お化け屋敷(後編)




           係員: あのー・・・
               あちらに、救護テントがありますので・・・
               そこで、休ませてあげては、いかがでしょう・・・?


        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



               あー、そーだな。

               このまま連れ帰って、「お化け屋敷で気絶した」なんて・・・
               こいつの部下に知れ渡ったら、ちょっと可哀そうだもんな・・・。



            ?: うゎ、阿散井副隊長、お優しいんですね・・・?
               俺も、見習お〜っと!

               では、俺は「お化け」に戻りま〜す。
               お大事に〜〜!




               何が「お大事に」だョ・・・。
               あいつが来なきゃ・・・・・・


               ( 恋次が、 の顔を見つめた )



           係員: ・・・暗くて、よく分かりませんが・・・
               かなり、顔色悪いみたいですね・・・?




               そーだな・・・。

               あんなヘラヘラした「お化けもどき」に、ここまで怖がって・・・
               よく、大怪我の治療とか・・・やれるョな・・・。

               本当にこいつは、不思議だョ・・・。



           係員: あ、そーですね・・・。
               私なんか・・・
               怪我人、前にしただけで・・・足が震えたりしますからね・・・。




               普通そーだョな。


               テント・・・・・・あー、あそこか。
               じゃぁ、世話になったな。



           係員: い・いえ・・・。
               早く、気が付かれるといいですね。




               そーだな。

                          ・
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・

               〔 テント 〕


               こいつ、顔色すごく悪いんスけど・・・
               寝かせとくだけで、大丈夫なんスか?



          医務員: 気を失った時・・・
               倒れて、頭打ったりとかは、してないんですョね?




               はい。
               俺が抱いてる状態で、そのまま気絶しました・・・。



          医務員: なら、このままで。

               少し、着物緩めてあげて下さい。
               なるべく、リラックスさせてあげた方がいいですョ。

               では・・・
               何かありましたら、すぐにお呼び下さい。
               失礼します。




               え・・・・・・?

               あ・あのー・・・・・・・・



               ( 医務員が、カーテンで区切られたスペースから、出て行った )




               着物を・・・・・・緩める・・・・・・???


               俺が・・・?


               いやー・・・、それは・・・さすがに不味いだろー・・・・・・。


               でも、これが俺の部下だったら・・・
               たとえ女でも、俺しか居なきゃ・・・
               何のためらいもなく、そのくらいの事はやるョな・・・。

               別に、脱がせようって訳じゃねぇし・・・
               医務員が「やれ」って言ったんだもんな・・・。



               ( 恋次が、 の着物に手を伸ばした )



               な・何で・・・ドキドキしてんだョ・・・?
               救護だろ?

               正しい事を、しようとしてるのに・・・

               何で・・・
               俺の頭の中は・・・
               煩悩で渦巻いてるんだョ!





                れ ん じ ・・・・・・・・・・・・




               えっ!?・・・・・・

               うわ言か・・・・・・。

               余計な事、考えてる場合じゃねぇんだョ。
               早く、楽にしてやんねぇと・・・。



               少し・・・緩めれば・・・いいんだョな・・・。
               少しだけ・・・・・・



               ( 恋次が、 の着物を緩めた )



               こんなもんだろー・・・・・・。




                れ ん じ ・・・?



               (  が、ゆっくり目をあけた )



               あー、良かった。
               気が付いたか・・・。




                あれ・・・?

                ココ・・・何処?




               救護テントの中だョ。




                救護?
                恋次・・・怪我でもしたの?




               バーカ!
                が、気絶したんだろー!




                えっ?

                あっ・・・お化け・・・・・・。
                恋次も見たでしょ? お化け・・・?




               ハァ・・・・・・

               あのなー、あれはお化けじゃなくて、俺の部下。




                えっ?




               あいつな、こういうイベントみたいなの好きで・・・
               毎年有志で、「お化け役」やってんだョ。
               だから、結構メイクとかも、上手いんだョ。

               あれは、お化けじゃねぇからな。
               お前・・・「悪霊除け」持ってんだから、お化け出ねぇはずだろ?




                あ・・・そーだね。

                御守は確か・・・ココに入れた・・・・・・・・・

                ・・・・・・・・あれ?




               どーした?




                帯が・・・解けてる・・・・・・。




               え!

               あ・あー・・・そ・それは・・・・・・




                嘘・・・
                前もはだけてる・・・・・・。

                恋次?




               い・いや・・・・・・
               お・俺は・・・何も・・・・・・した・・・か???




                恋次・・・、ずっとココに居たの?




               え・・・・・・
               い・居たけどさぁ・・・・・・
               俺はさぁ・・・・・・・・・・・・




                じゃぁ、見たの?




               えっ!!

               み・見てなんてねーョ!
               ご・誤解だからな。

               俺はただ・・・・・・




                恋次に見られた・・・・・・。




               見てねーョ!

               何も、見てねぇ!!
               神様に誓う。




                だって・・・ココに居たんでしょ?




               居たけどさぁー・・・・・・




                じゃぁ・・・私が、治療されてるの・・・見てたんでしょ?

                私・・・着物脱がされた?

                恋次・・・見てたの?

                恋次・・・酷いョ・・・・・・。




               え・・・・・・

               あー・・・い・いや、脱がされてねぇから・・・大丈夫だ・・・。




                本当に?




               あ・あぁ・・・。

               リラックスさせる為に、少しだけ・・・・・・
               着物緩めた・・・・・・だけだ・・・・・・・。




                それならいいけど・・・。

                でもさぁ・・・・・・
                ちょっと・・・着物緩めるだけっていってもさぁ・・・・・・
                恋次には、居て欲しくなかったな・・・・・・。




               ご・ごめん・・・。

               だけど・・・俺しか居なかったから・・・仕方なく・・・・・・。




                出てて。




               え・・・
               ごめん、謝るョ・・・。

               でもな・・・
               医務員から託されて・・・しょーがなかったんだョ・・・。




                もぅ、いいョ。

                早く出てって・・・。




               だから、謝ってんだろー?

               俺は、見てもいねぇし・・・変な事は、一切してねぇから・・・。




                恋次?

                あのね・・・
                着物・・・着直すから、ちょっと出てて欲しいの?

                それとも・・・
                既に1回見たから・・・また見られてもいいだろ?って思ってるの?




               あ・・・わ・悪ぃ・・・。
               すぐ出るョ。



               ( 恋次が、区切られたスペースから、出ようとした時・・・ )



               ・・・ん?

               見てねぇぞ! 俺は!!



               ( 恋次が振り返った )



               あっ!!!

               ヤベェ・・・・・・・・・・・



               ( 恋次が、急いで仕切りから出た )




                恋次? 覗かないでョ?




               の・の・覗かねぇけど・・・・・・・

               お前さぁ・・・
               ちゃんと、俺が出たの確認してから、着替えろョ・・・。

               むこう向いて着替えてたから、良かったけど・・・・・・




                えっ? 何?




               な・何でもねーョ・・・。

               恥ずかしがってんのか・・・大胆なのか・・・・・・
               訳、分かんねーョ・・・。




                恋次、もういいョ。



               あぁ。



               ( 恋次が再び、中に入った )




                もう、帰ってもいいんだョね?




               んー・・・、いいと思うんだけど・・・
               まだ、顔色悪いからさー・・・・、もう少し休んでいけョ。

               このテント・・・
               誰も使ってるヤツ居ねぇしさー・・・。

               俺・・・素人だから、よく分かんねぇけど、まだ心配だからさぁ・・・。




                そんなに顔色良くない?




               あぁ。
               お前が、お化けみてぇだョ。




                えっ・・・・・・

                まさか・・・、乗り移られちゃったのかなぁ・・・?




               悪ぃ・・・。
               余計な事言った・・・。

               もう、お化けの話は止めような。
               お化けは、 の周りには居ねぇから、心配すんな。




                恋次・・・、そんな事分かるの?




               分かる。

                に近寄ろうとするヤツは、たとえ「お化け」だろうと
               俺が、ブロックするから、大丈夫だ。

                の周りに、不審なものは寄せ付けねぇから
                は一生、お化け見る事はねーョ。

               だから・・・もう、怖がるのはよせ。

               俺がいる。

               怖い事なんて、何にもねーョ。




                うん・・・。



               ( 恋次が を抱き上げ、ベッドに寝かせた )




                恋次・・・?



               ん?



                あのさぁ・・・・・・・・・・・・



               気分でも悪いか?



                そーじゃなくて・・・

                あのね・・・
                さっきのお化け・・・すごく怖かったの・・・・・・。




               あれは、お化けじゃねーョ。




                でも・・・
                見た目が・・・お化けだったでしょ?




               まぁ・・・、「お化け役」やってんだからなぁ・・・。




                まだ・・・目つぶると・・・
                あの「お化け」が出てきそうで、怖いの・・・。

                だから・・・
                今日・・・ずっと傍に居てくれる?




               えっ・・・?




                怖くて、目あけた時・・・
                恋次が居てくれたら、安心出来るんだけど・・・・・・。




               あぁ。
               幾らでも居てやるョ。

               明日も明後日も・・・
               夜は、お前の所に行くョ。

               目つぶった時・・・
               お化けが出てこなくなるまで、ずっと・・・ずっと・・・・・・。




                本当に?




               あぁ。




                ありがとう〜、恋次。




               あいつに「礼」言っとかねぇとな。




                あいつって?




               ん? 俺の部下。




                何かしてもらったの?




               お化け屋敷の「お化け役」で、頑張ってるからさ。
               特に、今日な。




                ふ〜〜ん・・・。

                もしかして・・・・さっきの怖かった人?




               あぁ。
               頑張ってんだろ? あいつ。




                うん・・・・・・・・・・・・。




               でも・・・
                が寝る時・・・あいつの事、思い浮かべるっていうのは・・・
               ちょっと、癪に障るなー。




                思い浮かべるんじゃなくて・・・出てくるの。
                きっと・・・出てくるョ・・・。

                あ・・・・・・
                何か・・・思い出しちゃった・・・、どーしよう・・・・・・・・。




               ( 恋次が、 の手を握った )




               あんな野郎の事じゃなくて・・・
               俺の事・・・考えてくれョ・・・。

               寝る時も、起きてる時も・・・俺の事だけを・・・。




                うん・・・。
                なるべく、そうする・・・。
               
                けど・・・やっぱり出てくるなぁ・・・あのお化け・・・。




               出てきても、心配いらねーョ。
               俺が傍に居るからさ。




                そーだね・・・。




               あー・・・
               もし、お化け出てこなくなっても・・・
               当分は、お前の所へ行くからな。




                何で?
                出てこなくなったら、大丈夫だョ。




               いや・・・お化けってのは、忘れた頃に出てくるからな。
                一人になったら、危ねーョ。




                え・・・出てくるって・・・夢じゃなくて・・・?




               どーかなぁ〜・・・?




                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




               だから、俺が行ってやるョ。

               夢に出てこなくなっても・・・
               一ヶ月・・・いや、半年・・・もっとかなー・・・。




                そ・そんなに?




               お前が、出てこられてもいいなら、俺は別にいいんだけどさ。




                恋次・・・・・・




               (  が恋次の手を、強く握り返した )




               脅かすような事は・・・よくねぇな。

               まっ、当分は行くからさ。
               目つぶったら・・・俺が出てくるようになるまでな。




                え・・・、恋次なんて出てこないョ・・・。




               何で?
               俺への「想い」が、足んねぇんじゃねぇか!?

               まっ、いいや。
               それなら、それで・・・一生、 の所に行き続けるョ。

               いっその事・・・一緒に暮らしちまうか?




                え・・・? 何で・・・?




               何でって・・・
               俺は、 が好きで・・・ も・・・俺を好きになるからだ!




               




               前倒しだョ。

               結婚すりゃぁ・・・普通、一緒に暮らすだろ?




                うん・・・、そーだけど・・・・・・




               だろ?

               だから・・・
               俺達も、一緒に暮らす事になるんだョ!

               いつの日か・・・・・・

               まだ、分かんねぇけど・・・・・・


               絶対・・・

               絶対・・・な!

                                                    fin                                            2006,9,15 up  

 

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あとがき

もう少し、「お化け屋敷」の中で
お化け(役)に驚かされてもよかったかなぁ〜?
なんて、思いますが・・・。
そーすると・・・恋次が大変になっちゃいますからね〜(笑

長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お時間ありましたら、また遊びに来て下さいませ。