噂
( 薬屋へ向かう途中 )
あっ、
副隊長〜。
ん? あぁ、鳳君。
どちらに行かれるんですか?
薬屋までだけど・・・。
じゃあ、ご一緒します。
えっ?
あー、今日は注文だけだから、一人で大丈夫ですから。
でも・・・ご一緒させて下さい。
はぁ・・・。
( 薬屋 )
じゃあ、私ちょっと行ってきますから。
はい。
( 出て来て )
副隊長・・・この後少しお話出来ますか?
えっ?
はぁ・・・いいですけど・・・。
ありがとうございます。
あそこの広場で・・・いいですか?
あ、はい。
・
・
・
( 広場のベンチに座った )
えっと・・・お話って・・・?
あっ・・・はい・・・。
あのー・・・
失礼は重々承知の上で・・・お聞きしたいんですが・・・。
はぁ・・・構いませんけど・・・。
副隊長と阿散井副隊長は・・・その・・・
お付き合いされてるんでしょうか?
お付き合い?
はぁ・・・はっきり言えば・・・
恋人同士なんでしょうか?
えっ?
いえ、違いますけど・・・。
本当ですか?
はい・・・。
全然そんなんじゃありませんョ・・・。
でも・・・噂では・・・。
噂?
はい・・・。
少し前位から・・・噂が・・・。
そのー・・・
副隊長と阿散井副隊長が・・・できてるって・・・。
えっ??
私と恋次が?
はい・・・。
あのー・・・本当に違うんですか?
違いますョー。
大体恋次は、私になんて興味ないって言ってましたし・・・。
私も・・・
別に特別な感情は持っていませんから・・・。
本当に?
本当です・・・けど・・・それが何か?
俺・・・
副隊長が阿散井副隊長と付き合っているんなら
諦めようと思ったんですけど・・・。
はっ?
でも・・・うじうじしてても、しょうがないんで・・・。
副隊長、俺と付き合ってもらえませんか?
えっ?
付き合うって・・・。
はい・・・。
あのー・・・俺の彼女になって下さい。
あ・あのね・・・鳳君・・・。
俺じゃダメですか?
そりゃぁ・・・俺は席官以下で・・・
副隊長とは、階級が違い過ぎますけど・・・。
えっとね・・・そういう事じゃなくてね・・・。
ごめんなさい・・・。
私・・・今、誰ともお付き合いするつもりないんです・・・。
そーですョね・・・。
やっぱり俺じゃ・・・副隊長とはつりあいませんョね・・・。
俺なんて・・・どんなに頑張ったって、副隊長になんて一生なれないし・・・。
ダメな男ですョね・・・。
い・いや・・・そういう事じゃなくてね・・・。
俺の事・・・嫌いですか?
・・・鳳君・・・。
あのね・・・嫌いなんかじゃないョ。
いつも親切にしてもらってるし・・・勝手に頼りにもしてます。
でも・・・ごめんなさい・・・。
恋愛感情は持ってないの・・・。
それは・・・何となく分かってます・・・でも・・・。
俺・・・
副隊長が、阿散井副隊長とできてるって聞いた時・・・
自分の中で、物凄く大きな衝撃を覚えて・・・。
だって・・・
俺と
副隊長が知り合ったのと
阿散井副隊長と
副隊長が知り合ったのって・・・
時期はそんなに変わらないはずだから・・・。
俺は、最初からずっと好きだったのに・・・何にも言えなくて・・・。
阿散井副隊長は・・・初めの頃、俺に頑張れって言ってくれた人で・・・。
いつの間にか・・・
副隊長が、阿散井副隊長のものになっちゃってたなんて・・・。
俺・・・今まで何やってたんだろーって・・・。
黙ってて・・・このまま、今の友達にもなれない関係でいても・・・。
そして・・・そのうち必ず誰かにもってかれるんだったら・・・
はっきり、
副隊長の口から「嫌い」って言って欲しかっただけです・・・。
鳳君・・・。
「嫌い」だなんて言えないョ・・・。
まだ、私がいじめられてる頃から、とても親切にしてくれてて・・・。
凄く感謝してるんだもん・・・。
じゃあ・・・俺にもチャンスを下さい。
チャンス?
図々しいお願いですけど・・・。
はい・・・。
やっぱり・・・俺と付き合ってみて下さい。
そして、俺の事もっとよく見て・・・話て・・・
それでも、好きになれなかったら・・・その時は・・・
言ってもらえば、諦めますから・・・。
えっ?
でも・・・。
今のままじゃ・・・ダメなんです・・・。
友達でもない・・・ただの知り合い程度じゃ、階級の差がうめられません・・・。
普通に話す事すら・・・ままならないですから・・・。
別に、いきなり恋人同士になってくれとはいいません・・・。
友達でいいですから・・・。
でも・・・普通の俺を見ていただくには・・・
あつかましいですが・・・俺の彼女になって・・・俺をだけを見て下さい。
でも・・・
気持ちなんて、そんなにすぐには変わらないと思うし・・・。
付き合っても、きっと鳳君の望むようには・・・出来ないョ・・・。
ダメですか?
俺の事・・・見てもくれないんですね・・・。
そ・そんな事言ってないでしょ・・・。
このままでも・・・十分見れるし・・・。
話しだって、もっとすればいいんじゃないの?
あなたは・・・副隊長の地位が、どれだけ大きなものか分かってないんです。
で・でも・・・
今は、こうやって話してるじゃない・・・。
それだって・・・
俺がどんなに恐縮して・・・お話してもらってるかって・・・分かりますか?
毎回、ちょっと何か話すにも、いちいちお伺い立てて・・・
こんな調子じゃ・・・無理です・・・。
大体俺が・・・副隊長なんて好きになったのが間違いなんですョね・・・。
存在が・・・遠すぎます・・・。
私・・・
付き合っても、このまま変われないョ?
こんな私でいいの?
きっと・・・
普通に付き合ってる人達みたいに・・・仲良くするのも無理だと思うし・・・。
えっ?
いいんですか?
多分・・・鳳君に今より嫌な思いさせちゃうと思う・・・。
構いません・・・今のままのあなたで。
俺のところに・・・降りてきて下さい・・・。
え・えっとね・・・
何て言っていいのか分からないけど・・・。
いいんですョね、俺の彼女で。
・・・・・・・はい。
ありがとうございます、俺の我がまま聞いてくれて。
でも・・・あと1つ聞いてもらえませんか?
えっ? あ・・・はい・・・何ですか?
阿散井副隊長とは、会わないでもらえますか?
えっ?
恋次と?
はい・・・。
自分の彼女と噂のある人ですから・・・会われるのは嫌です。
あぁ・・・そーだョね・・・。
変な噂立っちゃって・・・恋次だって迷惑してるだろうし・・・。
分かりました。
後で恋次に会って、もう会わないって話してくるョ。
ありがとうございます。
あ・あのね・・・鳳君・・・普通に話していいョ・・・。
えっ?
あぁ・・・そうですね・・・。
その為に付き合うんでしたからね・・・。
でも・・・すぐには無理かもしれません・・・。
やはり・・・あなたは遠い存在ですから・・・。
そ・そーなの?
私は構わないからね。
はい。
・
・
・
・
・
( 鳳君に医療所まで送ってもらい、そこで別れた )
(
の部屋 )
どーしョー・・・。
何か変な事になっちゃったなぁ〜・・・。
まぁ、鳳君悪い人じゃないし、私にも彼氏くらいいてもいいかなぁ〜。
あれだけ真剣に言われちゃうと・・・断れないョねー・・・。
鳳君も私の気持ち知ってる訳だし・・・
何とかなるかなぁ〜・・・。
あー・・・でも恋次の所に行ってこなくちゃね〜。
変な噂になって・・・怒ってないといいけどなぁ〜・・・。
・
・
・
・
・
〔 恋次の副官室 〕
( コンコン )
と申しますが、阿散井副隊長いらっしゃいますでしょうか?
( ドアが開いた )
どーしたんだョ、改まっちゃって。
えっ?
あぁ・・・あの、ちょっとお話出来ますか?
何だお前、具合でも悪いのか?
まぁ、入れョ。
( 中に入ると、修兵がいた )
あっ・・・(頭を下げたが・・・言葉は続かなかった・・・)
じゃあ俺、帰るわ。
えっ?
あ・あの・・・すぐ終わりますから・・・どうぞいて下さい。
( 修兵が恋次の顔を見た )
いんじゃねーの。
(
の方を向いて )
そこにでも、座れョ。
あっ・・・いえ、ここでいいですから・・・。
何か変だョなー。
調子悪いのか?
あんまり顔色良くねーしなぁー。
そんな事ないですけど・・・。
あの・・・。
ん?
私・・・
鳳君と付き合う事になったの・・・。
だから・・・もう、恋次とは会わない方がいいから・・・。
今まで・・・いろいろ助けてくれて、ありがとうございました。
お礼は、また後ほどちゃんと致しますから・・・。
では。
( ドアの方を向く前に、恋次に手を掴まれ )
ちょっと待てョ。
なんなんだ、それ。
お前、ヤツの事好きなのか?
えっ?
好きなのか?って聞いてんだョ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
お前・・・好きでもねーヤツと付き合うのか?
それは・・・いろいろと事情があって・・・。
どんな事情だョ。
言ってみろ。
恋次には関係ないでしょ。
( 掴んでいた手に、力が込められた )
痛いョ・・・恋次・・・。
それに・・・鳳君とは関係なく、恋次とはもう会わない方がいいから・・・。
何でだョ。
噂が立ってるんだって・・・私と恋次ができてるって・・・。
噂なんて関係ねーだろ。
でも・・・
もし、恋次の好きな人にそんな噂聞こえちゃったら・・・
私・・・二人に申し訳ないもん・・・。
まぁ・・・噂はいいョ・・・。
それより・・・
どーいう事なんだョ。
ヤツに告られたのか?
・・・そーだけど・・・。
で、OKしたのか。
( 首だけ縦に振った )
好きでもないのにか!
お前、そんな女だったのかョ!
恋次、あんまりきつく言うなョ。
(
の方を向いて )
事情があったんだョな・・・断れない・・・。
( 首だけ縦に振った )
どんな事情がありゃ、好きでもねーヤツと付き合えるんだョ!
お前、付き合うって分かってんのか?
恋次やめろョ。
( 恋次が、掴んでいた手の力をちょっと緩めたところで
手を振り切り、そのまま走って部屋を出て行った )
「ドスン!」
( 次の瞬間、恋次が右手で力一杯壁を殴りつけた )
お前・・・手がぶっ壊れるぞ・・・。
とりあえず、俺がそいつんとこ行ってくるョ。
何番隊の誰だ?
俺が行くョ。
お前じゃ、手が出るだろ。
騒ぎ大きくしたら、あの子だって傷つくことになるんだぞ。
俺が行って、白紙に戻してくるから・・・まかせろョ。
11番隊の・・・鳳・・・。
大丈夫だョ。
それより・・・あの子あんまり責めんなョな。
冷静に話せョ・・・いいな。
・
・
・
・
・
(
の部屋の前 )
。
恋次?
あぁ・・・。
話しがある・・・入ってもいいか?
ダメ。
じゃあ、ここでいいから・・・ちゃんと聞けョな。
うん・・・。
お前の本当の気持ちは、どーなんだョ。
アイツと付き合いたいのか?
がそうしたいなら・・・何にも言わねーョ・・・。
本心・・・話してくれョ・・・。
( ドアが開いた )
入ってもいいのか?
うん・・・。
大丈夫か・・・?
悪かった・・・わざわざ知らせに来てくれたのになぁ・・・。
ううん・・・。
で・・・
どーなんだョ・・・。
うん・・・。
あの時は、それでいいと思ったの・・・。
でも・・・好きじゃねーんだろ?
・・・・・・・・・うん。
じゃあ、何で断んねーんだョ。
何回も断ったョ・・・。
えっ?
恋愛感情も持ってないって・・・はっきり言ったんだけど・・・
立場がどーとか、こーとか言われて・・・。
私・・・鳳君の事、上から見た事なんて一度もないのに・・・。
まぁ・・・あいつも辛いところだョな・・・。
普通に話すには・・・そうしてくれって言われたから・・・。
(
の頬に一滴の涙がつたった・・・)
あのなぁ・・・
何言われたって、嫌な時は嫌って言えばいいんだョ。
何かあってからじゃ遅いんだぞ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
泣くほど嫌なんじゃねーかョ・・・。
えっ?
あ・・・あっ・・・これは違うョ・・・。
何が?
何となく・・・涙が出てきちゃっただけだからね・・・。
鳳君のせいじゃないからね・・・。
恋次・・・?
大丈夫だョ。
でも、ただじゃ置かねー。
ダメだョ恋次・・・。
お願いだから、何にもしないで・・・。
あぁ・・・
に迷惑かけない程度にな。
恋次・・・。
何にもしねーョ。
だけど・・・
って結構泣き虫なんだな・・・。
えっ?
すぐ泣くもんな。
最初はもっと強ぇーヤツだと思ってたけどョー。
・・・・・・頼れる人が出来たから・・・。
えっ?
自分一人で頑張らなくても良くなって・・・
気がつくと・・・いつも傍にいてくれるから・・・。
だから・・・安心できる・・・。
・・・。
あっ、でも・・・
もう、本当に会えなくなっちゃうね・・・。
何で?
だって・・・噂立ってるんだョ・・・。
そんなの気にする事ねーだろー。
でも・・・。
そんなに嫌か? 俺と噂になるの・・・。
えっ?
別に・・・
でも・・・そういう事じゃないでしょ・・・。
いいんなら、いいじゃねーか。
言わせたいヤツには、言わせとけばいいんだョ。
俺は会いに来っからな。
恋次・・・。
あ、それから
ヤツとの事はなかった事にしていいんだョな?
えっ?
あっ・・・そーだ・・・どーしョー・・・。
バーカ、どーしョーじゃねーョ。
まぁ、ヤツも
の所に来づらくなっちまうだろーけどョー。
荷物持ち・・・いなくなっちまったな・・・。
えっ?
もしかして・・・恋次、何かしたの?
ん?
まぁ、してーのは山々だけどョー。
ダ・ダメだョ恋次・・・。
分かってるョ。
もう、ヤツとの事は白紙にしといたから。
えっ?
そーなの?
あぁ。
私・・・ちゃんと謝りに行った方がいいかなぁ〜・・・。
のしたいようにしろョ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
何だョ。
ううん・・・何でもないョ・・・。
言いたい事があんなら、言えョ。
「行くな」って言うかと思ったんだもん・・・。
行かせる訳ねーだろ。
えっ?
一応、言ってみただけだョ。
がどうするかと思ってさ。
恋次・・・。
(
が恋次の右手に、両手でそっと触れた )
恋次!!!!!
な・何だョ。
恋次・・・この手・・・骨、折れてるョ・・・。
ん?
あー、そうかもな。
大丈夫だョ、このくらい。
ダメだョ。
すぐ治すから・・・。
いいって、ほっときゃすぐ治るから。
良くないョ・・・。
こういうの放っとくと、後で刀だっけ・・・名前忘れちゃったけど・・・
持つ時に影響する場合あるからさぁ〜。
んー・・・。
でも・・・
がダメージ受けるんだろ・・・。
えっ?
あぁ・・・まぁ・・・。
瞬間的に大きな力使うから・・・いつもみたいになるけど・・・。
でも・・・
ここ私の部屋だし、倒れたら・・・そのままにして帰っちゃっていいから。
やっぱりいいョ。
に負担かけたくねーから・・・。
何言ってんの?
いいから早く手貸して。
いいョ。
私・・・
恋次が、瀕死の重傷負って・・・恋次助けると、自分が死ぬ事になるとしても
ためらわず、恋次助けるョ。
・・・。
早く手貸して。
が目、覚めるまで・・・ここにいてもいいョな・・・。
えっ?
構わないけど・・・。
(
が治療を始め、何分か後には気を失った )
全く、頑固だョなぁー。
でも・・・ありがとな。
おかげで、痛くなくなったョ・・・。
俺・・・もっと強くならなきゃいけねーョな〜。
重傷なんて負わねーようになー。
に助けられて・・・
がいなくなるなんて・・・まっぴら御免だ。
俺・・・頑張るョ。
の為に・・・。
fin 2005,8,21 up
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