幸せの瞬間(中編)





               〔 2月14日・夜   の部屋 〕

               ( 修兵が、部屋から出て行った )


          −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



                ・・・・・・
               部屋の前まで来たんなら・・・
               何で、顔出さねぇんだョ?




                だって・・・

                「チョコレートケーキ」をあげる為に、恋次の所へ行ったのに・・・
                その「チョコレートケーキ」がなくなっちゃったら・・・
                恋次の所へ行く理由がないでしょ?




               理由なんていらねーョ。
               水くせぇじゃねーか・・・。




                もぅ・・・行かないようにすればいいんでしょ?




               え・・・、い・いや・・・あれは・・・・・・

               あれは・・・無かった事にしてくれ・・・、頼む。




                恋次の所に行ってもいいの?




               あぁ、勿論だ。
               毎日でも、来て欲しい。




                あっ、じゃぁ・・・
                試作品の薬湯があるんだけど・・・
                明日、持って行ってもいい?




               え・・・・・・・・・・・・




                ダメ?
                やっぱり・・・私には来て欲しくない?
                ハッキリ言ってくれていいョ?




               そーいう事じゃねぇ・・・・・・・

               ハァ・・・。

               来て欲しいョ。
               何でも持って来い。
               だけど・・・辛いのは勘弁な?




                うん。

                最初から、恋次に試してもらおうと思ってるから
                辛いのは、作らないようにしてるんだ〜。




               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

               あんまり喜べねぇけど・・・。




                あっ、そーだ!

                丁度、チョコレート味のも、作ったところなんだ。
                飲んでくれる?




               ・・・今か?

               そーいうのは、修兵に頼んだ方がいいんじゃねぇか?

               ヤツの方が、胃が丈夫そうだし・・・なっ?




                うん、分かった。

                そーだね・・・。
                今日は、修兵にお世話になったし・・・。

                修兵・・・優しくて、頼りになるし
                私の「本命」は、『修兵』ってことで・・・

                この「超高級バレンタイン用薬湯(試作品)」は
                修兵に飲んでもらお〜っと。




               な・何なんだ??
               その・・・超高級・・・っていうのは・・・?




                ん?

                コレはね〜
                来年、正式に売り出す
                バレンタインの本命用のチョコレート味の薬湯だョ。

                体に良い成分が、いろいろ入っててね〜
                疲れた体には、凄く良く効くの。




               ふ〜ん。
               まぁ・・・趣旨は分かったけど・・・
               何で、「本命用」なんだ?




                だってコレ・・・
                1本の値段、凄く高いんだョ?

                女の子が、大好きな相手の体を思うからこそ、買えるんであって・・・
                どーでもいい人には、こんなに高い物あげないでしょ?




               「本命用」なんだな?




                うん。




               じゃぁ、俺が貰う。
               飲んでやるから、持って来い。




                いいョ・・・
                私の本命は、修兵だもん。
                修兵にあげるの。




               じゃぁ・・・ちょっと見せてみろ。




                うん・・・。

                コレだけど・・・。



               ( 恋次が、 の手から薬湯を奪い取って、そのまま飲んだ )




               ( 「ゴクゴクゴク・・・」 )




                あっ・・・・・・
                もぅ・・・恋次は・・・・・・。




               他には無いのか?
               「本命用」は、全部俺によこせ。
               他のヤツなんかに、あげさせてたまるか!




                今は、それ1本しかないョ・・・。

                ほぼ完成品で・・・・・・




               ん?




                恋次が来た時に、飲んでもらおうと思ってたんだもん・・・。




               それって・・・

               俺が本命って・・・事か?




                違うョ。
                恋次は実験台。




               お前なぁ〜・・・・・・。

               今日くらい・・・「そーだョ」とか、気の利いた事言えョ・・・。

               本命なんて居ねぇんだろ?
               なら・・・俺だって良いって事じゃねーか?




                私の本命になったって、恋次は嬉しくないでしょ?




               実験台って言われるよりは・・・
               本命で「好き」って言われる方が、誰だって嬉しいだろ?




                まぁ・・・そーだけど・・・。




               じゃぁ・・・
                の本命は・・・誰だ?




                ・・・
                恋次・・・なのかな?




               誰だ!!??




                ・・・・・・恋次。




               俺の本命は・・・

               両想いだな。




                違うと思うけど・・・。




               えっ!!??




                ・・・・・・両想い・・・だね・・・。




               良し!

                ・・・
               チョコレートケーキ・・・ありがとな。




                うん・・・。

                でも、それは・・・
                修兵が、頼んできてくれた物だから・・・お礼は修兵に・・・・・・




               コレも嬉しいけど・・・

               見る事が出来なかった・・・
               俺の手元に届かなかったケーキが・・・
               俺は嬉しい。




                恋次・・・・・・。


               ( 恋次が、 を抱きしめた )


                れ・恋次・・・手が痛い・・・・・・。




               あ、ごめん。

               でも・・・離せねぇ・・・。


               ( 恋次が、手の位置をずらした )


               これなら・・・いいだろ?




                うん・・・。

                恋次・・・?




               ん?




                さっきの薬湯・・・どーだった?




               あー・・・、そーいや〜・・・不味くなかったなぁ・・・。

               美味かったョ。




                本当に?




               あぁ。




                良かった〜。

                で・・・どぅ?




               ・・・は?




                私の事、好き?




               えっ!?

               な・何なんだョ、急に・・・・・・?

               す・好きだョ・・・。
               俺の本命だって・・・言っただろ?




                やった〜!

                大成功〜〜〜!




               え・・・???

               俺に好かれて・・・嬉しいか?




                うん。

                あ、でも・・・
                その効果は、2、3日で消えちゃうんだけどね。

                因みに・・・
                どのくらい、私の事が好き?

                少し?
                それとも・・・ほんのちょっと?




               効果って何だョ!?
               変な物入れたのか?




                恋次〜、どのくらい好き?




               ・・・大好きだョ。

               世界で一番・・・愛してる。




                うゎっ!

                思った以上の効力発揮だね。

                あの薬草・・・饒舌にもなるのか・・・。
                新しい発見だな〜。




               何入れたんだ?




                ん?
                男の人には、ナイショ。
                あ、知ってる人も2人居るけどね。




               俺にも教えろ!

               教えねぇと・・・・・・・・・・・・




                えっ!?

                れ・れ・・恋次・・・・・・
                ちょ・ちょっと・・・
                か・顔が近いって・・・・・・・・・・・・




               もっと近寄るぞ?
               隙間なく、ピッタリと。




                わ・分かった・・・。
                話すから・・・。

                そーだった・・・。
                今の恋次は、薬湯が効いてるから、ちょっと危険かもしれない・・・。

                あ・あのね・・・
                この「超高級バレンタイン用薬湯(試作品)」には・・・

                『惚れ薬』が、配合されてるの・・・。

                女の子達のアンケートで、要望が凄く多かったから
                入れてみたんだけど・・・

                良く効くね・・・。




               『惚れ薬』!?

               そんなの違反だぞ!?
               ずるいじゃねーか。




                そーだけどさ・・・。

                でも・・・
                本当に「惚れ薬」なんて、ある訳じゃないんだョ?

                日夜、研究はしてるんだけどさぁ・・・
                人の気持ちを変えられる程の物は、まだ発見されてないんだ。

                ただ・・・恋次も聞いた事あるでしょ?

                匂いで・・・異性を惹きつけられるような物がある・・・とか?




               あぁ・・・、何かあったな〜。




                ココに入ってるのも、そんな程度の物なんだ。

                ただね、隊長と教官も協力してくれたから・・・
                かなり良い物が出来てね・・・

                相手が元々好意を持っていれば、「好き」って感情がちょっと芽生えて
                2、3日は持続するかな〜って感じなの。

                でも・・・、恋次には「良く効いた」ね・・・?

                あっ、そーだ!

                コレは、女の子にしか売らないんだけど・・・
                特別に来年・・・恋次に1本売ってあげる。

                それを「好きな人」に飲ませてみれば?




               う〜〜〜ん・・・・・・・。

               俺は、変な小細工したかねぇけど・・・

               大して効かねぇんだョな?

               なら・・・
               いつも変な物飲まされてるお返しに、飲ませてみるか。

               来年なんて待てねーョ。
               早いとこ作ってくれ。




                うん・・・、分かった。

                味はどーする?
                チョコじゃなくても作れるョ?




                の好きな味。




                えっ?
                私の?




                に飲ませるんだから、お前の好きな味作れョ。




                私に・・・?

                                                              To be continued             2007,2,22 up 

 

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