王子様





               〔 医療所 (夜) 〕



           隊員: あっ、阿散井副隊長・・・
               コレ・・・ 副隊長からの伝言です。


               ( 隊員が、恋次に手紙を渡した )



               伝言って・・・
                は、まだ仕事してんのか?



           隊員: はい。
               急に忙しくなっちゃって、もう少しかかりそうなんです・・・。
               では、失礼致します。



               あ・あぁ・・・。






               今日の昼休み・・・
                は、俺の所に来て

               「美味しいお菓子を買ってきたから、夜にでも来てね!」

               と言って、帰って行った。

               あの後、忙しくなったのか・・・。

               それにしても、こんなに晩くまで・・・
               あいつ・・・そんなに体力ねぇし・・・大丈夫か?
               俺じゃ、手伝える事もねぇし・・・
               こんな時は・・・自分の無力さを痛感する・・・。


               あ・・・伝言か・・・。

               ( 恋次が手紙を読んだ )



                  『恋次、わざわざ来てもらったのに・・・ごめんね・・・。
                   私・・・まだ、手が放せそうにないの。
                   お菓子は、私の部屋の机の上に置いてあるから
                   持って帰って食べてね。
                   全部、恋次の分だからね。
                   じゃぁ・・・、気をつけて帰って下さい。

                   おやすみなさい。』



               俺が、会わないで帰ると思ってんのか?

               俺は、菓子が目的なんじゃなくて・・・
                に、会いに来たんだからな。

               部屋で、待たせてもらうョ。

                の元気な顔見なきゃ・・・
               ココから去る事なんて・・・出来ねぇ・・・。

                          ・
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・

               〔  の部屋 〕



               机の上って・・・コレか・・・。
               随分綺麗な箱に入ってんだな。
               こんなの何処で買って来た・ん・だ・・・?

               ん??

               何だコレ??


               【私の王子様】・・・・・・。


               ( 恋次が、机の上に置いてあった「本」を、手にした )


               【どこを見ても美青年。きっと貴女の王子様が見つかります!!】


               ( 恋次が、「本」をパラパラとめくった )


               ・・・・・・。

               あいつ・・・こんなの見てんのか・・・?
               男の写真だらけじゃねーか・・・。


               ん?
               何か書いてあるな、何々・・・・・・


               【人気投票】

                 「貴女のお気に入りの王子に、投票してみませんか?
                  貴女の一票を、王子が待っています!!」


               ( 恋次が、更にページをめくると・・・ )


               投票用紙だ・・・。
               何か書いてある・・・。

               これは・・・
               どー見ても、数字の『6』だョな・・・。

               あいつの好きなのは、6番の奴って事か・・・?


               ( 恋次が、本の中の「6番の男」を探した )


               コイツかぁー・・・・・・。

                のヤツ・・・こんなのが好きなのか?

               貧相な体して・・・女みてーな顔だな・・・。
               コイツのどこが良いんだョ・・・?
               男らしさなんて、微塵もねぇじゃねーか ・・・。


               それに・・・

               「この本」って、現世のだョな?

               って事は・・・
               投票なんて、出来ねぇんじゃねーか?
               少なくとも、 には無理だろ・・・?



               ( 部屋の扉が開いた )



                あっ、恋次・・・。


               ( 恋次が「本」を、 から見えないように隠した )



               お・お疲れ・・・。
               お・晩かったな・・・。




                うん。
                あ、お菓子食べた?




               いや、まだだけど・・・。




                じゃぁ、お茶淹れてくるから、一緒に食べようか?




               お茶は、後で俺が淹れてくるから・・・
               とりあえず、ココに座れ。




                どーしたの?
                何かあった?




               お前に、聞きたい事があるんだ。
               座ってくれ。




                うん・・・。


               (  が、恋次の正面に座った )


                ・・・で、何?




               お前の好きな男って・・・どんな奴だ?




                えっ???

                どんなって・・・

                私の好きなのは・・・
                恋次と修兵と・・・
                鳳君も好きだし・・・あっ、朽木隊長も怖いけど好きだョ?




               そーじゃなくて・・・好きなタイプっていうか・・・

                の・・・
               お・王子様って・・・どんな奴だョ?




                はぁ?????




               細くて、今にも折れそうな体で、如何にも弱そぅで・・・
               顔も、女みてぇに小さくて・・・
               まぁ・・・綺麗っちゃ、綺麗だけど・・・
               男らしくねぇっていうか・・・
               ニヤけてて、締まりのねぇ顔が好き!・・・・・・
               とか・・・あるだろ?




                何それ?




               隠しても無駄なんだョ!

               でもなー・・・
               現世の、訳の分からん奴に惚れても・・・会う事すら叶わねぇぞ?

               もっと、現実を見ろ!現実を・・・・・・。




                恋次?
                言ってる事が、よく分からないんだけど?




               投票用紙・・・どーするつもりなんだョ?
               丁度、現世に行くヤツにでも、託すつもりなのか?




                投票用紙って・・・・・・

                あっ!!
                写真集がない!?

                もしかして・・・恋次・・・?




               コレだろ?




                あ・・・
                もぅ・・・・・・返して!


               (  が、恋次の手から、写真集をもぎ取った )


                他人の物・・・勝手に見るなんて・・・・・・。




               それは・・・悪かった・・・。

               でも・・・
               菓子折りの隣に・・・
               「見て下さい」と言わんばかりに、置いてあったから・・・。




                見られて困るような物は、置いてないけどさ・・・

                でも、「この事」は内緒にしておいてね。
                今スグに忘れて!




               忘れらんねーョ・・・。

                が好きな男の顔・・・
               頭に焼き付いて離れねぇ・・・・・・。




                はっ?

                あー!
                れ・恋次・・・、それは違うから!

                あ・あのね・・・
                私は、恋次の事好きだけど・・・
                で・でも、好きじゃないから気にしないで?




               分かってるョ!
               そんな事・・・ハッキリ言うな!!
               俺だって・・・傷つく事もあるんだぞ・・・?

               俺は・・・
               あんな奴に負けたのか・・・。
               情けねぇ・・・・・・。




                あんな奴?




               その本の「6番」の男だョ。
                は・・・そいつの事が、気に入ってるんだろ?




                えっ? 何の事・・・?

                この本も、じっくり見てないし・・・
                これは、ただの「見本」だからね。




               隠さなくてもいいョ。
               投票用紙に「6」って書いたんだろ?

               それとも・・・
               他にも、こんなような本・・・写真集っていうのか?があるのか?
               違う本の「6番の男」か?

               頼む・・・、隠さないでくれ・・・。




                恋次は・・・
                この投票用紙が、何の投票用紙か知らないの?

                まぁ・・・
                男の人達には、秘密に進行している企画みたいだから
                知ってる人は、いない筈なんだけどね・・・。




               その写真集の、人気投票なんだろ?
               で、 は「6」って書いたんだから・・・
                の好きな男は・・・「6番の男」って事だろ?




                違うョ。
                後の方は・・・少し合ってるかもしれないけど・・・。




               えっ??




                誰にも言わないでね?




               あぁ。




                あのね・・・

                確かに、この写真集は・・・今、ココで流行ってるみたいなの。

                でもコレは・・・
                恋次の言う通り、現世の・・・人間の男の人達だから・・・

                だから・・・
                ココでも、死神版の「私の王子様」っていう写真集を作ろう!
                って事になったみたいで・・・
               
                それで・・・
                全員は載せられないから、投票で10人位を選ぼうって話しになって・・・

                各隊に、見本の「この写真集」1冊と、人数分の投票用紙が配られたの。
                あ、投票は・・・女の人だけだからね。




               え・・・・・・・・・・・・




                隊長は・・・失礼にあたるから抜きで・・・

                投票用紙には・・・
                副隊長なら、その隊の番号だけを書くの。

                吉良さんなら「3」・・・修兵なら「9」・・・ってね。

                席官の人なら、隊の番号と何席か・・・
                例えば・・・「11−3」とか「11−5」って感じで・・・
                重なったら、名前も書いて・・・。

                平隊員なら、隊の番号と名前を記入する事になってるの。




               それじゃぁ・・・「6」って・・・・・・

               お前・・・

               「6」って書いたんだョな!!??

               「6」って・・・俺だろ?

                の好きなのは・・・俺って事か??




                だから、最初からそー言ってるじゃない・・・?

                恋次が嫌なら、「9」に変えるけど?




                が俺を選んだ・・・・・・

                の王子は・・・俺・・・・・・




                え・・・・・・
                ちょっと違う気がするけど・・・・・・。




               確かに・・・俺は、「王子」ってガラじゃねーな・・・・・・。




                そんな事ないョ。
                恋次の事・・・「私の王子様」って思ってる女の子は、一杯いるョ。




                ・・・は?

                は・・・そー思ってくんねぇのか・・・?




                私に王子様がいるのなら、それは・・・・・・




               それは・・・??




                「6」の数字を背負った、素敵な素敵な王子様。




               ・・・俺・・・か??

               ・・・俺じゃねぇか・・・・・・。

               写真集でも「6」って居たしな・・・。

               でも・・・俺だと思いたい!

               俺・・・だな!!

                                                          fin                                    2007,8,1 up

 

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