って欲しいんだョ。
どーでもいいヤツに限って・・・
「疲れて歩けねー」とか「抱いていけ」って・・・
疲れてもいねーくせして、甘えてくるんだョ。
もたまには、甘えてみろョ。
ヘロヘロなくせに、そんなに強がってねーでさー。
別に、強がってないもん。
平気だから、平気って言ってるの。
早く行こーョ。
ココに居たって、桜は近寄ってこないョ。
はい、はい。
全く・・・可愛くねーョなー・・・。
せっかく二人で「花見」行くんだからさー
もうちょっと、いい雰囲気で行きてーョなー。
「恋次〜、疲れちゃって歩けない〜」とか・・・
言ってみろってんだョ。
ん? 何か言った?
いいえ、何も言ってません。
早く行きましょうね。
うん。
・
・
・
・
・
恋次・・・・・?
ん?
手・・・つながない方が、いいんじゃないの・・・?
すれ違う人・・・皆、見てるョ・・・?
構わねーョ、そんなの。
それとも・・・
は、見られたら・・・困るのか?
え・・・・・・私は、いいけどさぁ・・・・・・。
私の事知ってる人なんて、殆どいないし・・・
私が、何言われたっていいけど・・・。
でも・・・恋次の事は・・・皆、知ってるでしょ?
六番隊副隊長だってさ・・・。
それがどーした?
六番隊副隊長ってのは、女と手つないじゃ、いけねーのか?
そんな事ないけど・・・
私と恋次じゃ・・・不釣合いだし・・・。
変な風に見られたら・・・後々、恋次が困るんじゃないかと思って・・・。
不釣合い?
何だそれ?
俺は、お前には釣合わねーってのか?
違うョー。
恋次に、私が釣合わないんじゃない・・・。
護廷十三隊の副隊長って言ったら、凄いんだし・・・
私達は・・・一応「十四番隊」っていう名称をいただいてるけど・・・
十三隊とは、全然違うからさぁ・・・。
私と恋次じゃ・・・全てにおいて「格」が違うでしょ?
くだらねー。
大体、釣合うって何だ?
俺は「ただの一人の男」で、お前は「ただの一人の女」だろ?
俺とお前に「差」なんてねーョ。
変な事、言ってんじゃねーぞ。
それに、お前だって副隊長じゃねーかョ。
うん・・・そーだけど・・・。
私は・・・他の副隊長とは、同じじゃないョ・・・。
同じだョ。
自分の事、必要以上に卑下するな。
俺とお前は、同じ副隊長。
どこも変わんねーョ。
恋次・・・・・・。
あっ、ホラッ・・・・・桜見えてきたぞ。
本当だ。
桜の木・・・いっぱいあるね〜。
ほぼ、満開で・・・綺麗だね〜〜。
早く、側に行こーョ!
(
が早足で、桜の方に歩き出した時・・・ )
そっちじゃねーョ、こっちだ。
( 恋次が
の手を強く引き、違う方角へ歩き出した )
えっ??
何で?
恋次・・・桜は、あっちだョ〜?
いいんだョ、こっちで。
( どんどん桜と離れる方に、歩いて行った )
じゃあ、そこの川渡るからな。
( 恋次が、
を抱き上げた )
しっかり、掴まってろョ。
え・・・、うん・・・・・・。
あっ、そーだ。
お前、目もつぶってろ。
「いい」って言うまで、開けるなョ。
何で?
いいから、つぶっとけ。
うん・・・。
(
が目をつぶり、恋次が川を渡って、さらに進み・・・ )
よし、いいぞ。
目、開けてみろ。
うん。
(
が目を開けた )
あっ、桜だ〜。
ここで・・・いいだろ?
さっきの所は、桜もいっぱいあるし・・・
花見するには、最高の場所だけど・・・。
今日あたり、大勢花見に来てるからさー
皆、酒入って・・・大騒ぎしてんだろうし・・・。
二人でゆっくり過ごすって訳には、いかねーだろうからさー。
うん、いいョ。
でも・・・さっきの桜、全然見えないね〜・・・。
あそこからは、遠いいの?
ん?
まぁ、
が歩くとしたら、かなり遠いだろうな。
ここなら、誰も来ねーし
桜の木は・・・少ししかねーけど・・・
俺達二人だけの為に、咲いててくれてるって感じだし・・・
いいョな、ここで。
うん。
( 恋次が
を下ろした )
ちょっと待ってろョ。
今、座っても汚れねーように、何か敷いてやるからな。
( 恋次が、大きい布を敷いた )
これで「よし」と。
いいぞ、ここに座れョ。
うん。
(
が座り、隣に恋次が座った )
何か飲むか? それとも食うか?
俺、いろいろ持って来たから、遠慮しねーで飲み食いしろョ。
うん、ありがとう〜。
恋次が・・・
「お前は何も持って来るな」って言ったから
私・・・何も持って来なかったんだけど・・・。
いいんだョ、それで。
お前がいろいろ準備してるのが
あの女にでも見つかったら、うるせーだろ?
「何処行くんだ?」とか「誰と行くんだ?」とか・・・。
あいつに、くっ付いてこられたんじゃ、堪んねーからな。
お前は手ぶらで、何事もねーように「サッ」っと医療所抜けてこれりゃー
万々歳なんだョ。
うん・・・。
あー・・・、ごめんな・・・。
本当は、迎えに行ってやりてーんだけどなぁ・・・。
あの女に、見つかる訳にはいかねーからな・・・。
その代り、帰りはちゃんと、部屋まで送り届けてやるからさ。
えっ? いいョ。
医療所に来たら、宝生さんに会っちゃうでしょ?
帰りは、会ったとしても、いいんだョ。
往きは・・・くっ付いてくる可能性があるだろ?
自分の事迎えに来たとか・・・勝手に思うだろうし・・・。
そーしたら、一日が・・・台無しになるじゃねーか。
だから往きだけは・・・
何処か外で、待ち合わせるしかねーんだョ・・・ごめんな。
ううん、恋次が謝る必要なんて、ないでしょ?
それよりも・・・
お花見に連れて来てくれて・・・ありがとう〜。
桜・・・綺麗だね。
あぁ、綺麗だな。
と二人で見る桜は・・・格別だョ。
そーいえば・・・確か・・・
親睦会も・・・花見やるんだったョなぁ・・・?
うん。
この間、話たでしょ?
んーーーー・・・・・、どーしても行くのか?
うん。
そーか・・・・・・。
その日って・・・六番隊のお花見と、同じ日だったョね?
そーなんだョ・・・。
俺も、抜けらんねーしな〜・・・。
同じ場所なら、良かったんだけどなー・・・。
お前達は、広場でやるんだョな?
うん。
私達は、仕事終わってから、こんなに遠くまで来れないからさー
医療所から近い、広場でやるの。
桜は・・・一本しかないんだけどね・・・。
行かせたくねーなー。
お前・・・気をつけろョ!
男の傍には、近寄るんじゃねーぞ。
皆、酒入って・・・気が大きくなってるからな。
え・・・
別に私・・・男の人に言い寄ったりしないョ・・・。
やだなー、恋次・・・
私が、男の人にお酒飲ませて、何かするとでも思ってるの?
バーカ!
俺が、そんな風に思ってる訳ねーだろー。
逆だョ、逆!
親睦会には、お前を「狙ってる」ヤツがいるんだョ!!!
「狙う」??
私・・・狙われる覚えないョ・・・?
それとも・・・
知らないうちに・・・怨まれちゃったのかなぁ・・・?
恋次・・・知ってるの?
知ってたら、教えてョ。
早く謝った方がいいし・・・。
もしかして私・・・殺されちゃうの・・・?
・・・・・・・・バカ。
意味が、全然違うョ。
それに・・・
もし、
を殺ろうとしてるヤツがいて・・・俺が、それを知ってたら
それを、俺が知った時点で、そいつの事、始末してるョ。
とにかく、男には気をつけろ。
恋次・・・・・・
(
が恋次に、寄り添った )
ん・・・? ど・どーした?
調子・・・悪いのか?
ううん・・・、大丈夫・・・。
そーじゃなくてね〜・・・
もしかしたら・・・
恋次と会えるのも・・・これが最後かもしれないでしょ?
えっ??
何言ってんだョ・・・。
相変わらず、頓珍漢だョなー、お前。
・・・
お前の「命」狙ってるヤツなんて、いやしねーョ。
それに・・・
には、俺がついてんだろ?
心配する事なんて、ありゃしねーョ。
(
が更に、恋次に寄りかかった )
??
お前・・・やっぱり疲れてんだョ・・・。
結構歩いたしな・・・。
少し、横になれョ、なっ?
大丈夫だョ・・・・・・。
頑固だなー・・・。
大丈夫でもいいから、少し横になろうぜ。
桜の下で昼寝ってのも、いいじゃねーか。
う〜ん・・・
の枕になるような物がねーから・・・俺の腕枕で寝ろョ。
え・・・、いいョ・・・。
( 恋次が横になった )
ホラ、早く来いョ。
俺の手の上に、頭置くんだぞ。
少し休めば、元気になるんだろ?
うん・・・。
(
が、恋次から少し離れて、横になった )
お前・・・もっと、こっち来いョ。
さすがに、手首の辺りに頭置かれたんじゃ、痛てーョ。
あ・・・・・、ごめんなさい・・・・・。
(
が起き上がり、恋次を見た )
来いョ。
え・・・・・・。
今更、何恥ずかしがってんだョ。
早いとこ一眠りして、元気になって、二人で花見酒飲もーぜ。
が気に入りそうな、ちょっと洒落た酒・・・
俺、持って来たんだからさー。
うん・・・。
じゃあ・・・
私、枕なくても大丈夫だから、こっちの隅の方で・・・・・・
( 恋次が起き上がり、背を向けた
を、後ろから抱きしめた )
何、ゴチャゴチャ言ってんだョ。
俺の言う事が、聞けねーのか?
だって恋次・・・手、痛くなっちゃうでしょ・・・?
さっきのは、お前の選んだ場所が悪ぃんだろー。
まぁ・・・手首でも、手は手だから、一概にお前が悪いとは言えねーけど。
普通、腕枕って言ったら、肘より上じゃねーか?
なるべく、体に近い方・・・。
それでも、痛いでしょ?
痛くねーョ。
本当に?
あぁ。
の重みは、俺の幸福でもあるから、痛みなんて感じねーョ。
でも・・・さっき痛いって・・・・・・。
あれは・・・場所的な事もあるし・・・
それに・・・もっと近くに来て欲しいっていうか・・・・・。
が、どーしても俺の手首の上がいいんなら、俺はそれでもいいョ。
痛くなんかねーョ。
でも・・・
出来れば、俺は・・・許される限り、
の近くに居てーョ。
お前の呼吸が感じられる程・・・
鼓動が、伝わってくるぐらいの距離にな。
あ・・・恋次・・・ドキドキしてるね。
え、俺はどーでもいいんだョ。
は・・・
俺の事、男としてじゃなく・・・患者みてーに診てんだろ?
俺の鼓動なんて、聞いてなくていいから、とにかく横になれ。
折角の可愛い顔が、その顔色じゃ・・・台無しだぞ。
恋次も、お世辞上手くなったね。
世辞じゃねーョ、本心だ!
いいか、このままゆっくり、後ろに倒れるからな。
うん・・・。
( 二人が、寄り添って横になった )
ゆっくり休めョな。
夜中になっても、起きねーようなら、俺が抱いて帰ってやるから
何の心配もいらねーぞ。
え・・・、それはないと思うけど・・・
恋次・・・ごめんね・・・・・・。
折角、お花見に来たのに・・・。
ん? いいョ。
この状態も、悪くねーしな。
ぐっすり眠って、元気に復活しろョな。
うん。
To be continued 2006,3,25 up