一番(前編)





               〔 医療所 病室 〕


                !! 大丈夫か!?


               ( 恋次が、勢いよく入ってきた )



                恋次・・・あんまり大きな声出さないで・・・。



                ・・・
               大丈夫なんだな・・・?
               良かった・・・。

               事故って聞いて・・・
               それも・・・ が、かなりの重傷負ってるって聞いて・・・
               全身が・・・心臓までもが、震えたョ・・・。




                大丈夫だョ。
                命に別状はないから。

                恋次・・・心配してくれたんだ・・・?




               当たり前だろー!

               俺が の事、どれだけ想ってるか・・・
               お前に何かあったら、俺・・・生きてけねぇョ・・・・・・。




                恋次は、大袈裟なんだから・・・・・・。



               ( 修兵が静かに入ってきた )



           修兵:  ・・・・・・
               今、隊長から聞いてきたんだけど・・・早い方が良いんだろ?

               体には負担が掛かるかもしれないけど・・・
               今から、俺が連れて行くョ。

               手遅れになったら・・・取り返しがつかないし・・・・・・。




                修兵・・・ありがとう・・・。

                でも・・・
                明日、親睦会の人達が連れて行ってくれる事になってるから、大丈夫。

                修兵だって、忙しいでしょ?




           修兵: 遠慮なんかしてる場合じゃないだろ?



           恋次: ちょ・ちょっと待て・・・。
               何の話し・・・してるんだ?



           修兵:  の「手」の話しだョ。
               何も聞いてないのか?



           恋次: 今来たばかりだから、まだ何も・・・。

               手が・・・どーかしたのか?



           修兵: 両手・・・全く動かないんだョ・・・。
               神経や・・・腱が切れちゃってて・・・・・・。



           恋次: えっ!?



           修兵: 隊長でも治せねーって・・・。



           恋次: 治せるヤツが、居るのか?



           修兵: ・・・
               例の、養成所の教官・・・。
               あいつなら・・・治せる可能性はあるって・・・。



           恋次: なら・・・迷う必要ねぇじゃねーか?

               行くぞ!



               ( 恋次が を、抱き上げた )



                れ・恋次・・・・・・
                せ・背中が・・・痛いの・・・・・・。



           恋次: 我慢しろ!

               さっき・・・「大丈夫」なんて、嘘ついた罰だ。



           修兵: 恋次・・・
               背負った方が良いョ・・・。

               背中も、かなり深く切ってて・・・
               俺達じゃないんだから・・・ には、辛過ぎるョ。

               ほら・・・ 、俺の背中に・・・。




                う・うん・・・。




           修兵: 恋次! 早くしろ!!



           恋次: あ・あぁ・・・。


     
               ( 恋次が を、修兵に背負わせた )



           修兵:  ・・・
               痛いのは、分かってる。
               でも、行くしか無いんだ・・・。
               我慢してくれョな・・・?




                うん・・・。




           修兵: 恋次・・・
                は、手が動かないから、俺に掴まる事が出来ない。

               肩のあたりには、傷が無いから
               恋次が押さえて、俺と同じスピードで走れ。

               いいな?



           恋次: あぁ。



               (  を背負った修兵と恋次が、養成所に向けて走り出した )

                          ・
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               〔 道中 〕



           恋次: 事故って・・・どんな事故だったんだ?



           修兵: 薬屋の棚が急に壊れて
               その棚の側に居た店員を、助けようとして・・・

               たまたま薬を買いに行ってた が・・・
               店員に覆い被さって、棚の下敷きになった。

               その時、ガラスの破片が、背中や腕に突き刺さって・・・・・・



           恋次:  ・・・
               無茶しないでくれョ・・・。

               お前は・・・鍛えてもいねぇし、頑丈にも出来てねぇんだから・・・。

               そんな所に、飛び込んでいったら・・・
               自分がどーなるかくらい、分かるだろ?



           修兵: 寝ちゃってるョ。
               正確には、「痛くて気絶した」・・・だな。



           恋次:  ・・・・・・


               で・・・、どーなんだ?
               治るのか? 手・・・?



           修兵: 難しいらしいけど・・・

               怪我したのが、 だから・・・治る可能性は高いって、隊長が言ってた。

                は、自分の怪我は治せないんだけど・・・
               普通の人とは、少し違うらしい。

               潜在能力で、最悪は回避しようって、働くらしいんだ。

               軽い怪我だと、発揮されないが
               重篤な症状に成れば成る程・・・静かにではあるが・・・
               治癒能力が、自分に向けられる・・・って言ってた。



           恋次: そんなんじゃ、安心出来ねぇなぁ・・・。



           修兵: 治す側も、重要なポイントなんだョ。



           恋次: えっ?



           修兵: 教官・・・ に惚れてんだろ?



           恋次: ・・・あぁ。



           修兵: 愛の力は、大きい。

               あの教官・・・普段は封印してる、強大な力を持ってるそうだ。

               ちょっとやそっとじゃ使わない・・・

               でも・・・
                の為なら、その力を使うだろう・・・って、隊長が言ってた。

               隊長は、あの教官が・・・ に御執心なの知ってるから・・・
               だから・・・隊長は、そんなに心配してなかったなぁ・・・。

               明日連れて行けば良い・・・なんて、構えてたし・・・。

               きっと・・・大丈夫だョ。

               治る。

               俺は、そう信じる。



           恋次: 「愛の力」っていうのは、気に食わねぇけど・・・

               この際、何でも良いから・・・
               あいつの全ての力使って、治してもらわねぇとな。



           修兵: 治せなかったら・・・



           恋次: 俺達が、ただじゃ置かねぇ・・・



           修兵: 絶対治させる。



           恋次: ・・・だな。

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               〔 養成所 手術室前 〕


           恋次: 遅せーなー・・・、まだか?

               途中経過の報告とか・・・しろってんだョ。



           修兵: 恋次・・・聞いてなかったのか?
               終わるのは、明日の朝になるって、言ってただろ?

               教官が、「絶対治します」って言ったんだ。
               大丈夫だョ。



           恋次: 修兵は・・・
               最初から冷静で、そんなに心配してなかったもんな・・・。

               お前みたいに、気楽に考えてられるヤツは、いいョな。



           修兵: 気楽だと!?

               恋次は・・・
               薬屋から運ばれて来た、まだ治療受けてない を見てないだろ?

               重傷で・・・危なかったんだぞ・・・。

               隊長が、掛かりっ切りで・・・懸命に治療して・・・・・・

               俺が・・・どんな気持ちでいたかなんて・・・
               恋次に分かって堪るか!



           恋次: ・・・
               そんなに酷かったのか・・・?



           修兵: あぁ・・・。

               すぐ傍に居るのに、何にもしてやれねぇ自分が情けなくて・・・。

                は・・・
               俺のかすり傷だって、すぐに治してくれるのに・・・。

               俺は・・・
                の命の炎が、目の前で消えるかもしれないのに・・・
               何もしてやれなくて・・・
               ただ・・・突っ立ってるだけなんだョ・・・。

               自分の無力さ加減に・・・ヘドが出る。



           恋次: 修兵・・・・・・
               しょーがねぇョ・・・・・・。

               俺達、別に・・・万能な訳じゃねぇし・・・

               好きな女助けられなかったら・・・そのまま自分も死ぬまでだ。

               俺には、そんな事くらいしか・・・出来ねぇ・・・。



           修兵: 今は・・・
                の手が治るように、祈るしかないな。



           恋次: そーだな。

                ・・・暗くなかったし・・・
               きっと自分で「治る」って、確信してたんじゃねーか?

               もし・・・
               治んねぇくらい悪いなら・・・
               もっと沈んでた筈だし・・・。



           修兵: 「きっと、教官が治してくれる」・・・ってか?

               それも妬けるなぁ・・・。

               結局、頼りになるのは「教官」って事だろ?

               治ったら・・・
               教官からのプロポーズ・・・断われなくなるんじゃないか・・・?



           恋次: 治ったら・・・
                が、手術室から出てきたら・・・即、医療所に連れて帰る。



           修兵: 恋次・・・、聞いてなかったのか?

               治っても、一週間は絶対安静だって、言ってたじゃないか・・・。



           恋次: 連れて帰って、医療所で安静にさせとけばいい。



           修兵: すぐ動かすのは、無理なんじゃないのか?

               痛いだろうし・・・
               体力だって、限界なはずだ。



           恋次: 無理だろうが、何だろうが、連れて帰る。

               俺は・・・
               ココに、一週間も居る訳にはいかねーんだ。

               医療所なら、毎日会いに行ける。

               「背中の傷も治してくれ」って、言っておいたから
               来る時程の激痛もない筈だ。

               俺のエゴなのは、分かってる。

               でも・・・
               ココに置いては、帰れねぇ・・・。



           修兵: あんまり強引にすると、嫌われるぞ?

               まぁ・・・
                を、すぐに連れて帰れて、さらに・・・
               恋次が に嫌われれば、俺には一石二鳥だけどな。



           恋次: たとえ・・・嫌われたとしても・・・

               ココに置いてきた事を後悔して
               一週間、 の心配し続けるよりは、ずっとマシだ。

               そんな事より・・・
               治療は、順調なんだろうな〜?

               報告ぐらい、して欲しいョ。



           修兵: 教官だって・・・
               俺達の事は、良く思ってないだろうしな・・・。
               
               待つしかないョ・・・。

                                                             To be continued                        2007,5,16 up  

 

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