最低(後編)



               〔 河原 〕



               しかし・・・本当にカップル多いなぁ・・・・・・。
               こんな所に、あいつ一人で来てんのか・・・?

               何処に居るんだョ?
               大声で呼ぶ訳にもいかねぇし・・・。
               100%居るとも限らねぇしなぁ・・・。

               でも・・・、ココに居てくれ。

                ・・・・・・
               今日は、俺が悪かった・・・。

                ・・・・・・



               あっ!・・・ 居た。


               ( 恋次が に、そっと近づき・・・ )



               よぅ!



                あっ・・・恋次・・・・・・。
                こんな所で、何やってるの?




               お前こそ、何やってんだョ?

               こんな木の陰に隠れて・・・覗きか?




                ち・違うョ。
                恋次には、関係ないでしょ?




               関係あるんだョ。

               俺は・・・ を迎えに来たんだ。
               こんな所に居ても、しょーがねぇから・・・帰るぞ。




                私は、まだ帰らないもん。
                私の事なんて、放っておいてョ。



               (  が、更に奥の方へ歩いて行った )



               お・おい!
               そっちへは行くな!
               止まれ!
               そっちはダメだ・・・。



               ( 恋次が追いかけ、 の手を掴もうとした時・・・ )



                あっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



               (  が立ち止まり・・・下を向いた )



               だから言っただろー、行くなって・・・。

               奥の方に行けば・・・皆、ハデにいちゃついてんだョ。

               ほら、帰るぞ。
               ココは、お前一人で来る場所じゃねーョ。

               まぁ・・・他の男と来られたら、俺が困るけどな・・・。



               ( 恋次が、 の手を掴んだ )



               (  「ビクッ」  )



               (  が手を、引っ込めようとした )




               大丈夫だ。
               何にもしねーョ。

               早く、帰ろうな。




                うん・・・・・・。




                ・・・・・・
               今日は、俺・・・・・・言い過ぎた。
               ごめんな。




                あっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



               (  が、立ち止まった )



               お前・・・・・・
               一々、立ち止まるなョ・・・。

               ココは、そーいう場所なんだ。

               好き合ってんだから・・・キスくらいするョ・・・。




                うん・・・・・・。

                でも・・・、見られても平気なんだね・・・。




               見てんのなんて、お前くらいだ。

               皆は・・・お互いの事しか、見てねーョ。
               周りなんて、関係ねぇ。
               二人の世界に、入ってんだョ。




                ふ〜ん・・・、恋次・・・詳しいね。

                恋次も・・・好きな人と、来たりしてるの?




               え・・・・・・

               むか〜し・・・来た事あるけど・・・・・・

               今、好きなヤツには・・・断わられた。
               俺とは・・・来たくねぇってさ。




                え・・・、そーなの?

                恋次でも、手の届かない人って・・・居るんだ・・・。

                でも・・・、その人も強気だね。
                恋次の誘い、断わるなんてさ。

                恋次・・・優しいんだろうなぁ〜〜、その人には・・・。
                絶対、怒ったりしないんでしょ?




               そんな事ねーョ。

               確かに・・・
               誰に対してよりも、優しくは接してるけど・・・・・・

               真剣な分、上手くいかねぇと・・・
               言わなくていいような事まで、言っちまう・・・・・・。

               ごめんな・・・。
               怒るつもりなんて、全然ねぇんだ・・・。




                ふ〜〜ん。
                恋次も、悩んでるんだね。




               「ふ〜〜ん」じゃ、ねぇだろー!

               謝ってんだから、何とか言えョ。

               さっきの事は、全部なしだ。
               それでいいな!?




                さっきの事?




               だから・・・「俺の所に来るな」って・・・・・・・・・




                あー・・・。
                分かってる。
                もう、恋次の所へは・・・行かないョ。

                私は・・・最低だもんね・・・。




               だからーー、
               それは「なし」にしろって、言ってんだろ?

               悪かった、許してくれ・・・。




                何で恋次が謝るの?
                最低なのは、私なんだから・・・・・・・・・・・・
                大丈夫、もう・・・恋次には近づかないョ・・・。

                送ってくれなくて結構です。
                一人で・・・帰るから。



               (  が恋次の手を振り切り、早足で歩いて行った )




               おい!
               待てョ。

               最低なのは、俺なんだからさー。

               ちょっと待てって・・・・・・



               (  が、立ち止まった )




                ・・・、ごめん・・・。

               お前は、最低なんかじゃねぇから・・・。
               頼むから忘れてくれ・・・。




                恋次・・・・・・・・・・・・



               (  が、潤んだ目で恋次を見つめた )



                ・・・



               ( 恋次が を、抱きしめた )



                恋次・・・、痛いョ・・・・・・



               えっ?



                ガラス・・・踏んじゃったみたいなの・・・・・・。



               えー!?
               だ・大丈夫か?



                迷惑かけちゃって、悪いんだけど・・・医療所まで・・・・・・



               ( 恋次が を、抱き上げた )



               このまま連れてけば、いいんだろ?



                うん・・・、ごめんね・・・。



               何言ってんだョ。
               すぐ、連れてってやるからな。



                うん・・・。

                恋次?




               ん?



                私・・・
                どーすれば、最低じゃなくなるのかな・・・?

                どーすれば・・・
                恋次の傍に、居られるのかな・・・?




                ・・・・・・

               お前は、今のままでいいんだョ。
               最低なのは、俺の方なんだからさ。

               今のままのお前で・・・俺の傍に居てくれ。

               「嫌だ」って言ったって・・・俺は、 を離さねぇからな!




                恋次は、最低なんかじゃないョ。




               そーか?

               じゃぁ・・・「最低」は、なかった事でいいョな?

                を傷つけた分は・・・俺の誠意で返す。
               目に見えるもんじゃねぇけど・・・俺には、それしか出来ねぇ。

               それで・・・いいか?




                うん・・・。




               ありがとな。

               じゃぁ・・・、早く帰らねーとな。
               足・・・痛むか?




                うん・・・、凄く痛い・・・・・・。




               チョロチョロ一人で歩き回るからだ。
               これからは・・・絶対俺の傍、離れんじゃねぇぞ!




                え・・・
                恋次と一緒に居ても、怪我する時は、怪我するョ。




               させねーョ。
               少なくても、俺が傍に居る時は、絶対させねぇ!




                さっきだって・・・
                恋次は傍に、居たじゃない・・・?




               俺の手・・・離したじゃねーかョ。




                そーだけど・・・。




               俺から離れちゃ、ダメなんだ!
               分かったか!?



                うん・・・。



               よし。
               じゃぁ・・・全速力で医療所へ・・・・・・



           隊員: 阿散井副隊長じゃありませんか?



               えっ?
               あー・・・、お前ら・・・デートか?



           隊員: はい。
               阿散井副隊長も、ラブラブですね。
               ココで、お姫様抱っこしてる人達なんて、いませんョ?
               もっと、奥の方へ行かれたらどーですか?



               えっ?
               い・いや・・・これは・・・・・・



           隊員: 阿散井副隊長の彼女さん、可愛い方ですね。



               か・彼女って・・・・・・

               あぁ、こいつは世界一可愛いんだョ。
               いいから退け!
               急いでるんだ!



           隊員: ハイハイ、お邪魔して申し訳ありませんでした。

               ささ、どーぞ奥の方へ。

               覗いたりしませんから、心置き無く、ごゆっくりお楽しみ下さいませ。




               お前ら・・・後で覚えとけ。



           隊員: 大丈夫ですって。
               誰にも言いませんから。




               そんなんじゃねぇんだ。
               こいつ、怪我してて・・・・・・



           隊員: 阿散井副隊長も、ココでデートするんですね。
               何か、いいなぁ〜。
               身近に感じられて。



               デートって・・・・・・



           隊員: デートでしょ?
               デート以外で、ココに男女で来る人なんて、いませんョ。

               何、照れてるんですか?
               そんなにラブラブなのに。

               デート・・・ですョね?




               え・・・・・・

               そーだョ。
               俺だって、デートくらいするョ。

               もういいから、消えろ。
               いつまでも、邪魔してんじゃねぇ!



           隊員: あっ、阿散井副隊長・・・そちらは、出口ですョ?

               奥は、こっち。

               頑張って下さいね、阿散井副隊長〜。




               うるせぇな!
               分かってるョ!




               ( 恋次が仕方無く、奥の方へ歩き出した )




                れ・恋次??



               悪ぃ。
               あいつら、うるせぇからさ・・・少し我慢してくれ。
               痛いのに・・・悪ぃな・・・。



                うん・・・。






               なぁ・・・?



                ん?



               お前さぁ・・・・・・
               もしかして・・・好きなヤツ・・・出来たのか?



                えっ?



               だって・・・
               ココに・・・俺と来るの・・・あんなに嫌がったじゃねぇか・・・?

               確かにココには・・・好きなヤツと来てーョな・・・・・・。




                そんなんじゃないョ。
                ただ・・・・・・




               ただ・・・?




                ・・・
                大好きな恋次と・・・恋人ごっこしたくなかっただけ・・・。
                ただ、それだけだョ・・・。




               「大好き」って・・・・・・
               好きでもねぇくせに・・・よく言うョ・・・・・・。



                好きだョ。



               そーか?

               じゃぁ何で・・・
               「好きなヤツ出来たのか?」って、聞かれた時・・・

               「俺」って・・・言わねぇんだョ・・・?
               おかしいじゃねぇか?




                え・・・・・・・・・・・・それは・・・・・・・・・・・・




               もう、いいョ・・・。

               俺の事・・・好きなんだョな?




                うん・・・。




               じゃぁ、浮気すんじゃねぇぞ!

               他のヤツ好きになったら・・・絶対許さねぇ!

                が好きになるのは「俺」。
               俺だけ見てれば、いいからな。




                浮気って・・・
                片想いなのに、浮気なんてないでしょ?




               片想いじゃねぇョ。
                が俺の事・・・想ってくれてるなら、両想いだ。




                えっ??
                まぁ・・・両想いって事は、ないだろうけど・・・

                でも・・・
                仮に、両想いなら・・・浮気してるのは、恋次でしょ?

                あぁ・・・、恋次の本命は「好きな人」だから・・・
                私が、浮気相手って事になるんだ・・・。

                有り得ないね。
                もう、止めよう・・・こんな話・・・。




               お前なぁ・・・・・・
               いつになったら、分かってくれるんだョ・・・?

               俺が好きなのは、一人だけ。

               お前、 だけだョ。




                ・・・

                アハハハハ〜

                そうそう、その調子!
                「好きな人」に、そんな感じで言ってあげなョ。

                練習では、言えるのにね〜・・・。
                恋次は、本番に弱いのかなぁ〜?




               落とすぞ!!




                え・・・




               その辺にぶん投げて、捨ててくからな!




                ・・・いいョ、落として。

                早く捨ててってョ。




               ・・・ったく、可愛くねぇなーー!

               迎えになんて、来るんじゃなかった。
               あのまま、諦めときゃ・・・・・・

               お・おい!
               暴れるなョ。
               落ちるだろー!




                だから、早く落としてョ。




               引っ叩くぞ!!!




                え・・・・・・・




               落とせる訳・・・ねぇだろー!

               そんな事・・・俺に出来る訳・・・ねぇだろーー!

               何で、分かんねぇんだョ・・・。


               俺は・・・・・・
               俺は・・・・・・

               俺は、 が大切なんだョ。

               誰よりも・・・何よりも・・・・・・
                が、大切なんだ。

               お前は・・・俺が好きなんだろ?

               なら何で・・・
               そんなに、つれねぇ態度ばっかりとるんだョ?




                好きだから・・・・・・
                恋次の優しさに甘えちゃう自分が嫌・・・。

                恋次は、ずっと傍に居てくれる訳じゃないもん・・・。

                きっと近い将来・・・好きな人と、恋人同士になって・・・
                その人の事を、命がけで守っていくんでしょ?


                私は、恋次が好き。

                だから・・・なるべく恋次には、頼らないようにしたい・・・。
                恋次に、心配かけたくない。
                一人で頑張らなくちゃ・・・いけないんだョ・・・。




               バーカ!

               頓珍漢も、いいとこだ。

               俺は・・・ずっと傍に居るからな。

               お前が、嫌だろうが、何だろうが・・・ずっと傍に居る。

               俺からは、逃げらんねぇぞ!
               覚悟しとけョな。




                恋次・・・・・・




               大体なぁー・・・・・・

               「好き」「好き」言うんじゃねーョ!

               本気にとるぞ!?


               お前の「好き」は・・・「友好」なだけだろ?
               分かってるけど・・・

               「好きだ」「大好きだ」って言われたら・・・・・・
               俺は・・・気持ち、抑えらんねぇぞ!?




                れ・恋次・・・? どーしちゃったの?

                あー・・・、ココは、場所が悪いョね・・・。
                皆・・・ラブラブだもんね・・・。

                でもね〜、恋次・・・浮気はダメだョ。




               本気なら、いいのか?




                え・・・・・・・・・・・・・・・・・・




               冗談だ。

               そんなに困った顔すんなョ・・・・・・。

               何言われるよりも・・・一番キツイ・・・・・・。




                れ・恋次が、からかうから・・・・・・




               俺は・・・本気だ・・・・・・・・・・。

               あー、そこから道・・・抜けられるな。

               早く・・・帰ろうな。
               足・・・大丈夫か?




                うん・・・。

                恋次・・・、迎えに来てくれて、ありがとう。
                本当は・・・一人じゃ心細くて・・・・・・。




               こんな所に、一人で来るんじゃねーョ。

               次、来る時は・・・・・・
               俺と一緒だからな。




                うん。




               「うん」って・・・・・・?




                下見でしょ?




               下見は、1回すりゃ十分だろ?

               次、来る時は・・・俺と が、本当の恋人同士でさぁ・・・・・・




                そーだね。
                そんな、夢みたいな事が、起こるといいね。




               本当に、そー思ってんのか?
               だったら、このまま・・・掻っさらってくぞ!?




                えっ?

                れ・恋次・・・、あ・足が痛いから・・・早く、医療所に・・・・・・




               冗談だ。

               早く・・・治療しねーとな。




                うん・・・。



               本当は・・・冗談なんかじゃねぇ・・・。

               このくらいの治療なら・・・俺にも出来るし・・・・・・


               出来る事なら、このまま・・・
               何処か遠くへ、連れてっちまいてぇ・・・。

               俺の事が・・・好きなんだろ?

               なら、それも・・・アリだョな?

               何処か行こうぜ、




               何処行くかなぁ〜?

               何処行きてぇ?




               なぁ・・・?


               何とか言えョ?


                ・・・?

                                  fin                              2006,8,12 up

 

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あとがき

本当は、もっと大ゲンカさせてみたかったのですが・・・
難しいですね・・・。これが、限界でした・・・。
(あまり大きくしちゃうと・・・仲直りさせるのが大変なので・・・
私の能力では、無理ですね・・・)

最後は、ヒロインが、「医療所に行きたい!」・・・
と、言ったと思います(笑
恋次の野望は、御預けですね(いつもですけど・・・

長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お時間ありましたら、また遊びに来て下さいませ。