大好き(前編)
〔 医療所 (夜)
の部屋 〕
、入るぞ。
( 恋次が部屋に入り、
の正面に座った )
れ・恋次・・・? どーしたの?
そんなに怖い顔して・・・・・・。
お前・・・・・・
今日の昼間、一緒に居たヤツ・・・誰だ!?
えっ?
あ〜・・・、何回か、治療に来た事のある人、なんだけどさぁ〜
偶然会って、送ってくれるっていうから・・・・・・
名前も知らねーヤツに、くっ付いて行ったのか!?
え・・・・・・、うん・・・・・・。
でも・・・顔は知ってたし・・・・・・
名前聞くのは、失礼かな?って思って・・・。
ちゃんと、治療した時の記憶は、残ってたし・・・
話した事も、あるから・・・・・・。
そんな素性も分かんねーヤツに、くっ付いて行くんじゃねーョ!!
何処かに連れ込まれたら、どーすんだョ!!
恋次・・・考え過ぎだョ・・・。
喋った感じでも、丁寧で・・・いい人だったョ。
「いい人」なんてのは、当てになんねーなー!
そいつ、「送る」って言ってきたんだろ?
うん。
じゃぁ何で・・・
医療所とは、違う方向に歩いて行ったんだ?
えっ・・・・・・、何でそんな事・・・・・・知ってるの?
恋次・・・見てたの・・・?
見かけたんだョ。
でも・・・
急ぎの、重要な任務中だったから・・・
声かける暇もなくて・・・・・・。
何処行ったんだョ?
えっ?
あー・・・、あのね・・・
「美味しいお饅頭、売ってるお店がありますから、行きませんか?」
って、言われてさぁ・・・
食い物に、釣られて行ったのか!?
しょーがねーヤツだなぁ〜・・・・・・。
あっ、そうだ。
はい、コレ。 一箱あげる。
明日、恋次の所に、持って行こうと思ってたんだ。
おいしいョ、このお饅頭。
(
が恋次に、お饅頭の箱を渡した )
要らねーョ、こんなもん。
( 恋次が、受け取った箱を、そのままゴミ箱に捨てた )
あんなヤツと、いちゃつきながら買った饅頭なんて、食いたくねぇ。
ヤツに、買って貰った物かもしんねーしな。
そんな物、食えるか!
恋次・・・・・・。
それは・・・私が買ったんだョ・・・・・・。
どーせ浮れて、いっぱい買っちゃったんだろ?
で、たまたま俺が来たから、「くれた」ってだけだろ?
え・・・・・、そんな事ないョ・・・・・。
でー、饅頭屋出て、何処行ったんだ?
何処って・・・医療所に帰ってきたけど・・・・・・。
嘘つけ!!!
広場のベンチで、ぴったり寄り添って、饅頭食ったんだろ!!!???
何で隠すんだョ?
隠した訳じゃないけど・・・・・・
恋次・・・そんな事まで知ってるんだ・・・・・・。
が、他の男と仲良く歩いてんの・・・・
俺が、放っておく訳ねーだろー。
俺は、忙しかったから・・・側にいたヤツに、お前ら見張らせた。
まぁ・・・尾行なんてつけんのは、いい事じゃねーけど・・・
もしも・・・、お前に何かあってからじゃ、遅いからな。
悪いとは思ったけど、監視させてもらった。
恋次・・・・・・。
じゃあきっと・・・、相手の人の事も、全部分かってるんでしょ?
変な人じゃないもん・・・。
そんなに怒らなくたって・・・いいじゃない・・・・・・。
良くねー!
あのなー
変なヤツだけが、危ねーんじゃねぇって、いつも言ってんだろ!?
「送る」とか、「何処か行こう」って誘ってくるヤツは
多かれ少なかれ、
の事が好きなんだョ。
どんなに真面目で、いいヤツだって・・・
好きな女、獲得しようと思ったら・・・強引に出るヤツも、いるんだョ。
幸い・・・お前は、副隊長だから・・・
そう簡単に、手は出さねーだろうけど・・・・・。
でも・・・
が、あんなにデレデレしてたんじゃ・・・
相手だって、その気になりかねねーからな。
デレデレなんて、してないョ・・・。
それに・・・
ベンチに座った時だって「ぴったり」なんて、くっ付いてないョ。
ベンチは・・・見た訳じゃねーけど・・・
でも・・・
歩いてる時・・・俺が、見かけた時は・・・・・・
お前・・・「いい顔」してたョ・・・・・・。
凄く嬉しそうに・・・いい笑顔・・・ヤツに向けてただろ?
そーかなぁ〜?
そーだョ。
あんな顔・・・やたらと男に向けるんじゃねぇ!
いいか!?
以後、俺以外の男に、笑いかけるのは「禁止」だ!
ちゃんと守るんだぞ。
え・・・・・・、そんなの無理だョ・・・・・・。
恋次・・・? どーしたの?
何か・・・今日は、変じゃない・・・?
変じゃねーョ。
俺は、いつも「こう」だ!
お前・・・あんな嬉しそうな顔して・・・・・・
腹立つったらねーョ!!!
今日、1回でも、俺にあんな顔したか!?
だって恋次・・・最初から怒ってて・・・・・・
笑うような雰囲気じゃ・・・ないでしょ・・・・・?
何が楽しくて、あんないい顔してたんだョ?
ヤツと・・・何話してたんだ?
えっ?
恋次が見たのって・・・
お饅頭屋さんに、行く前のところだョね〜?
あぁ。
じゃあ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何だョ。
俺に・・・言えねーような事か?
ううん・・・。
ただ・・・あの人と話してて、笑ってたんじゃなくてね・・・・・・
えっ?
私・・・そんなに笑ってたの・・・?
一人で笑ってて・・・変なのは、私の方だね・・・。
どーいう事だョ?
あのね、そこのお饅頭屋さんね・・・
お饅頭に、好きな言葉入れてくれるって、教えてくれてさぁ・・・。
ホラ、焼印って言うのかなぁ?
お饅頭の上の所に、マークとか入ってるのあるでしょ?
「あれ」をね・・・
自分の好きな言葉で、入れてくれるんだって。
殆ど「ひらがな」なんだけどね・・・
リクエストの多い言葉は、漢字もあったョ。
ふ〜〜ん・・・。
で・・・、それが可笑しかったのか?
ん?
そーじゃなくてさぁ・・・。
私も・・・何か「言葉」入れてもらおうと思ってさ・・・
いろいろ考えてたら、楽しくなっちゃって。
それで、あんなに嬉しそうな顔・・・してたのか?
うん。
何て入れてもらおうかなぁ〜?って思った時・・・
最初に思いついた言葉が・・・
「れんじ」・・・だったの。
えっ??
箱詰めの、一番小さいのがね、9個入りだって教えてくれてさぁ〜
あぁ・・・、「それ」ね。
恋次が、ゴミ箱に捨てちゃったやつ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
で、「れんじ」の他に、何て入れようかなぁ〜とか、考えてたら
いろんな言葉が、浮かんできて・・・。
自分でも、ちょっと恥ずかしい様な言葉とかさぁ〜・・・
あ、変な言葉じゃないョ。
そんな事、ずっと考えながら、お饅頭屋さんに行ったの。
何か、楽しかったなぁ〜。
えっ・・・・・・・・・
じゃぁ・・・この饅頭って・・・最初から俺にくれるつもりで・・・
焼印まで、押してきてくれたのか・・・?
そーだョ。
言葉入れたのは、恋次にあげるのだけだもん。
( 恋次が慌てて、ゴミ箱からお饅頭の箱を、取り出した )
あっ、かして。
それ、要らないんでしょ?
他の人には、見せられないから・・・私が、後で食べるョ。
い・いや・・・悪かった・・・。
コレは・・・俺が貰う。
いいョな?
えっ?
いいョ、無理しなくて。
どーせ、帰ってゴミ箱に、捨てちゃうんでしょ?
それよりも・・・
他の人にでも、あげられたら・・・恥ずかしいから・・・返して。
そんな事、しねーョ。
開けてみても・・・いいか?
え・・・、帰ってからにしてョ・・・。
いいじゃねーか。
見てみたいョ・・・、
が・・・何て書いてくれたのか・・・。
えっとね〜・・・
結局ね〜・・・、9個のうち8個は・・・「れんじ」なの・・・。
真ん中の1個だけ、違う言葉にしただけだョ。
そーか。
で・・・・・
真ん中は・・・お前の名前か?
ん?
違うョ。
まぁ、特に深い意味はないからさ・・・、気にしないでね。
何だろうなぁ〜?
気になる・・・・・、気になるョ!!
やっぱり・・・開ける!
( 恋次が、包み紙を破り、箱の蓋を開けた )
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
恋次・・・?
あ・あのさぁ〜・・・冗談だから・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ごめんね・・・、ショック受けた・・・?
遊びのつもりで・・・・・・
恋次・・・・・・・・・・・
本当に、何でもないから・・・、真剣に受け止めないでね・・・・・・。
ジョークだョ・・・、ねっ? 気にしないで・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
恋次・・・。
不快・・・だョね・・・・・・、ごめんね・・・・・・・。
( 恋次が
を、鋭い眼差しで見つめた )
お・怒った・・・?・・・・・・ョね・・・・・・・・。
冗談か?
う・うん・・・。
( 恋次の手が、
の頭目掛けて、伸ばされ・・・ )
「キャッ」・・・・・・ご・ごめんなさい・・・・・・・。
( 恋次の手が、
の後頭部を、しっかり捉えた )
何で、謝る?
少しは・・・「そう思った」んだろ? 違うのか?
え・・・・・・、うん・・・・・・。
でも・・・恋次が、こんなに怒るとは、思わなかったから・・・。
どんなに不快でも・・・笑い飛ばしてくれると思ったから・・・。
( 恋次のもう一方の手が、
の背中を捉え、力強く抱き寄せた )
嬉しいョ。
えっ?
もう・・・このまま死んでもいいかもなー。
恋次?
嘘だョ!
こんなんで、死ねるか!
まだ・・・本懐遂げてねーしなー。
まだ、まだ・・・そこまでの道のりは・・・遠そーだけど・・・
が、初めて・・・「形」として表してくれたんだからなぁ・・・。
嘘だろが、冗談だろうが・・・俺は、嬉しい。
ん・・・?
恋次・・・怒ってないの・・・?
何で怒るんだョ?
だって・・・怖い顔してたし・・・。
こんな事書かれて・・・嫌だったのかなぁ〜って、思って・・・。
嫌じゃねーョ。
最高に、嬉しい。
でも・・・何で「この言葉」にしたんだ?
冗談なら、他に幾らでも・・・「言葉」あるじゃねーか・・・?
何で・・・「大好き」・・・なんて・・・・・・?
えっ?
あー・・・、あのね・・・
リクエストの多い言葉は、漢字もあるって言ったでしょ?
「大好き」って・・・リクエストNo1の言葉なんだって。
だから・・・焼き鏝が、あったから・・・。
ただ・・・それだけの理由か・・・?
うん・・・・・・・。
さっき・・・少しは「そう思った」って・・・言わなかったか?
うん・・・・・・。
お饅頭屋さんに着くまでに・・・いろいろ考えてて・・・
「れんじ」の次に、思い浮かんだ言葉が・・・
「大好き」・・・だったの・・・。
えっ・・・?
それって・・・・・・・
あっ、な・何でもないからね・・・。
気にしないで・・・。
冗談。
冗談だョ〜。
・・・・・・・・・・冗談・・・・・・・・か・・・・・・・・・。
うん。
・・・・・だョな。
うん。
冗談でもいいや。
ちょっと、言ってみてくれ。
が、思いついた「2つの言葉」。
えっ?
「2つの言葉」って・・・・・・
「れんじ」・・・・・・と、「大好き」?・・・って?
あぁ。
「れんじ大好き」
・・・・・・・・・あっ!
あ・あのね・・・これは・・・・・・・・・
冗談なんだろ?
・・・・・・・・うん。
分かってるョ。
冗談だろうが、何だろうが・・・
お前が、最初に思いついた言葉が「俺」で・・・
俺にやろうと思って、考えついた言葉が「大好き」なら・・・
何も、言う事ねーョ。
素直に、嬉しい。
うん・・・・・なら、いいけど・・・・・。
恋次・・・怖かったョ・・・。
さっき・・・ぶたれるかと思った・・・・・。
そんな事、しねーョ。
あー・・・、でも分かんねーなぁ〜。
今日みたいに・・・
が他の男と、いちゃついてるところ、見つけたら・・・
容赦しねーなー。
1発や、2発じゃ、済まねーかもなー。
えっ・・・? ぶつの?
多分な。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
じゃねーョ。
相手の男の方をな。
え・・・・・・・・・・
百歩譲って、知ってるヤツに送ってもらうのは、許す。
でも、相手が誘った寄り道は、禁止。
笑顔もダメだ。
広場で、一緒に饅頭食うなんてのは、以ての外だからな!
え・・・・・・・・・・
あいつが、饅頭食おうって、言ってきたのか?
うん。
あの人ね・・・
何種類かのお饅頭、バラで買ってくれてさぁ〜。
追加!!
えっ?
何か、買ってもらうのも、ダメだ!
え・・・、でも・・・・・・
折角、親切にしてくれたのに・・・断る事なんて、出来ないョ・・・。
あの人・・・優しくて、いい人だったし・・・・・。
お前!!!
( 恋次の手に、力が入った )
恋次・・・痛いョ・・・・・。
あーいうのが、好きなのか!?
えっ?
ヤツの事が、好きなのか?って、聞いてんだョ!?
えっ? そんなんじゃないョ・・・。
私の好きなのはね〜・・・・・・
えっ!!!???
・・・・・?
好きなヤツ・・・いるのか・・・???
To be continued 2006,4,27 up