練習




               〔 夜 ・  の部屋 〕



                恋次・・・愛してる・・・。
                私には、貴方しかいないの・・・。
                貴方の傍に、居させて下さい・・・。



               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



                恋次の番だョ?



               あ・あぁ・・・、そーなんだけどさぁ・・・・・・
               ど・何処やってんのか、分かんなくなっちゃって・・・・・・。



                えっ?
                何処って・・・今始めたところでしょ?

                恋次が「台本のココから読め」って、言ったんじゃない・・・?



               そ・そーだったな・・・。
               悪ぃ・・・。



                恋次・・・大丈夫?

                お芝居の・・・しかも、主役なんて・・・よく引き受けたね?



               やりたくて、やってんじゃねぇ!

               芸術の秋とか、何とかで・・・
               各隊、それぞれ趣向を凝らして、何かやる事になって・・・。

               芝居は、皆で合わせる練習も必要だし・・・
               何処の隊も、やりたがんねぇから、クジになって・・・。

               選りに選って、朽木隊長が・・・
               大ハズレ引いてきたんだョ・・・。




                ふ〜〜ん。

                でもさぁ・・・恋次も乗り気なんでしょ?
                こーやって、私にまで練習相手やらせてさー・・・
                熱心じゃない。

                内容も・・・
                恋次の好きなように、書き替えさせたんでしょ?
                やる気、満々だね。




               ち・違うョ!

               芝居には、条件ってのが決まっててなー・・・

               「恋愛もので、副隊長が主役」って・・・なってたんだョ・・・。

               俺は・・・「嫌だ!」って言ったんだけど・・・

               朽木隊長が・・・
               「嫌なら、副隊長辞めるんだな」・・・って・・・・・・。

               こんな事で、副隊長辞める訳にいかねぇだろー。
               だから、仕方なく・・・。




                うちの隊には、「そんな話し」全然無かったな・・・。
                やっぱり・・・隊として、認められてないのかなぁ・・・。




               そーじゃねーョ。

               14番隊は人数少ねぇし・・・何か準備するっていっても、大変だろ?

               だから・・・
               お前達には、負担掛けねぇようにって、配慮したんだョ。

               何かやりてぇなら、やっても構わねぇんだぞ?




                ううん。
                「恋次のお芝居」観に行くからいい。

                何かやってたら、忙しくて観に行けなくなる可能性あるもんね。




               え・・・
               お前・・・来なくていいョ・・・。

               芝居なんて、つまんねぇからさー・・・他の物、観に行けョ。
               サーカスとか、イリュージョンとか・・・
               面白ろそうなの、いっぱいあるぞ?




                私は、恋次が観たいの。
                こーやって、練習も一緒にやってる訳だし・・・。

                あっ、練習・・・もう1度さっきの所からやる?




               ん?
               んーーーーー・・・・・・、そーだな・・・・・・。




                恋次・・・愛してる・・・。
                私には、貴方しかいないの・・・。
                貴方の傍に、居させて下さい・・・。




               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




                恋次? やる気あるの??


               (  が、恋次の台本を覗き込んだ )


                ココでしょ?

                     すまねぇ・・・
                     俺は、心に決めたヤツがいる。
                     お前の気持ちは、受け取れねぇ。
                     俺の事は、忘れてくれ・・・。




               んー・・・
               その台詞・・・ には、言いたくねぇんだョ・・・。

               お前以外のヤツにだったらな・・・
               当然の気持ちとして、すらすら出てくるんだけどさぁ・・・。




                ??
                だって・・・
                恋次が「芝居の練習相手してくれ」って、来たんだョ?

                あっ・・・・・・私が下手だから?
                ごめんね・・・、でも・・・私にはこれが精一杯だョ・・・。




               いや・・・そーじゃなくてな・・・・・・

               さっき、六番隊で練習してた時さぁ・・・

               「この台詞」・・・今、 が言った台詞な。
                に・・・言ってもらいてぇな〜って思って・・・。

               で・・・安易に、お前に練習相手頼んだんだけどさぁ・・・。

               コレ・・・俺が振る話しなんだョな・・・。
               お前の事、振るなんて・・・芝居でも出来ねぇ・・・・・・。




                えっ?

                でも・・・
                元々「大恋愛のあつあつカップル話」だったのを
                恋次が「嫌だ」って言って、書き直してもらったんでしょ?

                しかも・・・
                恋次は、自分が振られる役は、嫌なもんだから・・・
                女の子に告白させて、恋次が振るようにして・・・

                何か・・・ずるいなぁ〜。




               それは、違うぞ!

               振られるのが嫌なんじゃなくて
                以外の女に、告白するのが「嫌」なんだ!




                告白って・・・お芝居だョ?




               それでも、嫌だ。




                もぅ・・・、恋次は、我がままなんだから・・・。

                で・・・どうするの?
                練習・・・やめる?




               ん?・・・・・・・・・・・

                だけ・・・台詞喋るってのは、どーだ?




                え・・・・・・?
                恋次、分かってるの?
                私は、「このお芝居」出ないんだョ?

                練習が必要なのは、恋次なの。
                恋次が台詞言わなくちゃ、意味ないじゃない・・・?

                私の「下手な台詞」聞いて・・・笑おうとしてるんでしょ?
                恋次って・・・意地悪いね・・・。




               芝居なんて、どーでもいいんだョ。

               俺はただ・・・
                に「愛してる」って、言ってもらいたかっただけなんだからさ・・・。

                、ちょっと台本・・・・・・


               ( 恋次が、 の台本を覗き込んだ )


               さっきの所と・・・
               あとココと・・・ココ!

               これだけ言ってくれョ・・・なっ?




                嫌だョ・・・こんな台詞・・・・・・。




               何で?
               芝居なんだから、いいじゃねぇか?

               気持ち込めて・・・言ってみろョ・・・。
               俺・・・聞いててやるからさ。




                嫌です!




               ケチ!!

                は・・・芝居の練習相手も、してくんねぇのか・・・。
               俺が、こんなに頼んでるのに・・・
               俺のことなんて・・・どーでもいいんだな・・・。




                あ・あのね・・・
                私だけが、練習しても・・・しょーがないでしょ?

                恋次がやるお芝居なんだからね・・・?




               じゃぁ、俺が受け答えすればいいんだな?

               なら、やるョ。
                の台詞も・・・短くていいや。
               この・・・各一行・・・・・・これだけ言ってくれ。




                ・・・分かった。

                じゃぁ・・・始めるョ?




               おぅ。




                恋次・・・愛してる・・・。




               俺も、愛してる。




                恋次・・・違うでしょ?




               いいんだョ。
               その時の相手によって、台詞ってのは変わってくるもんだ。

               先、進めョ。




                うん・・・。

                えっと・・・・・・

                恋次・・・お願い、私の事を・・・もっとよく見て・・・。




               見てるョ。
               俺は、 の事しか・・・見えてねぇから・・・。

               いつも・・・お前の事だけ・・・。
               
               寝ても覚めても・・・ しか見えねぇ・・・。




                恋次?
                それだと・・・
                お芝居の話しが、全然違ってきちゃってるんじゃないの?




               芝居じゃねぇもん。

               俺は・・・
               俺の思ってる事を、素直に言ってるだけだから・・・。

               まぁ・・・気にすんな。

               じゃぁ・・・最後の台詞だな・・・。
               これは・・・何て答えるかな・・・・・・。
               思ってる通りは・・・言えねぇな・・・・・・。




                あ・・・、コレは・・・やめようョ?
                恋次、真面目にやってないしさぁ・・・。

                こんな事言わせて・・・からかおうと、思ってるんでしょ?




               からかったりしねぇから・・・言ってみろョ。

               俺も・・・言葉返せねぇと思うし・・・。




                恋次も、台詞の通り言えばいいでしょ?

                じゃぁ・・・ちょっと恥ずかしいけど・・・
                言ってみるから・・・笑わないでョ?




               あぁ・・・。




                恋次・・・・・・・・・・・・

                抱いて・・・・・・・・・・・。




               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




                そ・そんなに、じっと見ないでョ・・・・・・。

                お・お芝居なんだからね・・・・・・。

                書いてある通り・・・言っただけだし・・・・・・。




               分かってる・・・。

               「そんな台詞」・・・誰にも言うなョな・・・・・・。

               絶対・・・言うなョな・・・・・・。




                い・言わないョ・・・。

                も・もぅ・・・いいョね?

                練習終わり!

                しかし・・・恋愛ものっていうのは、大変だね・・・。
                私には、無理だな・・・恋愛系のお芝居なんて・・・。




               最初の「大恋愛」の方だったら・・・ラブシーンもあったんだぞ。




                えっ!?

                そ・そーなんだ・・・。

                でも・・・恋次は、キスなんて慣れてるんでしょ?
                お芝居のラブシーンくらい、どーって事ないョね?




               冗談じゃねーョ!!

               俺は、俳優じゃねぇんだぞ!?

               好きでもねぇヤツと、キスなんか出来るか!!




                そ・そーだョね・・・。
                恋次は・・・「好きな人一筋」だもんね・・・。




               あぁ。
                も・・・そこまでは、よく分かってんじゃねぇか。




                そのくらい、分かるョ。
                私は、恋次みたいに「鈍感」じゃないもん。




               そーだな・・・。
               お前は・・・自分の事以外なら、そこそこ分かるんだョな・・・。




                ん??




               なぁ・・・
               試しにさぁ・・・「ラブシーン」・・・やってみねぇか?




                えっ!?

                嫌だョ、お断りします!

                私だって・・・女優じゃないもん・・・。
                私の事・・・好きでもない人と・・・キスなんて・・・・・・。

                恋次は、好きな人とだけキスするんでしょ?

                あっ・・・、また、からかってるんだ・・・・・・。

                そんなに私の事からかって・・・面白い?




               好きなら・・・してくれるのか?

               じゃぁ・・・

               ラブシーンじゃなくて・・・・・・

               俺と・・・・・・

               俺とさぁ・・・・・・キスしてくれ・・・・・・?





                恋次?
                今度は、告白の練習?

                でも・・・
                いきなり「キスしてくれ」は・・・どうかなぁ〜・・・?

                お願いして、してもらうモノでも、ない気がするしなぁ・・・?




               じゃぁ・・・
               何て言えば・・・いいんだョ?




                私は・・・そういう事は、よく分からないけど・・・

                言葉で言うものじゃ・・・ないんじゃないの・・・?

                まぁ・・・お伺いを立てる時も・・・あるかもしれないけど・・・
                雰囲気っていうか・・・

                まず、大前提に・・・
                その人が、恋次の事を「好き」でなくちゃねぇ〜・・・?




               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




                あっ・・・、ご・ごめんね・・・。

                その人も・・・きっと、恋次の事・・・好きだョね。
                絶対・・・好きだと思う・・・・・・。




               練習・・・付き合ってくれんのか?




                うん、いいョ。




               いいのか?
               「キス」の練習だぞ?




                え・・・・・・?

                キスするまでの練習でしょ?
                キスは・・・する必要ないじゃない・・・・・・?




               直前で、止めらんなかったら?

               いい雰囲気・・・作るんだョな?

               じゃぁ、俺・・・止めらんねぇと思う・・・。




                ・・・

                恋次の為になるなら・・・・・・
                練習になるなら・・・私は、いいョ・・・。

                私は・・・
                恋次にしてあげられる事なんて、何もないもん・・・。

                いつも・・・頼ってるだけで・・・。

                お芝居でも、告白でも、キス・・・・でも・・・・・・何でも・・・
                恋次の練習台になるョ・・・。




               やめた、やめた!!

               ごめんな・・・。

                の言う通りだョ。

               こんな事・・・頼んでしてもらう事じゃねぇ。

               悪かった・・・。




                ううん・・・。
                私じゃ・・・相手不足だもんね・・・。

                結局・・・私は、恋次の力になれないね・・・・・・。




               そんな事ねーョ。
               居てくれるだけで・・・ は、俺の力になってるョ。

               「俺が好きなヤツの気持ち」・・・か・・・・・・。


               ( 恋次が を見つめた )




                ん?




               俺の事、好きか?




                うん。




               分かんねぇ・・・。
               全然、分かんねぇ・・・・・・。

                の気持ちが・・・分かんねぇーーーーー!




                私の気持ち?

                私は、恋次が好きだョ。
                大好き。
                凄く好き。
                誰よりも好き。
                世界で一番好き。

                今のところ、好きなのは・・・恋次だけかな?

                あっ・・・
                修兵も・・・鳳君も・・・好きかな〜。




               もぅ・・・いいョ・・・・・・。

               さっぱり分かんねぇ・・・。
               分かる訳ねーョ・・・。

               あ〜ぁ、芝居なんてやりたくねぇなー!
                の薬湯でも飲んで、体調崩すかな〜。




                恋次?
                どこか悪いの?

                何でも言ってね、どんな症状でも対応するから。

                  特製 スペシャル薬湯(恋次用) 作るから。




               おぅ。
               それは、効きそうだな。

               果たして、飲めるかが心配だけど・・・作っといてもらうかな。

               ソレ飲んで・・・芝居は、他のヤツにやってもらって・・・
               俺は、 に看病してもらうか。




                薬湯飲めば・・・具合悪いの治るョ?




               ん?

               普通は、そーだろうけどさぁ・・・・・・
               俺は、基本的には「どこも悪くない」から
                の不味い薬湯飲むと・・・体調悪くなるんだョ。




                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




               ごめん・・・。

               お前の仕事・・・けなすような事言って、すまない。




                ううん・・・、私の力不足だもん・・・。
                もっと、勉強しなくちゃね・・・・・・・。




               そーじゃなくてさー・・・

               芝居やりたくねぇからさー、俺の仮病・・・手伝ってくれョ、なっ?




                えっ?
                でも、恋次・・・主役でしょ?
                急に、出なくなっても、大丈夫なの?




               あぁ。
               その辺は、抜かりねーョ。
               予め、「不測の事態」を想定して
               俺の役を練習させてるヤツがいるから、問題ねぇ。



               
                いいのかなぁ〜?
                そんな事して・・・・・・。




               いいんだョ。

                が、「俺は体調不良だ」って言ってくれれば、皆信じるからさ。




                うん・・・。




               よし。
               これで、芝居の拷問からは、解放されたな。

               気が楽になったところで・・・
               さっきの芝居の練習・・・もう1度しようぜ?




                何で?
                もぅ、練習はいらないでしょ?




               俺と ・・・二人だけの芝居がしてぇ・・・。

               さっきと同じ所・・・もう1回・・・・・・。




                んー・・・、じゃぁ・・・最初の一行だけね。




               ケチ!

               でも・・・まぁ、いいや。




                いい?




               あぁ。




                恋次・・・愛してる・・・。




               その台詞・・・待ってるからな!

               芝居としてじゃなくて・・・

                の素直な気持ちとして・・・

               「好き」以上の・・・その台詞を・・・・・・。

                                                              fin                             2006,10,30 up

 

戻る

 

あとがき

恋次の仮病・・・
果たして、朽木隊長の目を欺く事が出来たのでしょうか?(笑)

長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お時間ありましたら、また遊びに来て下さいませ。