8月31日(後編)



               〔 8月30日、夜 ・ キャンプ場、コテージ 〕



                恋次、お疲れ様でした。
                後片付けまで、手伝わせちゃって、ごめんね。



               あー、いいョ。
                が、一生懸命片付けてるのに、俺が見てる訳にもいかねぇしな。



                花火・・・綺麗だったね。
                私・・・こんなに大勢で花火やったの・・・初めて。



               お前、チョロチョロして、危ねぇんだョ。

               俺達が、位置考えて仕掛けた花火・・・蹴飛ばしやがって・・・。
               導火線に、火点けた後だったら、どーすんだョ!?
               大怪我してたかもしんねぇんだぞ!




                恋次が・・・
                急に居なくなって、陰でコソコソやってるから・・・
                何やってるのかな?って思って・・・。



               ちゃんと、言ってっただろー!
               今、綺麗なの見せてやるから、「ココに居ろ」って・・・?



                そーだったっけ?



               少しは、人の話聞いとけ。



                恋次〜。



               (  が、微笑みかけた )



               な・何だョ?



                ありがとう〜。

                恋次が仕切ってくれたから、皆それぞれ、好き勝手な事やってたけど
                ちゃんと、統制とれてたもんね。

                お酒も飲んでたし・・・
                喧嘩とか・・・危ない事しだしたら、どうしよう・・・
                って、思ってたんだけど・・・
                そーいう事もなくて。

                恋次のお蔭だね。




               一番危ねぇのは、お前だ。

               酒入ってねぇくせに、陽気で・・・
               親睦会のやつらと、楽しそうに・・・・・・。




                私は、危ない事なんてしないョ。



               その「危ねぇ」じゃなくて・・・

               お前の笑顔に見惚れてたヤツ・・・・・・
               ずっと・・・お前の事・・・目線で追ってたヤツが・・・・・・
               何人いたと思ってんだョ?

               男の前で、ヘラヘラ笑ってんじゃねーョ!

               もっと、シャキッとしろ、シャキッと!




                何怒ってるの?
                楽しいんだから、笑ったっていいでしょ?



               ダメだ!
               笑うなら、俺の前だけにしろ。



                嫌だョ。



               何だ、その言い方は!?
               許さねぇぞ!



               ( 恋次が を、抱きしめた )



                の笑顔は、俺だけのもんなんだ。
               よく、憶えとけ。



                恋次・・・?



               なぁ・・・?

               もう少しで、日付変わるな・・・。



                ん?
                あっ、本当だ。



               31日の始まり・・・ と一緒に迎えられて・・・・・・



                恋次、私・・・もう寝るね。
                明日、早いし・・・もう、クタクタ・・・。



               えっ・・・・・・?



                恋次も、早く寝た方がいいョ。

                じゃあね、おやすみ〜。




               ・・・・・・あ・・・あぁ・・・・・・・・・・・・。


               ( 恋次が、 を離した )




                このベッド、大きいね〜。
                恋次でも、楽勝サイズだね。
                私・・・こっちの方で、いいョね?

                じゃぁ・・・
                今日一日、ありがとうございました。

                おやすみなさい・・・・・・。




               おや・・・すみ・・・・・・・・・・・・って・・・

               なぁ・・・?
               もう少しで「31日」なんだぞ?
               
               もう少し・・・起きてろョ・・・・・・。

               0時・・・一緒に迎えてくれョ・・・?
               ここまで起きてて・・・
               折角・・・一緒に居るんだからさぁ・・・・・・。



               ( 恋次が、 のベッドに腰を下ろした )



               なぁ?



                zzz・・・



               何だョ・・・・・・
               やっと、二人っきりになれたのに・・・。

               一緒に誕生日・・・迎えようと思ったのに・・・・・・。

                ・・・??




                zzz・・・



               ・・・

               まっ、お前には、関係ねぇか・・・、俺の誕生日なんて・・・・・・。

               俺も・・・どうしちまったんだろうなぁ〜・・・・・・?

               誕生日なんて、大してめでてぇ訳でもねぇし・・・・・・
               今までは、何とも思わなかったのになぁ・・・。

               自分から、「誕生日だ」「8月31日だ」・・・って・・・・・・
               バカみてぇだョなー・・・。

               何やってんだ・・・? 俺・・・・・・。



               ( 恋次が、 の寝顔を見つめた )



               あーぁ・・・、情けねぇ・・・。

               俺・・・、何、期待してたんだろうなぁ〜・・・?

               お前から・・・いい言葉聞けるんじゃねぇかって・・・
               もう少し・・・お前との距離が、縮まるんじゃねぇかって・・・。



               ( 恋次が の頬に、そっと手を添えた )



                ・・・

               俺は・・・どーしたらいいんだョ・・・?

               どーしたら・・・お前が、手に入るんだョ・・・?


                ・・・

               お前が・・・・・・恋しい・・・・・・。



               ( 恋次が の顔に、自分の顔を近づけた )



               起きろ!

               待ってるだけなんて、性に合わねぇ。

                ・・・起きろ・・・・・・




               起きなきゃ・・・・・・

               キス・・・・・・

               しちまうぞ・・・?



                ・・・いいのか?

               本当に、するぞ?



               ( 恋次が、更に顔を近づけた時・・・ )



               ( 「ゴン!!!」 )



               痛ッ!



               (  が、寝返りを打った )



               痛ぇなー・・・。
               お前・・・石頭か!?
               俺に頭突き食らわすなんて、100年早ぇ・・・・・・


               ・・・じゃねぇなぁ・・・・・


               俺が・・・ルール違反しようとしたから・・・
               悪い事・・・しようとしたから・・・
               余計、痛く感じるんだな・・・。


               あーぁ!
               面白くねぇ!

               酒でも飲んで・・・
               一人寂しく、寝るとするかなー。

                          ・
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・

               〔 8月31日・早朝 〕



                恋次! 恋次ーーー!



               んーーー? 何だ?



                もう起きないと。
                今日は、山奥の方へピクニックに行くんだから。
                そろそろ準備しないと。



               あー・・・、俺、パス。

               ちょっと飲みすぎて、頭痛ぇ・・・。
               このまま、寝かせといてくれ。




                えーーーーー。

                もぅー、しょうがないなー・・・。




               大きい声、出すなョ・・・。

               俺・・・行かなくても、平気だろ?
               元々俺は、数に入ってなかったんだから。




                うん・・・。

                じゃぁ、いいから・・・早く放してョ・・・。



               えっ・・・?



                全然身動きとれないョ・・・。



               ・・・?
               そーいえば・・・この手ごたえ・・・?



               ( 恋次が、目をあけた )



               ・・・・・・

               えーーーーーー!?

               お・お前・・・何で俺の方にいるんだョ??




                ココは、私のベッドだョ・・・。
                何で、私の方で寝たの?

                あっ・・・、怖かったの?




               んな訳あるか!

               で・でも・・・
               何で、俺・・・・・・?

               昨夜、あれから・・・
                のベッドに座りながら酒飲んで・・・
               そのままココに・・・倒れこんだのか・・・・・・。

               あ、お・俺・・・何にもしてねぇからな!
               ・・・多分。




                何でもいいから、早く放して。
                私は、抱き枕じゃないんだからね。



               お前も行くの止めろ。
               ココに残れョ・・・なっ?



                そうはいかないョ・・・。
                私は、責任者なんだし・・・。



               そんなの、他のヤツに任せればいいじゃねぇか。

               ピクニックだけ・・・
               誰か・・・男にでも、責任者頼めばさー、喜んでやるョ。
               俺が、頼んできてやるから。




                え・・・、でも・・・・・・



               プレゼント・・・だろ?



                ん?



                の8月31日は・・・俺にくれた筈だ。

               変な要求はしねーョ。
               常識の範囲内で・・・俺の自由にさせてくれ。




                うん・・・、分かった。

                分かったから・・・ちょっと放して。
                取ってきたい物があるの。




               今、必要なのか?



                うん。



               すぐに・・・ココに戻ってこいョ?



                うん。



               ( 恋次が を放し、 が荷物の中から、何かを持ってきた )



                はい、コレ。
                二日酔いに良く効く薬湯。

                起きて、飲んで、早く治して。




               え・・・
               不味いんだろ? それ・・・。

               いらねーョ。
               そんな不味い物飲むくらいなら、頭痛ぇ方が・・・まだましだ。




                折角の誕生日なのに・・・。



               えっ?



                誕生日に、二日酔いで、ずっと寝てるだけなんて・・・。
                恋次が、それでいいなら・・・いいけど・・・。

                私・・・やっぱり、ピクニック行ってこようかな?

                恋次・・・お酒臭いし・・・
                寝てる人の傍に居ても、つまらないもん。




               酒臭ぇって・・・
               誰のせいで、こんなに酒飲む事になったと思ってんだョ・・・?

                が、さっさと寝ちまうから・・・

               お前が・・・一緒に日付越えてくれなかったから・・・

               お前が・・・頭突きなんて、食らわすからだ!




                頭突き?

                あっ・・・、そーいえば、変な夢見た・・・。




               えっ・・・?




                醜くて・・・凄くいやらしい怪獣に、襲われそうになったの・・・。

                一生懸命逃げたんだけど・・・捕まりそうになって・・・
                「あっ」って思った時に、転んでね・・・
                額を強く、打ちつけちゃったの。

                夢のわりには・・・痛かったなぁ〜・・・。
                何か、まだ・・・痛い気がする・・・。




               醜くて、いやらしい・・・・・・・・・・・・



                うん。
                気持ち悪かったョ。



               お前・・・
               俺の事・・・そんな風に思ってんのか?



                えっ???
                恋次の事なんて、言ってないでしょ?

                夢でね・・・
                あっ、何か遠くで・・・
                「起きなきゃ、キス・・・」が、どうとかって聞こえたかも・・・。

                変な夢だったなぁ〜・・・。
                私・・・結構、疲れてるのかもね。




               ・・・・・・・・・・・・・・・・・。




                恋次? どーしたの?




               男は皆、いやらしいんだョ。
               俺だけじゃねぇからな・・・。




               




               かせョ。
               その薬湯飲めば、ピクニック行かねぇんだな?



                えっ?

                あー、うん。
                はい。



               (  が恋次に、薬湯を渡した )



               「ゴク ゴク」 ( 恋次が薬湯を飲んだ )



               相変わらず、不味いなーー、 のくれる薬湯は・・・。



                良く効くんだから、文句言わないの!




               へいへい。

               じゃぁ、良くなるまで・・・もう一眠りするか。

               「抱き枕さん」こっち来いョ。
                も、疲れてるんだろ?
               一緒に寝ようぜ。




                ダメだョ。
                恋次と私が、ピクニック行かない事、言ってこなくちゃ。



               あー、そーだったな。
               じゃぁ、俺が行ってくる。

                は、ちゃんとベッドで待ってろョ、いいな!?




                起きられるならさー・・・
                寝てないで、この近く散策しようョ?

                恋次のお誕生日だし、楽しく過ごしたいな。




               寝てても・・・楽しいぞ?
               俺だけか・・・?




                あ、そーだ。

                はい、お誕生日のプレゼント。




               え・・・・・・
               くれるのか?

               プレゼントは・・・ の8月31日だけで、いいんだぞ?




                プレゼントって・・・言えるほどの物じゃないから・・・。

                疲労回復のお香だョ。
                疲れた時に、お部屋で焚くといいョ。




               そーか。
               じゃぁ、遠慮なく。



                うん。



               ( 恋次が、プレゼントを受け取った )



                恋次・・・、お誕生日おめでとう〜。

                恋次の大切な日を、一緒に迎えられて・・・私、嬉しい・・・。




               本当か?
               怪しいもんだな〜・・・?




                本当だョ。




               そのわりには・・・

               「あと数分」待ちもしねぇで、寝ちまったのは、何処の何奴だ?




                えっ?



               いや・・・
               済んだ事、くどくど言うなんて・・・俺も未練がましいな・・・。

               まっ、まだ早朝だし・・・31日は、長いもんな。
               今日一日は、俺だけの で、いてくれョ。




                え・・・
                皆、帰ってきたらさー、バーベキューの準備するし・・・
                やる事は、いっぱいあるから・・・
                恋次とだけ、居る訳にはいかないョ?




               それじゃ、約束が違うだろー。

               バーベキューなんて、出来たの持って来させればいいョ。
               俺達は、副隊長なんだからな。




                恋次・・・
                そーいう、権力を振りかざすっていうのはねぇ・・・。




               今日は・・・
               今日だけは・・・特別だろ・・・?

               権力なんて、振りかざすつもりは、毛頭ねぇ。

               ただ・・・
               今日、8月31日だけは・・・
                と居てぇ。

               それだけだ・・・・・・。




                恋次・・・。




               あっ、お前・・・おでこ赤いぞ?
               もっとこっち来て、よく見せてみろ?




                えっ? 本当に?



               (  が恋次に、近寄った )



                何か、痛いんだョね〜・・・・・・。
                どーしたんだろ〜・・・?



               ( 恋次が を、抱きしめた )



               醜くて、いやらしいヤツを・・・退治したんだろ?・・・きっと・・・。



                あー・・・、あの怪獣ね。
                でも・・・あれは夢だし・・・。

                このベッドの周り、頭ぶつけるような所、ないしなぁ〜・・・。




               キス・・・・・・していいか?

               おでこの、赤い所に・・・。

               「早く治りますように」って・・・願い込めてさ・・・?




                え・・・・・・・・・・・・・・・・・・




               ダメ・・・か?




               (  が、目を閉じた )




               お・お前・・・・・・
               目なんかつぶったら・・・・・・
               唇・・・奪うぞ・・・?




                えっ!?


               (  が、目をあけた )




               仕舞った・・・。
               黙って、しちまえば良かったな・・・。




                恋次・・・・・・・・・・・



               冗談だョ!



                う・うん・・・・・・。




               じゃぁ・・・・・・

               「この、石頭が・・・早く治りますように」・・・・・・・・・・・・



               ( 恋次が、 の額の赤い部分に、そっと口付けた )




               ( 「ドンドンドン」 誰かが、扉を叩いた )



           隊員: 阿散井副隊長、 副隊長・・・そろそろ集合時間ですので・・・



                あっ・・・



               うるせぇなー。

               「俺と は欠席」以上!



           隊員: え・・・でも、それでは・・・・・・責任者がいなくなってしまいます?



               11番隊全員が、責任者になって、14番隊を守ってやれ。
               誰一人、怪我させんじゃねぇぞ!



           隊員: は・はぁ・・・。
               あ・あのー・・・・・・・



               何だョ?
               今、一番いいとこなんだョ、邪魔すんな!!



           隊員: し・失礼しました・・・。
               で・でも・・・、欠席の理由は・・・?
               あのー・・・、皆に伝えなくては、いけませんので・・・。



               理由なんて、お前が考えとけ。
               何でもいいョ。



           隊員: えーーー・・・・・・、そ・そんな・・・・・・。



               もう、喋んねぇからな。
               今から、口が塞がる予定なんだョ。

               じゃあな。
               ピクニック、楽しんでこいョ。



           隊員: ・・・は・はい・・・・・・。
               失礼しました・・・。




                恋次・・・、ちょっと乱暴なんじゃないの?



               いいんだョ。
               奴らだって、俺なんか居ねぇ方が、のびのび出来んだろうし。

               自分達で企画したイベントだろ?
               心配いらねーョ。




                そーかもしれないけど・・・・・・。



               さて・・・
               では、もう1度やり直させていただきます。

               邪魔されたからな。




                え・・・・・・?




               目・・・閉じてもいいぞ?




                な・何言ってるの・・・?




               ダメか?




                もぅー・・・
                恋次・・・からかわないでョ・・・・・・・・・・・・




               ( 恋次が を見つめた )




                な・何?




               ん?

               目・・・つぶらねぇかな〜〜〜・・・・・・なんてな。




                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




               石頭・・・。




                えっ?




               痛かったんだぞ・・・。
               拒否食らって・・・心にも「ズキッ」ってきた・・・・・・。




               




               ごめんな・・・。

                が・・・
               自然に目・・・つぶってくれるまでは・・・いけねーョな・・・。

               分かってるんだけどな・・・・・・。




                恋次・・・二日酔い中?




               ん?
               まぁ、そんなとこだ。

               じゃぁ・・・もう1度・・・・・・・



                のおでこが、治りますように・・・と・・・・・・

               俺の誕生日に、最愛の女と一緒に居られる喜びに感謝して・・・・・・




                           「チュッ」



               ( 恋次が の額に、口付けした )




               次は・・・

               二日酔いが、早く治りますように。


                           「チュッ」



               で、次は・・・

               俺の額も、多分赤いから・・・それが、治りますように。


                           「チュッ」



               それと、後は・・・・・・




                れ・恋次・・・?




               もう、面倒くせぇ。

               何でもいいや。

               全てに対して・・・・・・


                           「チュッ」

                           「チュッ」

                           「チュッ」




               俺と の、8月31日にー・・・・・・




                          「チューーーッ」 

                                                                        fin                2006,8,31 up  

 

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あとがき

最後は・・・ちょっと恋次らしからぬ行動・・・
誕生日のご愛嬌という事で、お許し下さいませ。
あ、ちなみに・・・的は全て「額」ですからね〜。(笑

それと・・・
前編での「恋次の涙」・・・。(ほんの少し、流した?つもりです)
誕生日というと・・・どーしても泣かせたくなってしまうんです・・・。(笑

長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お時間ありましたら、また遊びに来て下さいませ。

では、最後に・・・

恋次・・・、お誕生日おめでとう〜☆
3度目(来年)も・・・一緒に迎えたい・・・♥(願望