8月31日(前編)
〔 8月、ある日の夜 ・
の部屋 〕
・・・? 入ってもいいか?
恋次? いいョ。
( 恋次が、部屋に入った )
・・・あのさぁ・・・・・・俺・・・もうすぐ誕生日・・・・・・
丁度良かった。
明日、恋次の所へ行こうと思ってたんだ。
えっ?
親睦会でね・・・
8月30日から9月1日まで、キャンプに行く事になったの。
今回は、14番隊主動って事で・・・
って言っても、準備はみんな11番隊の人達が、やってくれるんだけど・・・。
一応・・・
名目上・・・うちが仕切るって事になって・・・
で・・・最高責任者が・・・私なの・・・。
だから・・・
絶対、行かなくちゃならないの。
え・・・・・・
じゃぁ・・・8月31日って・・・・・・
、居ねぇのか?
うん。
キャンプ場だョ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれ?
恋次、どーしたの?
もう、帰るの・・・?
ん?
・・・・・・、8月31日って、何の日か・・・・・・・・・
やっぱ、いいや。
じゃぁ。
えっ?
今、来たばかりなのに・・・。
( 恋次が、出て行った )
恋次・・・、何しに来たんだろぅ・・・・・・?
・
・
・
・
・
( 医療所からの帰り道 )
だョな・・・。
好きでもねぇ男の誕生日なんて・・・憶えてねーョな・・・。
特にあいつは、忘れっぽいし・・・
鈍いし・・・・・・、これは関係ねぇか・・・・・・。
あーぁ・・・、居ねぇのか・・・・・・。
何だろうなぁ〜・・・?
が、俺の誕生日憶えてねぇってだけで・・・
こんなに寂しいもんなのか・・・?
何にもする気・・・起きねぇや・・・。
ん・・・?
何だコレ・・・?
涙?
んな訳あるか!
泣かねーョ、俺は。
こんな事くらいで・・・・・・。
れ・ん・じ!
(
が恋次の腕に、自分の腕を絡ませた )
えっ!?
・・・・・・、な・何だョお前・・・?
恋次・・・何かあったの?
仕事でミスしたとか?
お前じゃねぇんだ、ミスなんてしねーョ。
でも・・・何かあったんでしょ?
元気ないもんね・・・。
私でも追いつけるくらい、ゆっくり歩いてるなんて・・・
絶対おかしいョ。
どーしたの?
何でもねぇ!
いいから帰れ!!
嫌だョ、気になるもん。
教えてくれるまで、帰らない。
ねぇ、どーしたの?
仕事じゃないなら・・・・・・
あっ、好きな人の事?
喧嘩でもしたの?
・・・・・・・・・・・・
俺の誕生日・・・憶えててくれなかった・・・・・・。
そーなんだ・・・・・・。
8月31日って・・・憶えやすいのにね・・・。
きっと・・・そーいうの憶えるのが、苦手な人なんだョ。
あんまり、気にしない方がいいョ?
!!
?
お前・・・俺の誕生日、憶えてんのか?
うん。
私が憶えてても、仕方無いんだけどね・・・。
お前・・・
知ってて、知らん顔か・・・?
えっ? 何の事?
居ねぇんだろ? 8月31日・・・。
俺より・・・親睦会のが大事なんだョな・・・
は・・・。
そんな事ないョ・・・。
でも・・・私、責任者だから・・・。
遊びのだろ?
そんなの、どうにでもなるじゃねぇか?
そーだけど・・・・・・
本当は・・・
恋次にも、一緒に行ってもらいたかったんだけどさ・・・・・・。
えっ?
今回ね・・・
私だけ、テントじゃなくて、コテージに泊まれる事になったの。
結構広いしさぁ・・・
恋次も来てくれたらなぁ〜・・・って思ったんだけど・・・。
え・・・それって・・・・・・
二晩・・・俺と
が二人で・・・・・・
コテージで、一緒に寝泊りするって事か・・・?
うん。
さっき、ソレ言う前に、恋次帰っちゃったし・・・。
でも・・・
恋次は、それどころじゃないね・・・。
誕生日だしね。
私とじゃなく、好きな人と過ごしたいョね。
喧嘩しちゃったの?
なら、早く仲直りした方がいいョ。
誕生日も、何回も何回も、教えてあげればいいじゃない。
謝りにくかったら・・・私が行ってあげようか?
あ・・・女の人が行くのは・・・まずいョね・・・。
誰か、うちの隊員に頼んで、連れてきてもらおうか?
ちょ・ちょっと待て・・・
もう1度、整理させてくれ。
うん。
は、8月30日から9月1日まで、キャンプに行く。
うん。
そのキャンプに、俺を誘うつもりだった・・・んだな?
うん。
向こうでは、俺と
はずっと一緒・・・
同じコテージに寝泊りする。
間違いねぇか?
うん。
でも、いいョ。
好きな人の方が、大切でしょ?
黙れ。
余計な事はいい。
は・・・俺の誕生日を知ってる・・・。
うん。
じゃぁ・・・誕生日のプレゼントは・・・・・・・・・・・・
まさか・・・
「お前」って事は・・・ねーョな・・・・・・。
ん??
い・いや・・・何でもねぇ・・・。
何考えてんだ・・・? 俺・・・・・・。
プレゼントは、キャンプから帰って来てからでいいでしょ?
何にしようかなぁ〜?
くれるなら・・・
当日くれ。
8月31日に・・・。
え・・・・・・
無理だョ・・・・・・。
そりゃ・・・ずっとキャンプ場に、居なくてもいいんだけど・・・
31日に、こっちに戻ってきて、恋次にプレゼント渡して・・・
それから、すぐにキャンプ場に戻るなんて・・・
私には、ちょっと無理・・・。
恋次・・・ごめんね・・・。
31日は・・・無理だョ・・・。
戻ってくる必要、ねぇだろ?
3日間・・・ずっと一緒なんだろ?
えっ?
俺・・・
お前と一緒に行って・・・いいんだろ?
いいの?
でも・・・
好きな人に、ちゃんとお誕生日教えてあげてさぁ・・・二人で・・・
二人で、仲良くしような!
ん?
恋次・・・諦めちゃったの?
まだ31日まで日があるし、頑張って会えるようにしなョ?
恋次は・・・自分から誕生日教えにくいだろうから・・・
噂みたいに、流してあげるョ。
何番隊なの?
14
・・・?
もうその件は、けりが付いたからいいんだ。
それより・・・
は、いいのか?
何が?
皆いるんだぞ?
その中で・・・俺と二人で、コテージに泊まって・・・・・・
だって、コテージ1つしかないし・・・
恋次が嫌だったら、私・・・誰かのテントに入れてもらうけど・・・。
そーじゃなくて・・・
皆の前で、俺とお前が一緒に泊まったらさぁ・・・
俺はいいけど・・・お前・・・後でいろいろ言われるぞ?
いいョ、別に。
もう、散々言われてるし。
うちの子達は・・・
最初から、恋次も一緒に来るものだと思ってるみたいだし・・・
だから・・・
恋次が来てくれない方のが・・・
「残念でしたね〜」とか、「寂しいですか?」とか・・・
うるさく言われるからさ。
そ・そーなのか・・・?
お前も・・・逞しくなったんだな〜。
まーね。
あんまり深く考えない事にした。
それに・・・
相手が恋次だから、ちょっと優越感にも浸れるしね。
擬似恋人・・・?
本当の私には、有り得ない事だからね。
ちょっといい夢、見させてもらってます。
夢じゃなくていいんだぞ?
夢じゃねぇ方が・・・いいんだけどなぁ・・・・・・。
そのうち・・・恋次が「好きな人」とうまくいったら・・・
私は・・・
「振られた」って思われて・・・皆から同情されるんだろうね・・・。
変な感じだね。
付き合ってもいない人と・・・
親密な関係だって思われて、冷やかされたり・・・
捨てられたって思われて、慰められるなんて・・・。
じゃぁ・・・付き合えばいいじゃねぇか。
俺の事・・・嫌じゃねぇんだろ?
俺で・・・いいじゃねぇか。
なっ、そーしろョ。
恋次は・・・・・・
ちょっとショック受けると、すぐ投げやりになって・・・・・・
でも・・・辛いか・・・。
誕生日、憶えててくれなかったのって・・・。
恋次・・・
好きな人と過ごす、素敵な誕生日・・・夢見てたんだね。
だったら、やっぱりココは諦めないで
恋次が思う誕生日になるように、頑張ってみなョ。
どう頑張ればいいんだョ!?
会ってその後・・・どーすれば?
だから・・・ちゃんとさー・・・恋次の気持ち伝えて・・・
彼女の返事、待つしかないんじゃないの?
気持ちが、伝わんねぇんだョ!
何言ったって・・・真面目に聞いてくんねぇ。
スルーされるか、大爆笑されるか・・・
俺の言葉なんて、真剣に受け止めてくんねぇんだョ・・・。
何となく・・・分かる気もするな・・・。
えっ?
その人の気持ち。
そりゃ、お前なら分かんだろー。
お前にしか、分かんねーョ。
で・・・どーなんだ? そいつの気持ちって・・・?
恋次は、凄い人だからさー・・・
皆の憧れだったりもするし・・・。
そんな凄い人が、自分の事なんて、本気で思ってくれる訳ないって・・・
とても・・・素直になんて、受け入れられないんだと思うョ。
冗談の延長くらいにしか、考えられないし・・・
冗談信じて、本気になっちゃったら・・・
あとは、自分が惨めになるだけ・・・。
手の届かない人、本気で好きになっちゃったら、辛いでしょ?
俺は・・・
冗談で、「好き」とか「そんなような事」、言わねぇぞ!?
そんな事ないでしょ〜?
よく、私には言ってるじゃない・・・。
冗談は言わねぇんだ!!! って、言ってんだろ!
人の話、良く聞けョ!
ごめんなさい・・・。
(
が、恋次の手から離れた )
好きな人には・・・冗談なんかで言ってないョね・・・。
私なんか引き合いに出して・・・ごめんなさい・・・。
私には・・・
恋次の力になってあげられる事なんて、1つもないね・・・。
恋次・・・元気なかったから、心配して追いかけて来たんだけど・・・
私なんて、邪魔なだけだね・・・。
じゃぁ・・・私、帰るから・・・。
恋次・・・・・・元気出してね・・・。
(
が帰ろうとした時、恋次が
の手を掴み・・・ )
俺は・・・・・・・・・・・・
冗談は言わねぇんだ・・・・・・・・・・。
自分の大切な気持ち伝えようって時に・・・
冗談なんて・・・言わねーョ・・・・・・・・・・。
声荒げて悪かった・・・。
送ってくョ。
いいョ。
よくねぇ。
じゃぁ今日は、恋次の方が元気ないんだから、私が送って行ってあげる。
バーカ!
に送ってもらったら、送り返さなきゃなんねぇじゃねーか。
まぁ、その間・・・
ずっと一緒に居られるってのは、嬉しいし・・・
の気持ちも嬉しいけど・・・
「送る」のは、俺だ。
に、送ってもらう気はねぇ。
安心しろ。
俺は、そんなに弱っちゃねぇから。
本当に?
あぁ。
一緒にキャンプ・・・行けるんだろ?
好きな人は・・・どーするの?
お前は、どーして欲しい?
えっ?
俺に・・・キャンプに来て欲しいか?
俺の誕生日・・・一緒に祝いてぇって・・・・・・
俺と居てぇって・・・思ってくれるのか?
うん・・・。
恋次に・・・来て欲しい・・・。
一人じゃ、最高責任者として、不安だから・・・。
俺自身が、望まれてる訳じゃねぇのか・・・。
力のあるヤツなら・・・誰でもいいって事か・・・。
ううん・・・
私の・・・一番大切な人のお誕生日・・・
祝ってあげたいって・・・心から思ってる・・・。
許されるなら・・・
恋次のお誕生日に・・・恋次と居たいョ・・・。
・・・・・・
( 恋次が
を、抱きしめた )
れ・恋次・・・?
こんな、人通りのある所で・・・・・・
こんなの恥ずかしがってたら
一緒にコテージになんて、泊まれねぇぞ?
えっ?
皆・・・妄想、最大限に膨らますだろうからな。
「何にもしてません」って言っても・・・通らねぇぞ?
いろいろ言われるだろうけど・・・本当にいいのか?
うん・・・、いいョ。
私と恋次は、何の関係もないんだし・・・。
本当の恋人同士で、仲良くしてたら、恥ずかしいかもしれないけど
皆の思ってるような事は、何にもしてないんだし・・・
勝手に思わせておけばいいョ。
何の関係もない・・・って・・・
そんな言い方ねぇだろー。
少なくても・・・
心は・・・、絆はあると・・・信じてぇ・・・。
そーだね。
立派な副隊長とダメな副隊長の絆・・・。
強きは、弱きを助け・・・ってやつかな?
弱きは、強きに頼りきり・・・
もう・・・強きがいなければ・・・・・・
自分一人では、生きていけない・・・・・・。
恋次がいなくなっちゃったら・・・
私・・・どーすればいいんだろぅ・・・・・・?
いなくなんて、なんねーョ!
何処に行けって、言うんだョ?
と離れて、どーにかなりそうなのは・・・・・・俺の方だ・・・。
生きてけねぇのは・・・俺の方だョ。
・・・・・・
俺・・・、欲しいもんがある・・・。
誕生日のプレゼントに・・・欲しい物が・・・・・・。
あ、そーだね。
31日に渡すのなら、早く買いに行かないとね。
何が欲しいの?
明日、買いに行ってくるョ。
この先ずっと・・・
永遠に・・・・・・
の8月31日を、俺にくれ。
えっ?
来年も、再来年も・・・
ずっと8月31日は・・・俺と居ろって事だョ。
仕事も、遊びもダメだ。
病気で寝込むのも、許さねぇ。
毎年・・・
二人で・・・お前の笑顔と迎えたい・・・。
俺が生まれた日を・・・さ・・・。
好きな人は、どーするの?
好きな人と、一緒に居たいんでしょ?
ん?
今・・・俺が、一番好きなのは、
だ・・・。
それでいいだろ?
え・・・・・・
うん、分かった。
どーせ、恋次の気は、すぐ変わるだろうしね。
俺の気は・・・変わんねーョ。
何度、変えようとした事か・・・
何度、諦めようと・・・・・・
でもなー・・・
全然、言う事聞かねぇんだョ・・・。
俺って、結構頑固なのかもな。
以外の女は、受け付けなくなった。
お前の元気と笑顔・・・
それだけあれば・・・
俺と、居てさえくれれば・・・
他は、何も望まねぇ。
8月31日を、俺にくれ。
他は何も・・・いらねぇ・・・。
いいョ・・・なっ?
うん・・・。
よし。
じゃぁ・・・医療所に戻ろうな。
俺が、送ってく。
うん。
To be continued 2006,8,28 up