待つョ(後編)



           


           修兵: 俺達が、元気出るような言葉・・・言ってくれョ。



                え・・・? 何て??



           修兵: 言ってくれるか?



         −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



                うん・・・。



           修兵: じゃぁ・・・・・・「愛してる」がいいな〜。



                えっ??



           修兵: 「好き」とか「大好き」じゃさー・・・・・・
                の思ってる意味と、俺達の思ってる意味に
               大きなズレがあるから。

               「愛してる」なら・・・そのままの意味しか、ないョな?




                ・・・「愛してる」って、言えばいいの?



           修兵: あぁ。



                じゃあ・・・・・・
                えっと・・・・・・・・・・・・・「愛してる」。



           修兵: 誰を?



                え・・・・・・・・・・・・



           修兵: ちゃんと、名前呼んで・・・言ってくれョ。

               本当は、俺だけでいいんだけどな。
               今回のは・・・罰ゲームみたいなもんだから・・・
               お情けで、恋次にも言ってやってくれ。



           恋次:  何だと!

                 、先に俺に言え。

                「愛してる」って言った後、俺の事抱きしめろ。
                それで、許してやる。




                えっ・・・、許すって・・・・・・
                恋次、怒ってるの?



           恋次:  あぁ、凄くな。

                何でもいいから、早くしろ。




                うん・・・・・・。

                恋次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




           恋次:  その後は?




                あ・・・・・・
                あ・・・・・・

                あ・・のさぁ・・・・・・・・・・・・




           恋次:  違うだろー。

                「あいしてる」だ!




                恋次・・・・・・・・・・・・

                あ・・・・・・
                あ・・・・・・

                あ・・した、晴れるかな・・・・・・?




           恋次:  ・・・雨だ。




                恋次・・・・・・・・・・・・

                あ・・・・・・
                あ・・・・・・

                あ・・・あれ?
                もう、こんな時間だ・・・。
                私、帰らなくちゃ・・・・・・。




           恋次:   ・・・・・・。


               ( 恋次が、 の耳元で・・・ )


           恋次:  何も言わないでいいから・・・
                とりあえず、俺に抱きつけ。
                それで、全部終わりだ。




                えっ・・・?



           恋次:  早くしろ。



                うん・・・・・・。


               (  が、恋次の胸に、額をつけた )



           修兵: 何やってんだ?
               恋次に言えないなら、俺に・・・・・・



           恋次:  うるせーな。
                 の好きにさせてやれ。



               (  が、恋次の背中に、手を回した )




                恋次・・・・・・



           恋次:  言いたくねぇ事・・・無理に言う必要ねぇ。

                少し・・・このままで居ろ。
                 が、嫌じゃなけりゃな・・・。



                うん・・・。



           修兵: それで終わりか?

               じゃあ次は、俺の番な。



           恋次:  修兵・・・・・・
                 に・・・無理に言わすのは、止めようぜ。

                 を苦しめるのは・・・俺の本意じゃねぇ。

                 が「そんな事」・・・
                「さらっ」と冗談で言える女じゃねぇ事・・・
                俺達が、一番良く分かってるじゃねーか?

                もぅ、止そーぜ。
                 ・・・怪我もしてるんだし・・・。



           修兵: ・・・分かったョ。

               それなら、早く離れろ。



           恋次:  これは・・・
                 の意志で、してくれてる事だから
                お前の口出す事じゃねーだろ?



           修兵:  の意志?
               違うんじゃねーか?
               恋次が、誘導したんだろ?
               汚ねーョ。



           恋次:   が、してくれてる事だ。
                俺だって、強制は出来ねーョ。

                 ・・・、抱きしめていいか?
                背中・・・怪我してねーか?




                背中は・・・大丈夫だけど・・・・・・。



               ( 恋次が を、そっと抱きしめた )



           修兵: 恋次!

               止せ。

               
               恋次に何て言われたか知らねーけど、もう離れろ。



               ( 修兵が、 の肩を掴んだ時・・・ )




                痛ッ・・・・・・



           修兵: えっ?

               あっ・・・、ご・ごめん・・・。



           恋次:  修兵ーー、何やってんだョ!
                 は、怪我してんだから、やたらと触るんじゃねーョ。



           修兵:  ・・・ごめんな・・・。
               悪かった・・・。




                ううん・・・大丈夫。



           修兵: そんなに痛いなら、すぐに治してもらいに行こうョ。
               恋次とくっ付いてたって、治んないからさー。

               恋次、
               お前も、本当に が大切なら
               早く、怪我治してやった方が、いいんじゃねーか?



           恋次:  んー・・・。

                 、お前・・・足も怪我してんだろ?
                なら、抱いてってやるョ。



               ( 恋次が を、抱き上げた )




                え・・・、いいョ・・・。
                恋次・・・、下ろして。
                こんな格好で、医療所には帰れない・・・。




           恋次:  怪我してんだから、構わねーだろ?
                早く治してもらって・・・、「特訓」しような。



                え・・・・・・・・・・・・?



           修兵: 体力測定って、いつだったっけ?



           恋次:  確か・・・明後日だな。



           修兵: 時間ねぇなー。
               今回の基準クリアは、無理だけど
               好い線まで、頑張らせねーとな。



           恋次:  だな。

                俺達ついてんだから・・・
                あんまり、みっともねぇ数字出されちゃ、困るョな。




                れ・恋次?
                私・・・体力測定、受けないョ・・・?



           恋次:  ダメだ。
                受けとけ。




                何で・・・?
                男の人だけで、いいんでしょ?



           恋次:  ちょっと動いただけで、こんなに怪我してるようじゃ、ダメだろ?
                訓練しとくに越した事ねーョ。

                 の為だ。
                しっかりやれョ!




                それと・・・体力測定は、関係ないでしょ?



           修兵: 何か、目標があった方が、やりやすいだろ?



           恋次:  何にもなくて、ただの「体力向上」だけの為にじゃ
                厳しい特訓は、耐えらんねーョ。

                今回は、 だけの特別基準値を、俺達が決めて
                そこまで頑張ってもらう。
                いいな。



           修兵: 時間ないから、早く医療所行こーぜ。



                え・・・・・・・・・・・・

                あ・あのさぁ・・・・・・
                特訓してもさぁ・・・・・・
                測定は、明後日だし・・・無理だョ・・・・・・。



           恋次:  自分で、こんなになるまで、訓練したんだろ?
                その成果を見せてもらって・・・
                さらに、俺達の特別メニューをこなせば、どーにかなるョ。




                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




           恋次:  何だョ、根性ねぇな!?



                気持ちだけじゃ・・・どーにもならないもん・・・・・・。



           修兵: やる前から、投げてんのか?



                だって・・・・・・
                私には、無理だもん・・・・・・。



           恋次:  もぅ・・・いいな。
                 困らせても・・・いい気しねーや。



           修兵: そうだな・・・。
               かえって、自己嫌悪に陥るな・・・。



                えっ?



           修兵:  が、俺達に冷てーから・・・
               ちょっとだけ、仕返ししたかったんだョ・・・。
               「愛してる」も、言ってくんねーしさ・・・。



           恋次:  「すぐに治療してもらう」以外は、全部冗談だ。
                お前の運動神経なんて、「どうでもいい」って、言っただろ?
                まぁ、少し鍛えた方が、お前の為にはなるだろうけどな。



                体力測定は・・・受けなくていいの・・・?



           恋次:  あぁ。



                特訓もなし?



           恋次:  あぁ。
                治ったら、ゆっくり休め。

                無理・・・したんだろ?



                うん・・・。

                あ・あの・・・・・・
                恋次・・・、修兵・・・・・・、ありがとう・・・。



           修兵: ん?
               特訓なくなったのが、そんなに嬉しいのか?



                そうじゃなくて・・・・・・

                もし、私が・・・
                「特訓する」って言ったら・・・してくれたんでしょ?



           恋次:  えっ?

                そりゃなぁ・・・・・・
                 が、やりてーなら、幾らでも付き合うョ。



                二人だって忙しいのに・・・
                私の為に、時間作ってくれようとしたんだもんね・・・
                ありがとう・・・。



           恋次:  まぁ・・・ の為なら、何でもするけど・・・
                今回のは・・・微妙だな・・・。

                ちょっと・・・ の事、困らせてやろうと思っただけだから・・・
                礼には、値しねぇ・・・・・・。



           修兵: いいじゃねーか。
               礼は、素直に受け取ろうぜ。

                ・・・
               俺は・・・「ありがとう」じゃなくて
               別の言葉がいいんだけどなぁ〜・・・?



           恋次:  修兵・・・、しつけーョ。
                止めとけ。



           修兵:  の気持ち・・・俺、欲しいな・・・。



                気持ちって・・・さっきの言葉?



           修兵: うん。



           恋次:  いいョ、放っとけ。




                でも・・・それが、お礼になるなら・・・・・・



                「修兵・・・愛してる・・・・・・・・・・・・」



                これでいい?




           修兵:  ・・・・・・。

               いいんだけどさぁ・・・
               恋次に抱っこされてる状態じゃ・・・
               ちょっと、雰囲気ねぇもんな・・・。

               俺の方に来いョ。
               そしてもう1度・・・言ってくれ。



           恋次:  終わり、終わり!
                今ので、十分だ。

                 を、修兵になんて渡さねーしな。

                大体・・・何だョ、 !!!

                俺の時は・・・
                「あのさぁ」とか「あれ?」なんて言っておいて・・・・・・

                修兵には、1回で・・・「愛してる」って・・・・・・

                許さねぇ!




                え・・・で・でも・・・・・・
                本心じゃないし・・・・・・・・・・・・・



           恋次:  じゃあ何で・・・俺には言えねーんだョ?



           修兵: 言いたくないからだろ?
               あんまり責めんなョ。



           恋次:  うるせー!

                修兵・・・
                先に医療所行って、隊長に の治療、頼んどいてくれ。

                少し話したら、すぐ行くから。



           修兵: いいけど・・・
               恋次の思うようにいかねぇからって・・・
               怒ったりするなョな。



           恋次:  分かってる。
                心配には及ばねぇ。



           修兵: じゃあ・・・早く来いョ!
                は、怪我人なんだからな。


               ( 修兵が出て行った )



                恋次・・・・・・
                あ・あのね・・・・・・
                さっきは、何か・・・ド・ドキドキしちゃって・・・・・・。



           恋次:  そんな事・・・どうでもいいョ。
                少し・・・二人っきりに、なりたかっただけだ。



                えっ・・・?



           恋次:  でも・・・
                本心じゃねぇなら、誰にも言うな。
                「愛してる」・・・なんて・・・。



                うん・・・。

                恋次は・・・嫌だったでしょ?
                私に「愛してる」・・・なんて言われたら・・・?



           恋次:  何でそー思うんだョ?

                そんな事言ってると、また「鈍い」って言うぞ!



                え・・・・・・?



           恋次:  俺だって・・・・・・
                お前に「愛してる」って、言われたかったョ・・・。

                でも・・・
                嘘や冗談じゃ、しょうがねーから・・・・・・
                本当にそー思って・・・心から言ってくれるのを・・・待ってる・・・。



                恋次?



           恋次:  嘘や冗談なんか、いらねーョ。

                 からの・・・本当の「愛」が欲しい。

                待ってるからな!

                お前が・・・愛してくれるのを・・・・・・。




                えっ??

                あ〜・・・、早く誰かを、好きになれって事? 



           恋次:  「誰か」じゃねーョ、「俺」だ。



                「俺」って・・・・・・誰?



           恋次:  「俺」は、「俺」だろ?



                もしかして・・・・・・「恋次」?



           恋次:  もしかしなくても、「恋次」だョ!



                えっ??

                あっ、そーか。
                じゃあ・・・頑張ってみる・・・。

                でも・・・何でかな・・・?
                恋次が相手だと・・・ドキドキしちゃう・・・・・・。




           恋次:  えっ?




                恋次・・・・・・・・・・・・

                あ・・・・・・

                あい・・・・・・・・・・・
                あい・・・・・・・・・・・




           恋次:  アイスでも食うか?



                もぅー、恋次・・・・・・
                茶化さないでョ・・・、真剣なんだから・・・。



           恋次:  真剣って・・・、本心じゃねーんだろ?
                いいョ、そんな事言わなくて。

                代わりに俺が、「本心」で言ってやる。

                よく聞いとけ。



                 ・・・、愛してる。

                ・・・愛してる。

                愛してる。




                恋次・・・・・・・・・・・・・・・・




           恋次:  どーだ?
                少しは、嬉しいか?

                それとも・・・何とも思わねーか・・・?




                え・・・・・・・・・・・・・・・・・・




           恋次:  顔・・・赤くなったなぁ・・・・・・。

                とりあえず、言葉はお前に、届いたんだな?




                わ・私だって・・・そのくらい・・・言えるもん・・・。




           恋次:  そーか?

                じゃあ、言ってくれ。
                俺が先に言うから、その後・・・お前の言葉でな。




                う・うん・・・。

                い・言えるョ・・・そのくらい・・・・・・。



               ( 二人が、見つめ合った )




           恋次:  ・・・

                 、愛してる。
                俺の女になってくれ。




                れ・恋次って・・・・・・
                お芝居上手だね・・・・・・。




           恋次:  ・・・

                 は・・・下手だな・・・・・・・・・・・・。

                さてと、
                医療所、行くかー。
                早く、怪我治そうな。




                恋次?




           恋次:  ん? もういいョ。

                「あ」から始まる、言葉遊びは、終わりだ。

                お前が・・・頬染めたの、見られただけで、十分だ。



                待つョ。



                いつまででも、ずっと待つョ。



                 からの・・・

                真の「愛してる」を・・・な。

                                                               fin                      2006,6,30 up

 

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あとがき

恋次に対して、どうしても「愛してる」とは、言えなかったヒロインちゃん。
恋次の事を、少し意識し始めたのかな・・・?
でも・・・自分では、それが全く分かってないようでして・・・。

長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました☆
お時間ありましたら、また遊びに来て下さいませ。