6月12日(後編)



               〔 養成所  と鳳の部屋 (仕事の後) 〕



            鳳: 良かったですね、一人・・・14番隊に、入隊してくれる事になって。



                うん。
                やっぱりさぁ・・・ココに来たのは「仕事」だョ。
                教官だって、サポートしてくれてたし・・・。



            鳳: そうですね・・・・・・。
               でも・・・
               教官が、あんなに一生懸命になってくれたのは・・・
               他にも、理由があるみたいなんで・・・・・・。



                理由って・・・?



            鳳: 俺・・・
               他の人達が話してるの、ちょっと聞いちゃったんですけど・・・。



                うん・・・。



            鳳: 教官・・・
               「14番隊副隊長」になれるような人材、必死に探してるって・・・。

               優秀な人を、14番隊に送り込んで・・・
                副隊長を、連れ戻そうとしてるらしいんですョ・・・。

               今回の人は、そこまで優秀じゃないけど
                副隊長が、戻って来やすいように
               一人でも多く、14番隊に入れようとしてるって・・・。

               そして、日にちを今日にしたのは・・・・・・
                副隊長が、「恋人の日」に、教官に会いに戻ってきたって
               周りに思わせる為・・・・・・。



                えっ?



            鳳: こっちでは、今日を指定してきたのは・・・
               「 副隊長」って事になってるって、聞きました・・・。



                えっ・・・? そーなの?
                何でそんな事・・・・・・?



            鳳: 周りに、自分達は「相思相愛」だって、思わせたいんでしょうね。

               前に、「結婚する」って噂・・・立ってたじゃないですか・・・?
               でも、教官が思ってたように、話は進まないし・・・。

               教官もプライドがあるでしょうから・・・
               自分は「愛されてる」って、思わせたいんじゃないですか・・・?

               結婚出来ないのも、 副隊長の仕事のせいって事にして・・・。




                結婚って・・・私達、そんな仲じゃないョ?




            鳳: だから今日・・・あなたを、呼んだんじゃないんですか?
               「そういう仲」になろうと思って・・・。




                え・・・・・・・・・・・・




            鳳: とにかく、教官の部屋には行かせません!

               教官が訪ねて来ても、ココには入れませんから。




                え・・・でも・・・・・・
                他の話しが、あるかもしれないじゃない・・・・・・。




            鳳: ありません!!!




               『バタン!』 ( ドアが開いた )




            鳳: 阿散井副隊長ーー・・・・・・。




                えっ?

                あっ・・・・・・・・・・・・

                恋次・・・・・・どーしたの?

                何で、こんな所に居るの?




           恋次: お前こそ、どーしてこんな所に居るんだョ!!!




                仕事だョ・・・・・・。




           恋次: 仕事なら仕事って・・・
               どーしてあの時、言わなかったんだ!?




                ・・・・・・だって・・・・・・・・・・・・




            鳳:  副隊長・・・
               阿散井副隊長が来てくれて、良かったですね・・・。

               阿散井副隊長、俺はこれで帰ります・・・後は・・・・・・




           恋次: あぁ。
               大丈夫だ。




            鳳: はい。
               では・・・、失礼します。




                えっ?
                鳳君・・・帰っちゃうの?

                ちょっと待って・・・、恋次・・・怒ってるみたいだし・・・・・・。



               (  が、鳳の袖口を掴んだ )




            鳳: え・・・あ・あの・・・・・・・・・・・・




           恋次:  !!
               何処、掴んでんだ! 離せ!!




                で・でも・・・・・・・・・・・・




           恋次: 離せ!



               (  が、鳳の袖口を離した )




            鳳: 阿散井副隊長・・・あのー・・・
               あんまり怒らないであげて下さい・・・。
               お願いします・・・。




           恋次: 分かってるョ。

               バカの引率、ご苦労さん。
               じゃあな。




            鳳: はい。



               ( 鳳が、部屋から出て行った )






                恋次・・・・・・「バカ」って・・・・・・




               バカはバカだ!
               大バカだ!!

               本当はこの後・・・
               教官の部屋に、行くつもりだったんだろ!?




                うん・・・。
                でも・・・鳳君が、絶対ダメだって・・・・・・。




               当たり前だ!!

               お前・・・いくら鈍くたって、分かんだろ?
               夜、男の部屋に訪ねて行くってのが・・・どういう事かくらい・・・。

               しかも今日は「恋人の日」で、教官は、お前に惚れてんだ。

               どうなるかは・・・火を見るより明らかだ。




                でも・・・真面目な話しがあるからって・・・・・・




               バーカ!
               何処までバカなんだョ、お前は!!!

               教官が、夜・・・・・・
               自分の部屋に、大好きなお前呼んで、何か講義でもするってのか?

               それとも、仕事の話の続きか?

               そんなヤツ、いる訳ねーだろー!

               教官の言う「真面目」ってのは・・・
                を、口説き落とすって事だろ?

               「真面目」イコール、「真剣にプロポーズする」とか・・・
               そういう意味だ。

               そしてその後・・・・
                を・・・どうにかしようって・・・考えてんだョ・・・。





                え・・・・・・・・・・・・




               そういう行為が、全て不真面目って事じゃねーだろ?

               教官は、真面目に考えてるんだョ。
               お前との事をさ・・・。




                そんな事ないと思うけど・・・。
                じゃあ・・・今日の話は・・・断わってくる・・・。




               話は付けて来たから、行く必要ねぇ。




                えっ?




               一応な・・・・・・
                の気持ちを尊重して・・・って事で、お互い納得したんだ。

               俺は・・・お前を、信じてるんだけどさ・・・。




                どーいう事?




               俺か教官・・・どっちか選べ。

               今日・・・「恋人の日」・・・
                が、一緒に居てーって思う方・・・・・・。




                えっ・・・?

                恋人の日って・・・・・・
                別に、恋人じゃないんだから・・・私達には、関係ないんじゃないの?




               まぁ・・・、厳密にはそうなんだけどさー・・・。

               惚れてる方からしちゃ・・・
               こんな「取って付けた」ような日でも・・・
               一緒に居てーって・・・思うんだョ。

               恋人だとか、そんな事・・・全然考えなくていいョ・・・。


               俺と・・・居てくれるか?




                うん。




               ・・・・・・本当に?




                うん。

                あのさぁ〜・・・・・・。




               ん?




                ちょっと遅れちゃったけど・・・・・・


                恋次・・・・・・
                お帰りなさい・・・・・・。

                怪我・・・してないみたいで、良かった・・・。




               えっ?

               あ・・・あぁ・・・・・・。
               怪我なんて、してねーョ。
               ただの調査だからな。




                うん・・・・・・。

               (  の目が、涙で潤んだ )




               お・お前・・・、泣くなョ。
               こんな事位で、一々泣かれてたら、堪んねーョ・・・。




                ・・・・・・ごめんなさい。
                でも・・・勝手に涙が・・・・・・。

               (  の目から、涙が溢れた )




               い・いや・・・・・・いいんだけどな・・・・・・。
               でも、泣かれるよりは・・・笑って迎えて欲しいな。

               あっ、じゃぁさー・・・・・・
               無事帰還した褒美・・・くれョ。




                褒美?




               あぁ。

               「お帰りなさいのキス」

               頬っぺに「チュッ」ってさ。




                え・・・・・・・・・・・・・・・・・・




               何で急に、眉根に皺が寄るんだョ。




                だって・・・
                恋次が、そんな事言うなんて、思わなかったから・・・。




               何だョ!
               俺が言っちゃ、悪いか!?




                悪くはないけど・・・でも・・・・・・




               出来ねーんだろ?
               最初から、期待してねーョ。
               冗談だ。

               これで、涙も止まったし・・・
               こんな所に、長居は無用。
               とっとと帰るとするか。




                恋次・・・・・・?




               ん?




                届かないョ・・・。




               えっ?




                少し、しゃがんでくれないと・・・届かない・・・。




               !!!!!

               バ・バカ・・・・・・・・・・・・・・・
               冗談だって、言っただろ!!??

               無理しなくていいョ。

               俺も・・・まぁ・・・そりゃ、して欲しいけどさー・・・。

               強制して、無理矢理やらせたみたいじゃ、嫌だからさぁ・・・。


               次・・・機会があって・・・
                が、その時・・・褒美やってもいいって、思ってくれたら・・・
               自然に、してくれョ。
               俺は、いつでも大歓迎だからさ。




                ・・・じゃぁ・・・一生ないね。




               え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




                だって・・・私からじゃ、絶対に届かないもん。




               お前・・・、もっと背伸びろ!




                そんなの無理だョ。
                この企画は「なし」ね。




               え・・・じゃぁ、やっぱり今・・・・・・・・・・・・




                帰るなら、早く帰ろう。
                眠くなっちゃうョ。




                ・・・・・・・・・・・・

               格好つけなきゃよかった・・・・・・。




                でもさぁ〜・・・
                夜中になんて帰ったら、夜勤の人達、びっくりするだろうね。




               えっ?

               あー、医療所には戻んねぇ。
               俺の副官室、直行だ。




                えっ? 何で?




               俺・・・
                と食おうと思って、現世からケーキ買って来たんだョ。
               でっけぇやつな。

               「恋人の日」が、めでてぇって訳じゃねーけど・・・
               でも、お前と過ごせるなら・・・
               何か、特別な物でもあった方がいいかなぁ〜って・・・。

               本当は・・・
               極上の酒でも、飲み交わしてーところだけど・・・
               お前・・・酒、ダメだもんな。




                恋次・・・・・・。

                あっ、恋次・・・6月12日が「恋人の日」だって、知ってたの?




               知らなかったョ・・・。

                がこの前、俺の所に来た時・・・
               6月12日に、何かあるような事、言ってただろ?

               お前は、何も言わなかったけど、気になったから・・・
               あの後、 の任務予定表、確認しに行ったんだョ。
               でも・・・その時点では、何も入ってなかった。

               じゃあ・・・親睦会か?って思って、そっちにも聞きに行ったけど
               「何にもねぇ」って事だったから・・・
               大した事じゃねーのかなぁ〜って思って
               そのまま、現世に行ったんだ。




                うん・・・。




               でも、どーしても気になったから
               一緒に行ったヤツらに「6月12日」って、何かあるのか?
               って、聞いてみたら・・・
               その日は・・・「恋人の日」だって言われて・・・・・・。

               それ聞いて、一気に不安になって・・・
               こっちに連絡取って、 の任務予定表確認してもらったんだョ。

               そーしたら・・・

               「6月12日、13日 養成所」ってなってるって言われて・・・

               それからは・・・
               何が何でも、6月12日までに、仕事終わらせて
               「 を迎えに行ってやる」って
               夜も寝ねーで、仕事頑張ってきた・・・、良く言えばな。

               本当のところは・・・
                が心配で、寝てなんていられなかった。

               寝れねーなら・・・時間、有効に使わねーとな。

               で、殆ど寝ねーで仕事して・・・
               今日、無事、 を迎えに来る事が出来た。
               ・・・ってところだな。


               お前、あの時・・・
               養成所行きの同行、頼みに来たんだろ?

               何で、言わなかったんだョ?





                え・・・
                だって、恋次が現世行くって聞いて・・・
                それどころじゃ、なくなっちゃったんだもん・・・・・・。

                それに、あの時私・・・
                同行、頼みに行ったんじゃないョ・・・・・・。




               えっ?

               だって・・・6月12日って・・・言ってたじゃねーかョ?




                私は、あの時・・・・・・

                6月12日・・・会えるかなぁ〜?って・・・
                聞きに行ったの・・・。




               えっ!?




                教官から・・・
                「恋人の日、一緒に過ごそう」って、手紙が来て・・・。

                もちろん、仕事が主で・・・その後にって事だけど・・・。

                でも・・・出来れば・・・
                「恋人の日」なんかに、会いたくなかったから・・・

                だから、もし・・・恋次が会ってくれたら
                教官の方は、仕事で行く事自体、断ろうと思ってたの・・・。

                「好きな人と会うから」って言って・・・・・・。




               えっ!!??




                あっ・・・、ごめんね・・・。

                恋次を、利用するつもりじゃないんだけど・・・
                でも・・・嘘ついちゃおうと思ってた・・・。




               だからあの時点では、任務予定表に入ってなかったのか・・・・・。




                うん・・・。




               嫌なら、断わっちまえばいいだろー!
               会いに行く事なんてねーョ。

               そんなに嫌なのに・・・
               何で、部屋にまで行こうとしたんだョ?




                ハッキリとした理由もないのに・・・断われなョ・・・。

                教官は・・・
                私にとって、大切な人であるのは、変わりないんだもん・・・。

                それに・・・私の被害妄想かもしれないでしょ?
                それの可能性のが高いもん。




               じゃぁ・・・今日・・・・・・
               覚悟決めて、ヤツの部屋に行くつもりだったのか・・・?




                覚悟って・・・・・・・・・・・・




               ( 恋次が を、そっと抱きしめた )




               男の部屋になんて、絶対行くな!

               約束してくれ。




                うん・・・。




               絶対だぞ。




                うん。




               よし。

               じゃあ、早く帰って・・・ケーキ食うか。




                うん。

                恋次・・・・・・本当に、無事で良かった・・・。




                ・・・・・・。

               当たり前だ。
               俺を、誰だと思ってるんだ?
               調査行ったくらいじゃ、傷の1つも付かねーョ!




                うん・・・そーだね・・・。

                そうは思ったけど・・・・・・




               (  と恋次が、見つめ合った )




                心配だった・・・・・・。




               お前に認めてもらうには・・・
               俺も、まだまだって事なのか・・・?




                恋次・・・・・・・・・・・・




               ( 恋次が少し腰を屈め・・・ )




                お帰りなさい・・・。




               あぁ。









                ・・・・・・・・・・・・・・・「チュッ」。

                                                             fin                        2006,6,14 up  

 

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あとがき

6月12日に、間に合いませんでしたが・・・
「恋人の日」に、初のKiss ♥
それも、ヒロインちゃんの方から〜
って、言っても・・・頬っぺに「チュッ」ですけどね(笑)

これで、二人の距離が縮まったかは、疑問ですが・・・。
(多分、ただのご褒美?です)
恋次には、良い6月12日になったのでは?(笑)

長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました☆
お時間ありましたら、また遊びに来て下さいませ。