映画のあとは?(後編)





               〔 映画鑑賞会・会場内 〕



                恋次・・・?



               ・・・ん?



                何で私達・・・ココに座ってるの?



               ・・・そーだな・・・・・・。

               まぁ・・・、深く考えるな。




                でも、私・・・任務があるし・・・・・・。
                それに「この席」って・・・映画が一番良く観える席なんじゃないの?



               
               任務は・・・部下に任せておけばいいだろ?
               会場内に居る限り・・・
               異変があったら、すぐ駆けつけられるんだから・・・。




                そーだけど・・・
                こんなに良い席・・・映画観たい人と、代わってあげようョ・・・?




               あのな・・・
                を抜かして、今ココに居る中で一番上官って・・・俺なんだョ。

               係りの奴らは・・・
               「俺が、 の付き添いで来た」・・・なんて、知らねぇだろ?

               だから、気を遣って・・・
               俺達を、一番良い席にしてくれたんだョ。

               係りが、うちの隊の連中なら断われるけど・・・
               他の隊のヤツの気遣いだから、断わるに断われなくてさぁ・・・。




                でも、私は関係ないでしょ?




               そー言うなョ・・・・・・。

               手つないでたから・・・
               「一緒に映画観に来た」って、思われちゃったんだからさぁ・・・
               しょーがねぇだろ?




                恋次がハッキリ「違う」って、言えば良かったのに・・・。

                いつも怖い顔してるくせに、さっきは何だかニヤけてたし・・・。




               ニヤけてなんていねーョ!

               ただ・・・
               俺とお前が似合ってるって・・・
               お前の事・・・褒めてたし・・・・・・

               だから・・・
               少〜し嬉しくなって・・・何も言えなかった・・・。

               まぁ・・・いいじゃねーか?
               ココに座ってたって、任務は出来るんだし・・・。
               「怖い」って言ったって、映像だぞ?
               何かが出てくる訳じゃねーし・・・怖くなんてねーョ。




                係りの人は・・・
                「凄く怖い」って、言ってたじゃない・・・・・・。




                が「来たい」って言ったんだろ?

               文句言うな!




                私は・・・
                うちの隊の子達と一緒に、隅っこの・・・映画が殆ど見えない所で
                任務の為に待機しに来たんだもん・・・。

                映画を、特等席で観る為に「来たい」って言った訳じゃないのに・・・。

                あっ・・・・・・


               ( 明かりが消えた )




               始まるな。



               ( 恋次が、 の手を握った )



               見なきゃいいんだョ。

               目、瞑ってろ。




                うん・・・。

                          ・
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・

               おい、 ・・・?

               映画、終わったぞ?




                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




           係員: 阿散井副隊長・・・お疲れ様でした。

               どうでしたか?
               結構、怖かったでしょ?




               怖かった・・・んだろうな・・・。
               気失ったり、気分悪くなったヤツ・・・多かったもんな・・・。

               それにしても・・・ちょっと情けねーョな・・・。
               映画で倒れるなんて・・・。




           係員: あれ?
               阿散井副隊長・・・ご存知ないんですか?




               ん?




           係員: 今回の映画鑑賞会・・・
               気の弱いヤツや、怖がりのヤツは、絶対参加で
               本人に通知までいってるんですョ?

               通知貰ったヤツは、絶対にこの映画を観に来ないと、減給だそうで・・・

               今日は、そーいう輩が多かったんでしょうね。




               それでか・・・
               映画鑑賞如きに、医療班待機させるなんて・・・
               おかしいと思ったんだョ。




           係員: そーですね。

               いくら「怖い映画」でも・・・
               好んで観に来るヤツは、倒れたりしませんからね。

               それはそうと・・・
               阿散井副隊長・・・?




               ん?




           係員: お連れの方・・・大丈夫ですか?
               もしかして・・・気を失われているのでは・・・?




               いや・・・

               こいつは・・・
               昨日までの任務が、凄く忙しくて、元々疲れてる上に・・・
               この中、真っ暗だろ?
               だから・・・寝てるだけだ。
               心配いらねぇ。




           係員: そーですか。

               あの・・・この方、14番隊の方ですョね?




               あぁ。
               それがどーした?




           係員: 俺・・・
               14番隊の活動って、初めて見たんですけど・・・
               患者多かったのに、手際よくて、治療も的確で、感心しました。

               噂では、「使えないやつら」・・・あ、失礼しました・・・。

               でも・・・
               そー言われていますが・・・全然、そんな事はありませんね。

               14番隊の見方・・・変わりました。




               そーか。

               こいつが聞いたら喜ぶョ。
               伝えとく。




           係員: はい。
               では、失礼します。




               あぁ。



               ( 係員が、去って行った )




                ・・・大丈夫か?
               そろそろ起きねぇと・・・・・・

               (「 は・・・
                 映画が始まったと同時に目を瞑り・・・
                 そのすぐ後の、大きな効果音に驚き、思わず目を明け・・・
                 スクリーンに映し出された「化け物」を見て・・・
                 気絶した・・・。

                 会場の端で待機し、壁側を向いていれば・・・
                 音に驚く事はあっても、気を失う事はなかったもんな・・・。

                 特等席に座らせた俺が悪かった。

                 だから・・・
                 寝てた事にしといてやるョ。」)

                ・・・?




                ・・・・・・ん?

               (  が、目を明けた )

                「キャッ」

               (  が恋次に、抱きついた )




               抱きつかれるのは嬉しいが・・・・・・

               映画は、もう終わったぞ?




                えっ? 本当に?




               あぁ。

               音・・・聞こえないだろ?
               明るくもなってるョ。




                あっ・・・本当だ・・・。




               帰るか?




                うん。

                あーーー! 任務!?

                恋次?
                気分悪くなった人とか・・・いた?




               あぁ。
               でも、心配いらねーョ。
               お前の部下達が、適切に対処してた。

               係りのヤツも、褒めてたぞ。
               「14番隊、見直した」って。




                良かった・・・。

                だけど・・・
                何で、起こしてくれなかったの?

                私・・・責任者だったのに・・・。




               映画の最中なんだから、大きな声出して、お前を起こす訳にいかねぇだろ?




                そーだけど・・・。




               緊急事態だったら、起こしたョ。
               でも、お前の部下達で、十分対処出来たんだ。

               あとで、褒めてやれョ?




                私・・・見てなかったもん・・・・・・。




               俺が見てた。

               俺から褒められるより、 から褒められた方が・・・
               奴らきっと、何倍も嬉しい筈だからさ。

               褒めてやれョ。




                うん・・・。

                ねぇ・・・恋次?




               ん?




                もぅ、帰るんでしょ?




               あぁ。




                私の部屋に来ない?




               え・・・・・・・・・・




                ダメ?
                何か用事ある?




               ねぇけど・・・・・・
               もぅ・・・結構晩いんだぞ?




                うん。

                私・・・
                恋次にしてあげたい事があるの・・・。




               え・・・・・・・・・・




                どうしようか?

                恋次・・・泊まっていける?
                それとも・・・さっさと済ませた方がいいかな?

                どっちがいい?




               お・お前・・・な・何考えてんだョ?




                何って・・・

                恋次は、寝てるだけでいいの。
                私が、全部してあげるから。

                私にしてもらうの・・・嫌?




               だ・だ・だから・・・

               な・何をしてくれるんだョ・・・??




                いい事。




               お・お前・・・
               な・何言ってんのか・・・わ・分かってんのか?




                恋次さぁ〜・・・

                肋骨3本ひび入ってるでしょ?
                もしかして・・・自分で気付いてない?

                それをね〜、治してあげようと思って。




               な・何だ・・・。 そーいう事か・・・・・・。

               お前なぁー・・・、言い方が悪いぞ!?

               ちょっと焦ったっていうか・・・期待したっていうか・・・・・・
               んな訳ねーもんなー。




                恋次?




               な・何でもねーって。




                そんな筈ないョ。
                痛みとか・・・違和感・・・ある筈だョ?




               えっ?
               あ、あぁ・・・
               まぁ・・・少し痛みはあるけど・・・こんなの、何でもねーョ。




                ダメだョ、ちゃんと治しておかないと。




               でも・・・
                に負担かけたくねぇから・・・。




                時間かければ、負担にはならないし・・・
                すぐに治すとしても・・・これくらいなら、大丈夫。
                命には、係わらないから。




               命って・・・・・・

               俺はいいョ。
               大して痛くねぇから。

               それより・・・
               俺を治したせいで、 が倒れるって事の方が・・・
               俺には、痛い・・・。

               心が・・・胸が、締め付けられるョ・・・。




                私の治療が嫌なら・・・隊長に頼むから・・・。

                だから・・・ちゃんと治して?




                に触れるのも、触れられるのも・・・考えもんだな・・・。
               怪我してるの・・・分かっちまうもんな・・・。

               この程度の怪我なんて・・・
               してねぇ時の方が、少ねぇからな・・・。

               お前・・・治してくれんのか?




                うん。




               じゃぁ・・・ゆっくり治してくれ・・・。

               時間かけて・・・ に負担かかんねぇように・・・。




                大丈夫だョ。
                そんなに心配そうな顔しなくたって。

                そりゃぁ・・・
                隊長には劣るけど・・・私だって、治す自信はあるんだから。




               俺は・・・・・・(「 が、心配なんだョ・・・」)

               俺は・・・
                に守られてるんだな。

               表面的には、俺が守ってやってるけど・・・
               本当に、癒し、助けられてんのは・・・俺の方なんだ・・・。

                の存在って・・・大きいな・・・。
               お前が俺の、原動力だしな・・・。




                恋次・・・行こう?

                大丈夫。私が治してあげるから。


               (  が恋次の手に、自分の手を重ねた )


                安心して、寝てればいいからね。




               心配なんて、してねーョ。

               治療じゃなけりゃ・・・最高なんだけどな〜・・・。

               

               映画のあと・・・・・・


               今宵、二人で一夜を明かす・・・・・・。




               ・・・
               くるのかなぁ〜・・・俺と が、同じ所に帰る日が・・・・・・。




               ・・・
               くるといいな〜・・・俺と が、同じ気持ちで結ばれる日が・・・・・・。

                                                             fin                                  2007,4,19 up

 

戻る

 

あとがき

映画に行く事を、あんなに反対していた恋次が・・・
よりによってヒロインを、「特等席」に座らせてしまいました。(笑

このあとは・・・
仲良く二人で朝まで過ごせたのでしょうかね〜・・・??(笑

長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました☆
お時間ありましたら、また遊びに来て下さいませ。