一番(後編)






           修兵: どーいう事だョ!?

               恋次の事が「好き」って・・・・・・?



        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



           恋次:  は、俺の事が大好きなんだョ!

               丁度今、告白されてたとこだ。

               って事で・・・
               今日から、俺と は、晴れて両想い。
               恋人同士だ。なっ、 !?




                えっ・・・・・・・?




           修兵: 嘘つくな。

               教官も信じてなかったし、俺も信じなかった。

               俺と教官の考えがぴったり合って、二人で話し込んじゃったじゃねーかョ。

               「恋次は、 の好みじゃない」って事で。



           恋次: 何とでも言え。
               負け犬の遠吠えだ!

                は、自らの意志で俺を選び、「俺の事が大好きだ」って言ってきたんだ。

                の好きな男の、一番上にいるのは「俺」って事だョ。


               それよりも重要なのは・・・
                が、嘘をついてまでも、14番隊に・・・
               俺達の傍に戻りてぇって、思ってくれた事だ・・・。

               俺は・・・その事が、嬉しかった。



           修兵: えっ?



           恋次: 嘘だって思ったんだろ?



           修兵: あぁ・・・。

               教官と最初のうちは・・・
               「 を連れて帰る」「動かすな」って揉めてて・・・

               そーしたら、急に教官が・・・

               「 は、阿散井恋次が好きなのか?」って聞いてきて・・・。

               それで、「そんな事、ある訳ない」って意見が一致して・・・・・・



           恋次: バーカ!

                が言った事・・・わざわざ否定して、どーすんだョ!?



           修兵: 理由があったのか・・・。
               なら、仕方ないな。
               恋次も「嘘」って、分かってる訳だし・・・。



           恋次: 今はまだ・・・嘘かもしんねーけど・・・
               たとえ嘘でも、嫌いなヤツの事は、「好き」とは言わねぇだろ?

               俺は・・・
                が、「好きな人がいる」って言おうと決めて・・・
               俺の名前を出してくれたって事で、今は十分満足だ。

                は、修兵より俺の事の方が、ずっと好きなんだもんな!



           修兵: そうとは限らないョな・・・?




                教官って・・・お喋りなんだね・・・。
                その事は、誰にも言わないでって、頼んできたのに・・・。




           修兵: 教官も、確かめずにはいられなかったんだろ?

               あいつは、あいつで・・・ は、自分に惚れてるって思ってる。
               そーあって欲しいと願ってるんだからさ。

               この話は、これで終わりだ。
                は、恋次の事なんか好きじゃないんだから・・・なっ・・・?




                うん・・・。
                恋次・・・嘘ついてごめんなさい・・・。

                それから・・・
                修兵・・・今回は、色々とありがとうございました。




           修兵: どーした・・・?
               そんなに改まっちゃって・・・?




                私が怪我した時・・・
                修兵が、一番最初に駆け付けてくれて・・・励ましてくれたでしょ?

                あの時の言葉・・・凄く嬉しかったの・・・。

                単に・・・励ましてくれてるだけなのは、分かってるんだけど・・・

                でも・・・
                自分でも、手が重傷で・・・
                もしかしたら、治らないかもしれないな・・・って、分かってたから・・・

                凄く不安で・・・・・・




           修兵: あれは・・・今でも同じ気持ちだョ?



           恋次: 何て言われたんだ?




                ん・・・・・・?




           修兵: 何も心配いらない。
               必ず怪我は治るから。

               でも・・・

               もし・・・後遺症が残っちゃったら・・・俺が、 を支えていくョ。

               一生・・・俺が を支える。


               だったかな・・・。


               無傷でも、俺が支えていくョ・・・、 さえ良ければ。



           恋次: いい訳ねぇだろー!

               修兵の事好きだったら、さっき教官に・・・

               「私は、修兵が好き」って・・・迷わず言った筈だ。


               今日は・・・
                口説くの止めようぜ?

                が、心身共に全快して、いつもの「鈍感な 」に戻ったところで
               戦闘開始だ。

               大怪我して、心が弱ってる時に、無理矢理自分の方へ引き込むのは良くねぇ。

               こいつ・・・
               俺達に感謝の気持ちがあるみてぇだから・・・

               今、強く押せば・・・・・・



           修兵: 落とせる・・・かもな・・・。

               「正々堂々」がいいもんな。

               「鈍感な 」を攻略して、 に大好きになってもらわなきゃ
               意味ないしな。



           恋次: そーいう事だ。


                、当分は安静だからな。
               毎晩、俺が付き添ってやるから、安心して静養しろョな。



           修兵: 恋次・・・・・・。
               言ってる事と、違うんじゃないか・・・?



           恋次: どこが?

               看病するだけだろ? 問題ねーョ。




                恋次・・・?
                私は、鈍感じゃないョ?




           恋次: んーーーーー・・・・・・。

               まっ、自分じゃ分かんねーョな。
               自覚ねぇから、鈍感なんだしな。




                何それ・・・?

                修兵・・・?
                私は、鈍感じゃないョね?




           修兵: え・・・・・・

               まぁ・・・
               あだ名みたいなもんだョ、「鈍感な 」って。

               あだ名で「タヌキ」や「キツネ」って呼ばれてても
               本当に「タヌキ」や「キツネ」な訳じゃないだろ?
               そんな感じだ、気にするな。




                ・・・??




           恋次: 「鈍感」って言われた事に、敏感になるんじゃなくて・・・
               俺の気持ちに対して、敏感になれョ・・・。



           修兵: それが出来ないから・・・鈍感なんだろ・・・?



           恋次: んーーーーー、しょうがねーなー・・・。
               俺は、「鈍感な 」が好きになっちまったんだから。



           修兵: 俺も「鈍感な 」が好きだ。




                変なあだ名付けないでョ・・・。




           恋次: 好きなんだから、いいだろ?



           修兵: 俺達に、もう少し優しく・・・愛情込めて接してくれたら
               この呼び方は、やめるけどな〜。




                え・・・? 優しく・・・?

                あっ、じゃぁ・・・
                今ね、良く効く薬湯開発中なんだけど
                出来たら一番に、二人に飲んでもらう。

                私の最高傑作だからね、楽しみに待っててね。




           恋次: 辞退する。

               それって・・・ちっとも優しくねぇだろー?
               お前の薬湯は、拷問なんだからな・・・?



           修兵: 俺も薬湯は・・・勘弁してくれ・・・。




                え・・・・・・




           恋次: 実験なら、他のヤツでやれョ。
                の頼みなら、喜んで薬湯飲む男・・・大勢いるだろ?

               他の事じゃ許さねぇけど、薬湯飲む実験台なら、そいつらに譲る。



           修兵: 実験台・・・一人も居ないなら、俺・・・覚悟決めるけど・・・?




                ううん。
                今回は、何故か前評判が良くて
                「飲んでみたい」っていう人が大勢いるんだ。




           恋次: 美味いのか?

               まぁ・・・美味くても、そいつらに譲るョ。




                味は・・・
                いつものより、ちょっと苦いと思うけど・・・。




           恋次: え・・・・・・

               ちゃんと、そう言ってやったのか?




                うん。

                今回のは、筋肉の疲れをとる薬湯だから
                きっと、皆飲んでみたいんだと思う。

                マッサージ付きだしね。

                私、一生懸命練習したんだ、マッサージ。




           恋次: マッサージって・・・ がやるのか?




                うん。

                薬湯飲んで、横になってもらって、30分マッサージしてあげるの。

                試作品の何人かだけ、私が担当してデータをとるんだ。
                だから・・・手が治ってくれて、本当に良かった・・・。




           修兵: 絶対安静なんだから、マッサージはしちゃダメだ。

               苦いの飲ませて、終わりでいいョ。




                安静は・・・長くても一週間で良いんでしょ?




           恋次: マッサージはダメだ。
               当分は、手に負担掛けちゃいけねぇって、教官が言ってたぞ!?




                じゃぁ・・・
                一人だけ・・・時間短くして・・・。

                あっ、そーだ。
                我が儘言いやすいから・・・鳳君に頼もう〜っと。




           修兵: 鳳は、任務で当分帰って来ないだろ?

               だから、薬屋だって・・・ 一人で行く事になって・・・
               怪我しちゃったんじゃないか・・・。

               実験台なら、俺がなるョ。



           恋次: 俺も協力する。

               薬湯は、修兵に飲ませて、俺にマッサージすればいいョ・・・なっ?




                それだと・・・
                薬湯とマッサージの関係が、分からないじゃない・・・?




           恋次: ちゃんとしたデータは、他の奴らにとらせておけばいいだろ?

               「鳳で適当にやろう」なんて思ってるようじゃ
               ちゃんとしたデータなんて、とれやしないョ。

               決まりな。



           修兵: 何でもいいョ。
               他のヤツに、マッサージしなければ。



           恋次: 聞き分け良いじゃねーか?



           修兵:  が、一生懸命作った薬湯だ。
               お世辞にも、美味いとは言えないけど
               皆の為に作ろうとしてるんだから、協力したい。

               自分が、その薬湯のお世話になる日が、くるかもしれないしな。

               その代り・・・飲んだ後の看病は、頼むな。
                がずっと、付いててくれョな。



           恋次: いつも思うんだけど・・・
               看病が必要な薬湯なんて・・・有り得ねーョな・・・?

                はもっと、味の研究するべきだ。




                恋次はいつも文句ばっかり言って・・・・・・




           恋次: 当たり前だろー!

               一番最初に飲まされる俺が、正しい判断で意見を言ってるから
               完成品の薬湯は、なんとか飲める水準になってるんじゃねーか。

               俺は、 の為に・・・体張って協力してるんだぞ?

                も・・・
               俺に、少しでも美味しい薬湯飲ませてやろうって思って、作ってくれョ。




                最初はまず、効き目が大切なの。

                味は・・・
                恋次の文句聞いてから、大幅に調節すればいいんだもん。

                それでいつも上手くいってるんだから、問題は無い筈だョ?

                毎回、飲む前から文句ばかり言ってるのって、恋次だけだョ?




           恋次: 俺が一番きついところを、担当してるんだろ?




                じゃぁ・・・もう頼まない。

                一番最初に飲んでもらうのは・・・
                一番信頼してる人が良かったから・・・だから恋次に・・・・・・




           恋次: 「飲まねぇ」とは、言ってねーだろ?

               好んで飲みたくはねーけど・・・
                の頼みなら、俺に出来ねぇ事はない。

               他のヤツに頼む必要はねぇ。

               俺が全部引き受ける。




                恋次・・・・・・




           恋次: どんな事でも、俺は の一番でありたい。

               一番頼りにしてくれてるなら、その座は誰にも譲らねーョ。

               「嫌い」以外の一番・・・全部俺が獲得してみせるからな。


                ・・・疲れただろう?

               「どーしても歩きたい」って言うから、様子見てきたけど・・・
               少し、ふらついてきたみたいだ・・・。


               「絶対安静」なんだもんな。
               あとは、寝ていけ。

               ( 恋次が を、抱き上げた )


                ・・・
               もぅ、こんな怪我するんじゃねーぞ・・・。

               お前が怪我して、一番痛いのは・・・きっと俺だ。

               だってお前は、俺の一番だからさ。

                の痛みを、一番感じるのも俺なんだョ。


               俺には・・・何より大切なお前の存在。


               俺も、 の一番に・・・早くなりてぇ・・・・・・。

                                                                   fin                           2007,6,2 up

 

戻る

 

あとがき

一見、意地悪や拷問に見える薬湯の試飲。
でもヒロインは、一番信頼のおける、そして・・・
絶対恋次の身体にも良いと思って、好意(笑)で恋次に飲んでもらっているようです。
恋次の苦悩(?)は、永遠に続くのかも・・・ですね(笑

長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました☆
お時間ありましたら、また遊びに来て下さいませ。