会議(前編)



               〔 医療所 (木曜日・夕方)  の部屋 〕



           修兵:  ・・・・・・、入ってもいいか?



                修兵?
                うん、いいョ。



               ( 修兵が、部屋に入った )



           修兵:  ・・・・・・・・・・・・・・



                ん? どーしたの?

                顔色・・・良くないね・・・、具合悪いの?
                今、診てあげるから・・・。



               (  が立ち上がり、修兵に歩み寄った )



                手、ちょっと貸してね・・・。



               (  が、修兵の手を取ろうとした時、修兵が を抱きしめた )



                えっ?
                修兵・・・?

                あっ・・・、もしかして、立ってられないの?
                横になる?



           修兵: そうじゃなくて・・・・・・
               俺・・・どこも悪くないから・・・・・・。
               強いて言えば・・・心が痛い・・・。

               何で・・・・・・
               何で、何にも言ってくれなかったんだョ・・・。
               何で・・・・・・




                えっ? 何の事?



           恋次:   、入るぞー。



               ( 恋次が、部屋に入った )



           恋次:  修兵!
                何やってんだョ!

                早く離れろ!
                そんな事、やってる場合じゃねーだろー。
                ちゃんと、説明したのか?



           修兵: いや・・・まだ・・・。



                恋次・・・?
                どうしたの?
                何かあったの?



           恋次:  「何かあったの?」じゃねーだろー!
                何で、何にも言わねーんだョ!

                とにかく、離れろ!
                いつまで、くっ付いてんだ!



               ( 修兵が、 を離した )



                何・・・?



           恋次:   、日曜日デートしようぜ。
                俺でも、修兵でも・・・好きな方選べョ。
                お前の好きな所に、連れてってやる。
                欲しい物があったら、何でも買ってやるョ。



                え・・・・・・・
                あのさぁ・・・、日曜日は、ダメなんだ・・・。
                ごめんね・・・。



           修兵: 何でダメなの?
               仕事は、入ってないはずだョね?



                うん・・・。
                仕事じゃないけど・・・ちょっと、ダメなんだ・・・。



           恋次:  「ちょっと」って・・・何だョ?

                ココの子達と、出かけるのか?
                だったら、断われョ。

                俺か修兵が、「一日お前に尽くそう」って言ってんだからさー。
                誰と出かけるよりも、絶対「得」だぜ。

                どっちがいい?
                俺か? 修兵か?




                え・・・・・・
                だからね・・・
                日曜日は・・・ちょっと用事があるから・・・ダメなの・・・。



           修兵: だから、その「ちょっと」って、何?



                え・・・・・・・・・・・・



           恋次:  あれ?
                何だ・・・? この着物?
                随分、高そうな振袖だなぁー。
                買ったのか?



           修兵: 振袖なんて・・・いつ着るの?
               着る時・・・教えてョ、見に来るからさー。

               あー・・・でも・・・
               振袖なんて着て、何処行くの?
               ねぇ、教えてョ。



                え・・・・・・・・・・・・



           恋次:  でも、高そうだけど・・・
                あんまり、趣味良くねーなー、この振袖。
         
                 には、似合わねーョ。



           修兵: 同感。

               何で、こんなの選んだの?
               まぁ・・・着れば、着たで、可愛いとは思うけど・・・
                の雰囲気じゃないね。

               コレ・・・、自分で選んだの?



                え・・・、違うけど・・・・・・。



           恋次:  じゃあ、誰が選んだんだョ!

                こんなの買って、どーすんだ!?
                買ったんじゃ・・・ねーョな?

                こんなの貰いやがって・・・・・・
                コレ着て・・・何処に行こーってんだョ!

                いい加減、白状しろョ!!




                恋次・・・・・・・



           修兵: 日曜日・・・コレ着て、出かけるんでしょ?



                うん・・・・・・。



           修兵: 何処行くの?
               ・・・っていうより・・・何しに行くの?・・・かな?



                え・・・・・・・・・・・・



           恋次:  俺達には、言えねーか!?

                そーだョなー、今の今まで、何にも言ってこねーんだもんな。



           修兵: 何で隠してるの?
               俺達に知られたら、不味い?

               確かに、俺達が知ったら・・・
               「止めさせる」か、「ぶち壊す」か・・・どっちかだけどな。

               それが「嫌」って事は・・・・・・

               したいの?

               「お見合い」。



           恋次:  「見合いがしたい」って事は・・・
                「結婚したい」って・・・事か!?

                しかも、俺達にナイショって事は・・・・・・
                俺達以外の男と・・・一緒になりてーって事か?

                生憎だけど、そうはさせねーョ。
                「見合い」なんて、絶対させねーからな!!




                ???

                何で・・・お見合いの事、知ってるの?



           修兵: 昨日、ココの隊長さんが、俺達二人に教えてくれた。

               でも・・・
               隊長さんも、不思議がってたョ・・・。

                は・・・「お見合い」嫌がってるのに・・・
               何で、俺や恋次に相談しないんだろう? ってさぁ・・・。



           恋次:  隊長・・・心配してたぞ。

                最初に、話持ってこられた時・・・
                お前・・・
                「見合いなんて、したくねーから、断わってくれ」って言ったんだろ?




                うん・・・。



           恋次:  でも、隊長・・・相手に食い下がられて・・・
                「会うだけは、会ってくれ」って・・・。

                で、断わりきれなくなって・・・
                「見合い」する事になっちゃった・・・って・・・。



           修兵: 隊長さんは・・・いろんな立場があるからなー・・・。

               相手が、「薬問屋」って事もあるし・・・
               自分の意見押し通して、「見合いさせない」って訳には
               いかなかったんだろうなぁー。



           恋次:  隊長も・・・
                俺達なら、何とかすんだろう・・・って思ってたみたいだけど・・・

                肝心の、 が・・・一向に動かねーから・・・。



           修兵: このまま「お見合い」させちゃったら・・・
               「 は、薬問屋と結婚する事になっちゃうんじゃないか?」
               って・・・心配になったってさ。

               それで、俺達に教えてくれたんだョ。



           恋次:  隊長も、分かってるからなー・・・
                 が、「断わるの下手だ」って事。



           修兵:  ・・・・・・
               「お見合い」・・・嫌なんだろ?



                うん・・・。



           恋次:  じゃぁ何で・・・何にも言ってこねーんだョ!?

                いつもなら・・・
                「どうしよう〜」って、助け求めに来るじゃねーか。



           修兵: そーだョ。
               これで、隊長さんが教えてくれなかったら・・・
               どうするつもりだったんだョ?

               それ思うと・・・怖いョ・・・。




                ちゃんと、断わるもん。



           恋次:  無理だろー!

                お前に、断わる事なんて、出来ねーョ。

                隊長だって、結構頑張ったって、言ってたョ。
                 には・・・仲いいヤツがいるからって・・・・・・
                一生懸命、言ってくれたんだョ・・・。

                それでも相手は・・・引かなかった。

                たとえ に、恋人がいたとしても・・・
                「見合いする権利はある」って・・・。

                会って、話して・・・
                自分をちゃんと解ってもらうチャンスは、あるはずだって・・・。

                見合いした上で・・・嫌なら、断わればいい・・・。
                見合い自体を断わるのは、納得いかねぇ・・・って。

                隊長が、押し切られたくらいなんだぞ。

                まぁ・・・隊長は立場上・・・
                ココ以外の連中と、あんまり波風立てる訳にはいかねーって事もあって
                そんなに強くは、出れなかったみたいだけど・・・・・

                 には、断われねーョ。



           修兵: あぁ、絶対無理だ。



                え・・・、でも・・・
                相手が、断わってくるって事も・・・あるでしょ?

                私の場合は・・・多分そうだョ。

                見た目も良くないし・・・
                こんな立派な振袖着たって・・・中味が全然伴ってないしさー・・・。

                絶対、断わられるョ。

                もし、恋次が私とお見合いしたって・・・断わるでしょ?
                可愛くも、女らしくもない女なんて・・・即、却下だョね?



           恋次:  え・・・・・・
                いや・・・・・俺は・・・お前に、一目惚れだし・・・・・・

                可愛くねぇところが、可愛かった・・・っていうか・・・・・・

                あぁ・・・、見た目は・・・・・・可愛いョ・・・。
                俺の好みだ。


                ・・・・・・・・・ん?

                今は、俺の事なんて・・・どーでもいいんだョ。

                お前・・・
                相手が、断わってくると思って・・・楽観してたのか?

                まぁ・・・
                相手も、 の事知らなくて、初対面同士の見合いなら・・・
                断わってくる可能性も・・・少しはあるだろうけど・・・・・・



           修兵: それでも・・・断わってくる可能性は、低いョ。
               
               14番隊副隊長、ご指名のお見合いなんだからさー・・・
               相手方は、かなり の事、調べてるはずだし・・・
               会った事なくても、 の事は、大体分かってるョ・・・。

               気・・・悪くするなョ・・・



                うん。



           修兵: 相手方は・・・
                の、能力に目を付けて・・・
               「お見合い」申し込んでくるんだからさー・・・。
               向こうからは・・・断わってこないョ・・・。

               今までにも・・・
               医療関連の所からの申し込みは・・・
               何件かあったって・・・隊長さん言ってたョ・・・。




                え・・・・・・
                そーなんだ・・・・・・。



           恋次:  気にするな、そんな事。

                それに・・・
                今回のヤツは・・・
                 の事知ってて・・・気に入って・・・申し込んできたんだョ。

                何でも・・・養成所時代のお前の事・・・知ってるらしいョ・・・。
                だから、絶対断わってなんてこねぇ。

                初対面なら・・・こんな高価な振袖、送ってこねーだろー。



           修兵: あー、コレ・・・送り返しておかねーとな。




                えっ?
                でも・・・お見合いは、しなくちゃいけないんでしょ?

                あぁ・・・、断わるんだから・・・
                ソレは、着ない方がいいのかなぁ〜?



           恋次:  「見合い」は、ナシだ!

                 にはちゃんと・・・仕事が入ってる。

                ココでは、仕事最優先だからな。
                私的な事・・・「見合い」なんて、中止だ、中止!



           修兵: えっとねー・・・
               俺と、恋次と、 で・・・明日から、2泊3日で、温泉で会議。

               俺と ・・・二人だったら、良かったのになぁ〜・・・。



           恋次:  それは、こっちのセリフだ!

                しょうがねーだろー。
                「会議」として、正式に認められるのは・・・
                最低、3人からだって、言われたんだから。

                2人じゃ「会議」として、成立しねーんだってさ。



                えっ・・・? どーいう事?



           恋次:  だから・・・明日から、2泊3日で、「会議」なんだョ。

                他に、日曜だけの仕事は・・・ には、危険なのしかなくて・・・。

                土・日だけの会議は・・・
                よっぽど緊急なのじゃなくちゃ、正式に認められなくて・・・。

                だから・・・
                金曜からの、3日間の会議をセッティングして、正式に出してきた。

                認められたからな。
                ちゃんとした、任務だぞ。



           修兵: 会議の内容はね〜・・・

               「薬湯と温泉の併用による、治癒速度の違いについて」

                が必要じゃなきゃいけない議題・・・
               俺と恋次の頭じゃ、考えられなくてなー・・・。

               一か八か・・・コレで出してみたら、通ったョ。

               「会議」っていうよりは・・・
               俺と恋次は、実験台で・・・実践して、データを取るって感じかな?

               だから、薬湯・・・持って行かなきゃ、ならないんだョ。
               それを、向こうで俺達が飲んで、温泉に入って、どんな感じか話し合う。



           恋次:   ・・・、薬湯なんだけどさー・・・
                辛いのは・・・やめてくれョな。
                それから・・・あんまり不味いのも・・・勘弁な・・・。




                でも・・・
                何でもないのに、薬湯飲んでも・・・
                「治った」とか、分からないじゃない・・・?



           修兵: 俺達が、体張るんだョ。
               病気は、無理だけどな・・・。
               あー、恋次に、腹でも壊してもらうか。



           恋次:  何言ってんだョ、お前がやれョ!



           修兵: 俺は、怪我の方がいい。
               骨折は・・・ちょっと辛いけどなー・・・・・・
               そんな事、言ってらんねーョな。
               何でもやるョ。



           恋次:  俺も、怪我のがいいョ。



           修兵: 我がまま言うんじゃねーョ。

               恋次は・・・腹壊すだろ、それと・・・
               凄く不味い物でも食って、気持ち悪くなるとか・・・

               あー、
                に、冷たい言葉言われて、「胃が痛くなる」なんてのもいいな。

               ストレスによる「胃痛」なんて・・・
               最近、患者・・・多いんじゃねーか?
               なぁ、




                うん・・・、まぁ・・・そーいう人は、多いけど・・・。



           恋次:  冗談じゃねーョ!
                俺は、嫌だからな。

                大体・・・そんな事されなくたって・・・
                俺の「胃」も「精神」も・・・多少、参ってるョ・・・。
                 は・・・俺には、冷てーもんなー・・・。

                今回だって・・・
                何で、何にも言ってこなかったんだョ!?

                俺に言っても、しょうがねーか?

                俺なんか・・・どーでもいいか?

                頼りになんて、なんねーか?

                酷いじゃねーかョ・・・・・・。

                こんなに重大な事・・・何にも言ってくんねーなんて・・・・・・。



           修兵: 俺も・・・同感だな・・・。

               何で・・・何にも言ってくれなかったの・・・?

               俺達には・・・教えたくなかった?




                え・・・・・・・・・・・・

                そうじゃなくて・・・・・・・・・・・・

                恋次と修兵には・・・言えなかった・・・・・・・・・・・・。

                言うのが、怖かったの・・・・・・・・・・・・。

                                                            To be continued                 2006,5,11 up  

 

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