運命の人





               〔  の部屋 〕



                、入るぞー!


               ( 恋次が、部屋に入った )


               ほら、団子だ。
               お前、食いたがってただろ?
               後で一緒に食おうな!




                何だ・・・恋次か・・・・・・。

                しかもお団子って・・・これ、甘いんでしょ?
                恋次は、甘い物好きだもんね・・・。




               「何だ」・・・って・・・・・・
               お前、誰か待ってるのか?




                別に待ってる訳じゃないけど・・・

                多分、来ないだろうけど・・・
                でも、「もしかしたら?」って事もあるかもしれないし・・・。




               相変わらず、訳分かんねぇ事言って・・・・・・

               俺が居ちゃ迷惑なのか?




                ううん、そんな事ないョ。

                恋次、久しぶりだね。
                元気だった?




               えっ?

               あ・あぁ・・・。

               ( 「久しぶりって・・・
                  確か、昨日会ったような気が・・・・・・。

                  昨日会って、 が団子食いてぇって言ったから
                  俺は、今日買って来た・・・。
                  違ったか?

                  まさか・・・
                  俺の妄想って事は無いと思うけど・・・

                  まぁ、そんな事はいいとして・・・。」 )

                ・・・?
               お前の待ってるのって・・・まさか、男じゃねぇだろうなぁ??




                ん・・・?

                多分、男の人だと思うけど・・・?




               多分って・・・
               一体、誰を待ってるんだョ?




                「運命の人」




               はっ??




                今日の私の運勢は、最高なんだって。

                それで、運命の人に出会える確率が、凄く高くて・・・
                今日を逃すと・・・
                あと一年は、こんなチャンス訪れない・・・って書いてあったの。




               そんなの信じてるのか?




                別に信じてないけどさぁ・・・・・・

                「私の運命の人」ってね・・・

                背が高くて、髪の色が「虹色」七色で、凄く辛い物と苦い物が好きで
                甘い物は食べないんだってさ。
               
                どんな人かなぁ〜?




               信じてんじゃねーか・・・。

               てか・・・
               七色の頭のヤツなんて・・・居ねぇと思うけどなぁ・・・?




                居るかもしれないでしょ?

                今日・・・たまたま染めて・・・具合い悪くなって医療所に来る・・・とか。




               スゲー期待してんだな・・・。

               えっと・・・
               俺は、背は高い。
               あとの条件は・・・どーにでもなるな。

               じゃぁ・・・
                、ちょっと待ってろ。
               俺が今・・・髪染めて来るから。

               いいな、この部屋から一歩も出るな。
               誰か訪ねて来ても、絶対会うな。
               万が一・・・虹色頭のヤツだったら、まずいからな・・・

               ・・・って、俺も信じてるみてーじゃねぇか・・・・・・。

               と・とにかく・・・
               俺以外のヤツと会う事を禁ず!

               分かったか?




                えっ・・・?




               おとなしく待ってろ!

               んじゃな。


               ( 恋次が部屋を飛び出し・・・暫くして戻って来た )


                ・・・、入るぞ・・・。


               ( 恋次が、部屋に入った )




                恋次・・・?
                どーしたの?

                頭・・・怪我したの?
                包帯でグルグル巻きにしちゃって・・・?




               怪我なんてしてねーョ。

               こんな頭じゃ・・・恥ずかしくて、外歩けねぇだろ・・・?
               他に手頃な物が無くて・・・包帯巻いてきたんだョ・・・。
               染める前に、帽子でも用意しときゃ良かったんだがな・・・。


               ( 恋次が、包帯をとった )




                あはははは〜〜〜〜〜!

                恋次・・・どーしたの? その頭・・・??

                あはははは〜〜〜〜〜!




               笑うな!!!

               これが・・・ の「運命の人」なんだろ?

               出会えりゃいい訳だョな・・・。
               すぐに落としてくるョ。




                えっ・・・?

                恋次が・・・私の運命の人なの?




               そーだョ。

               他に会ったか? 七色の頭のヤツと?




                ううん・・・。




               じゃぁ、俺がお前の「運命の人」って訳だ。

               一応聞くけど・・・
               運命の人ってのは・・・あれだョなぁ・・・
               一生を共にする・・・ってか・・・
               とりあえずは・・・恋人になるんだろ・・・?




                そーだけど・・・

                恋次は、甘い物好きで・・・辛い物や苦い物は、嫌いでしょ?




               す・好き・・・だ。

               辛いのも苦いのも・・・今だけ好きだ!




                本当に?




               あ・あぁ・・・。

               出会えればいいんだから・・・
               出会った今だけ、好きでいるョ。




                じゃぁ、用意しておいたから、食べてくれる?

                唐辛子スープと、わさび寿司と、からし饅頭・・・そして
                特別に苦〜いコーヒーと、私の作った中で一番苦い薬湯。

                恋次の好きな物ばかりでしょ?

                さぁ、どうぞ。




               ゲッ・・・・・・

               こ・これ・・・全部食わなきゃダメか?




                うん!
                恋次の為に、特別に作ったんだもん。




               俺の為って・・・
               作ってる時は・・・誰が運命の人か、分かってなかったくせに・・・。

               あ・あのさぁ・・・
               俺・・・あんまり腹減ってねぇんだけど・・・。




                えっ?

                さっき、お団子食べようって言ってなかったっけ?

                あれ・・・?
                私の運命の人は、甘い物は食べられない筈なんだけどなぁ?




               そ・その団子は、 に買ってきたんだョ。

               お・俺は・・・今日一日は、甘い物食わねぇ・・・ョ・・・。




                恋次は、好み変わったの?




               急に今日だけな。

               明日、また変わる予定だ。

               と・とにかく・・・それ全部は、勘弁してくれ・・・。




                別に、無理にとは言わないョ?

                ただ・・
                全部食べない人は、私の運命の人じゃないだけだもん。

                恋次が、運命の人な訳ないもんね。

                好きなのだけどうぞ。




               お・俺も男だ!

               全部食ってやる!!

               その代わり、全部食った瞬間から、俺と は恋人同士だぞ!

               運命の糸で、きつ〜く結ばれて・・・何があっても離れない・・・
               一生・・・一緒だ・・・なっ?




                うん。




               そ・そーか。

               じゃぁ・・・
               阿散井恋次、命を懸けて・・・食わせてもらいます。

               と・とりあえず・・・
               普通に一番近い、コーヒーからいくか・・・。




                あ、はい、どうぞ〜。




               あ・あぁ・・・。

               ただのコーヒーだ、このくらいは楽勝・・・「ゴクッ」・・・

               ウェッ・・・
               何だョ、このコーヒー・・・
               ただ苦いだけじゃねーか・・・。
               こんなの飲めねーョ・・・。




                美味しくない?
                苦味が足りなかったのかなぁ?
                もっと、苦くしてこようか?

                ごめんね・・・恋次の好きな味じゃなくて・・・。




               い・いや・・・これで十分だ。

               う・美味い・・・。

               美味くて・・・涙が出そうだ・・・。




                本当に?

                良かった〜。
                御代りもあるから、遠慮しないで言ってね。

                私の「大切な人」になるかもしれない人・・・だもんね。




               なるョ!

               こんなのに、負けて堪るか!!

               次、よこせ。

               俺に、不可能は無い!




                ダメだョ、恋次・・・。
                コーヒー全部飲まなきゃ。
                まだ、一口でしょ?




               え・・・・・・

               は・腹一杯だから・・・大目に見てくれョ・・・。

               全種類は、覚悟決めたからさ・・・
               一口で勘弁!・・・頼む!!




                ダ〜メ!

                喜んで、全部食べてくれなきゃ、好きで食べてるか分からないでしょ?

                恋次は、私を騙してる可能性あるからね。

                運命の人のフリをして・・・
                私を好きなフリをして・・・・・・。




               そこの部分・・・
                を好きだってところは、嘘、偽り、一切無し!

               一口ずつでも・・・俺の努力認めてくれョ・・・。

               お前、知ってんだろ?
               俺が、辛い物苦手だって・・・。




                あ・・・やっぱり嘘ついてたんだ・・・。

                恋次は、私の運命の人じゃない。




               い・いや・・・
               だからさー・・・今は、好きだョ・・・辛い物・・・。
               そう言い聞かせてる、自分自身に・・・。

               全部食うから・・・

               コーヒーは、少しずつ飲んでいくから・・・次のを・・・下さい。




                うん・・・。

                じゃぁ・・・はい、わさび寿司。
                新鮮なわさびだから、きっと美味しいョ。




               ・・・・・・。

               コレ・・・・・・全部わさびじゃねーか?

               普通は・・・ご飯の部分も・・・あるんじゃねーか?




                そのご飯の部分を、新鮮なわさびにしたの。
                わさびの上に、練りわさび。




               こ・こんなの食えねーョ・・・。
               いくら辛い物が好きでも・・・これは食えねぇ・・・と思うけど。

               あ・あのな・・・

               辛いものが好きって言っても・・・普通に辛いもの・・・
               普通は食べないような物じゃねーと思うんだけどな?




                分かった・・・。




               今度・・・
               わさびがたっぷり入った寿司を食うから・・・
               それで勘弁してくれョ・・・?




                恋次は・・・
                私の作った物は、食べてくれない・・・。

                そんな人・・・運命の人じゃないもん。




               お前さぁ・・・
               こんなの食えるヤツ居ねーョ。

               よく考えてみろ・・・。




                そーだね・・・。

                でも・・・
                薬湯以外は・・・レシピに書いてあった通り作ったんだョ・・・。

                私の運命の人は・・・コレが好きだ・・・って。


               (  の目から涙が溢れた )


                もういい・・・。

                私には・・・運命の人なんて・・・いないんだ・・・。



               
               そんな事ねーョ。


               ( 恋次が を、抱きしめた )




                いるかもしれない・・・かな?

                じゃぁ・・・もう一年待ってみる・・・。
                来年には・・・きっと出会えると信じて・・・・・・。




               あのなぁ・・・

               また来年も・・・

               お前の前に現れるのは・・・きっと俺だぞ?

                の運命の人って・・・俺って決まってんだョ。


               だって、そーだろ?
               俺の運命の人は、 なんだから・・・
                の運命の人は・・・自動的に俺になる。
               一方通行って事は、有り得ねぇ。


               泣くなョ・・・。
               俺じゃ不満か?


               まぁ・・・今回の運命の人の条件には、当てはまってないけど・・・

                の・・最高の運勢の日に・・・会った事は事実だろ?

               俺は・・・髪まで染めてきたんだぜ?
               お前の為にする努力は、惜しまねーョ。


               俺の運命の人は・・・

                の運命の人は・・・・・・俺・・・。


               既に俺達は、運命の人として・・・出会ってるんだ!

               今日や、来年じゃなくて・・・

               もぅ・・・出会ってるんだョ。

               
               運勢に書かれてた事を信じるのも、悪くはねーけど・・・
               今は・・・俺を信じてみてくれ・・・。

               目の前に居る・・・

               俺を・・・


               俺を・・・運命の人だと・・・

               気付いて欲しいんだ・・・。

                                                               fin                               2007,10,6 up

 

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