快晴。
               桜は、満開。

               俺の目の届く範囲内に、人影は見当たらねぇ。

               俺達二人きり・・・
               俺と、俺の最愛の女・・・・・・。

               楽しい春の一時を過ごす筈だった。


               なのに・・・・・・


               俺の最愛の女は・・・

               俺の隣に座り、俺に寄り掛かり・・・
               そっと目を閉じ・・・
               静かに眠っている・・・。




               俺と は・・・
               今日、花見に行く約束をしていた。

               俺が、医療所に迎えに行くと、隊員が一人出て来て

               『 副隊長は、お部屋でお休みになっておられます。
                「今日のお出かけは無理ではないか・・・」
                と、隊長が仰ってました。』


               理由を聞いてみると・・・

                は、俺と出かける為、今日は「休み」をとっていたが・・・
               少し前に、重傷患者が数名運ばれてきて
                は、見るに見かねて、治療を始めたそうだ。



               まぁ・・・あいつなら、そーするだろうなぁ・・・。



               しかし・・・
               俺との約束時間が迫っていた為、かなり無理をして
               一気に力を注ぎ、治療をした・・・。

               その結果・・・ は倒れた。



               周りの隊員は・・・
               必死に治療している を、止めたそうだ。

               でも、 は・・・


               『恋次が来るまでに、何とかしなくちゃ・・・』


               って、制止を聞こうとしなかった。




               俺が大事なら・・・出かける前に、治療なんかするな。

               治療のが大事なら・・・
               俺なんか待たせて、ゆっくり治療すればいいじゃねーか・・・。

               もっと、自分の体を大切にしてくれョ・・・。

               お前が倒れても・・・俺は、何もしてやれねぇんだから・・・。




               俺は、今日の花見を諦め、 の看病・・・って言っても
               何も出来ねぇが・・・
               傍に居てやる事にした。

               じゃねぇな・・・。

               傍に居たい。

               少なくても、 の目が覚めるまでは・・・
               お前の笑顔見るまでは・・・

               帰れねーョ・・・。




                の部屋に行ってみると・・・
                は、横になっていたが・・・・・・




                ・・・あっ、恋次・・・・・・・・・・。



               意識はあるのか・・・。
               そんなに酷くなくて、何よりだ。

               まっ、今日はゆっくり休め。




                恋次・・・?




               ん? 何だ?




                私・・・歩けないんだけどさぁ・・・・・・




               あぁ。
               何か、欲しい物でもあるのか?
               何か飲むか?
               何でも言え、買ってきてやる。




                お花見・・・連れてって・・・?




               え・・・・・・

               それは・・・無理だろ・・・・・・?

               お前の今の状態・・・
               顔面蒼白・・・
               多分、意識はもうろうとしてて・・・
               目も、あまり良く見えねぇ・・・・・・だろ?




                うん・・・。




               無理すんな。
               2、3日もすれば、元気になるだろ?
               そーしたら、行こうぜ。




                恋次の調べによれば・・・
                今日が「満開」なんでしょ・・・?




               んー・・・。

               まぁ・・・そう聞いたから、今日にしたんだけど・・・
               そんなにすぐ散らねぇし・・・・・・




                連れてって・・・?

                恋次と・・・満開の桜・・・見たいな・・・・・・。




               ・・・大丈夫なのか?




                うん・・・。




               何が「うん」だョ!

               そんなに行きてぇなら、無理な治療なんてするんじゃねーョ!

               俺は・・・
               お前の倒れたところなんて、見たくねぇんだからな・・・。




                じゃぁ・・・いいや・・・・・・。

                私を連れて行くの・・・面倒だもんね・・・・・・。

               (  が静かに目を閉じた )




               そんな事、言ってねぇだろ?
               本当に大丈夫なのか?




                ・・・。




                が「行きてぇ」って言うんなら、俺は連れて行くョ。

               お前の望みは、叶えてやりてぇからな・・・。




                ・・・。




               ふらふらのくせに、怒ってんじゃねーョ!

               じゃ・・・連れてくからな。
               着いたら、教えてやるから、それまで寝てろ・・・。




                恋次・・・・・・?




               ん?




                ありがとう・・・・・・。




               ・・・・・・おぅ。

                          ・
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・

                ・・・・・・

               着いたぞ・・・・・・?

               桜・・・満開だ・・・。




               最初の内は、 の意識もあり、簡単な受け答えはしてくれてたが・・・
               途中からは・・・ の力が全て抜けた・・・。

               ぐったりした・・・。

               意識・・・ねぇな・・・・・・。


               連れて来たはいいけど・・・どうするかなぁ・・・・・・?

               このまま戻って・・・部屋に寝かせるのが一番かな・・・・・・。





                恋次・・・・・・。




               あっ・・・・・・
               つ・着いたぞ・・・。




                うん・・・。




               見えるか? 桜・・・・・・?




                ・・・
                よく見えないけど・・・何となく分かる・・・・・・。




               そーか・・・。




                恋次・・・下ろして・・・。

                座りたい・・・・・・。




               え・・・・・・
               座るのは、無理だろ・・・?

               もぅ、帰ろうぜ?
               早く寝た方がいいって・・・。




                恋次一人で帰れば?

                下ろして・・・。




               全く・・・・・・
               弱ってても、可愛くねぇなー・・・・・・。

               座るって・・・
               じゃぁ・・・俺がお前の後ろに座るから、俺に寄り掛かれ。

               それなら、大丈夫だろ?




                恋次の隣が・・・いい・・・。




               ・・・・・・分かったョ。


               ( 二人並んで座った )




                こうやって・・・
                恋次に寄り掛かってると・・・
                恋人同士みたいだね・・・・・・。

                病人が・・・
                ただ、もたれ掛かってるだけなのに・・・・・・。




               ・・・恋人同士でいいだろ?

               一緒に花見来たんだし・・・
               周り誰も居ねぇし・・・

               俺・・・お前好きだし・・・・・・。




                うん・・・。




               お前・・・
               目は、あんまり良く見えねーんだョな?




                うん・・・。




               耳は?
               聞こえてるか?

               俺が・・・何言ってるか、分かるか?




                最初は・・・聞こえてたけど・・・
                もぅ・・・よく分からない・・・。

                とりあえず・・・「うん」って言ってるの・・・・・・。

                今みたいに、ハッキリ短く言ってくれると、分かるけど・・・

                でも・・・

                だんだん音も遠のいてきた・・・・・・。




               そーか・・・・・・。




                恋次・・・

                ずっと傍に居てね・・・・・・・。




               居るョ。




                私の傍に居てね・・・・・・。




               ・・・結婚・・・するか・・・?




                ・・・・・・




               ・・・気・・・失ったか・・・・・・。

               どうする?
               もう少し、ココに居るか?

               返事ねぇと・・・寂しいな・・・。



               見えねぇくせに・・・何で満開にこだわったんだ・・・?



               お前って・・・よく分かんねぇけど・・・来たかったんだョな?
               満開の桜・・・見たかったんだョな?



               俺は、お前の希望・・・叶えてあげられたのか?

               俺は・・・お前の希望になれるのか・・・?

               俺は・・・お前の為に、何をしてやればいいんだ?





               桜は満開。

               お前の頬も・・・心成しか、桜色に変わってきた。




                は俺の希望。




               俺の中で咲き誇る・・・

               永遠に咲き誇る・・・


               唯一無二の、大輪の花だ。

                                                       fin                                         2007,3,28 up

 

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あとがき

静かなお花見(?)と、なりました。
誰も居ない満開の桜の下、恋次に寄り添い静かに佇む姿を思い浮べ・・・
きっと、素敵(絵になる)だろうな〜等と妄想しながら書きました(笑

駄文ですが・・・最後までお読みいただき、ありがとうございました☆
お時間ありましたら、また遊びに来て下さいませ。