花火大会

               〔 夜  の部屋 〕

               ( コンコン )

                ・・・。

                ツバメ?

               おぅ・・・ちょっといいか?

                うん。

               ( ツバメが部屋に入った )

                どうしたの?

               悪ぃ! ( 顔の前で手を合わせた )

                えっ?

               あのさぁ〜・・・
               明日の花火大会、一緒に行けなくなっちゃったんだョ・・・。

                えっ?
                あ・・・そうなんだ・・・。

               本当、ごめん!

                うん・・・。
                仕事なんでしょ、しょーがないョ。

               えっ・・・あー・・・。

                どうしたの?

               ん?
               んー・・・、物分りがいいなぁ〜って思ってさ・・・。

                だって・・・しょーがないでしょ・・・。
                私がここで駄々こねたって、どうにもならないし・・・。

               まぁ・・・そうだけどさぁ・・・。
                ・・・楽しみにしてたから・・・もっと怒るかと思って・・・。

                怒ったって・・・しょーがないもん・・・。

               そうだけど・・・。
               ( 小声で )
               あんまり、あっさりされると・・・寂しいもんだなぁ・・・。

                えっ?

               あー、何でもないョ・・・。

                明日は、また警備でもするの?

               ん?
               今、他国からお客様がみえててさぁー
               本当は、今日帰るはずだったんだけど、急に延期して
               明日の花火大会、見る事になっちゃったんだョ・・・。
               それで・・・俺が、警護もかねて御一緒する事になってさぁ〜・・・。

                そーなんだ・・・大変だね〜・・・。

               あぁ・・・まぁな・・・。
                は、明日どうすんだ?
               行くのか? 花火大会・・・。

                どうしようかなぁ〜・・・明日の気分で決めるョ。
                一人で行っても・・・面白くないだろうけどね〜・・・。

               ごめんな・・・。

                ううん。

               じゃぁ俺・・・まだやる事残ってるから・・・そろそろ行くわ・・・。

                あ・・・うん。
                じゃあね。

               あぁ・・・おやすみ。

               ( ツバメが後ろを向き、ドアに手をかけた時

                 ツバメの背中に、 が額をつけた )


               

                ダメ・・・こっち見ないで・・・。

               えっ?

                顔見ちゃうと・・・文句言えなくなっちゃうもん・・・。

               文句って?

                本当は・・・物分りなんて良くなりたくないョ・・・。

               えっ?

                心の中じゃ・・・
                どうしてツバメなの? って・・・
                王宮には、あんなにいっぱい警備の人達がいるじゃない・・・。

               ・・・あぁ・・・。

                別に、ツバメじゃなくたって・・・いいはずでしょ? って・・・。
                ツバメだって・・・
                何で断らないのョーって・・・。
                騒ぎ出したら・・・止まんなくなっちゃうョ・・・。

                ・・・。

                でも・・・
                そんな事言ったら、ツバメが困るだけでしょ・・・。
                仕事がなくなる訳じゃないんだもん。
                忙しいのに、わざわざこーやって会いに来てくれたのに・・・
                我がままなんて・・・言っちゃいけないョね・・・。

                でも・・・言っちゃった・・・。

               いいョ。

                えっ?

               思ってる事言ってくれた方が・・・俺、いいョ。

                ツバメ・・・。
                あっ・・でも・・・
                今言った事は、気にしないでね・・・。
                頭では、ちゃんと分かってるから。

                ・・・ごめんな・・・。

                いいって、いいって。
                じゃあね。

               (  がツバメの背中を押した )

               あぁ・・・。

               ( ツバメが部屋から出て行った )



               何とかならないかなぁ〜明日。
                のヤツ・・・あんな事言ってるけど・・・
               花火大会、楽しみにしてたもんなぁ〜。

               本当に甘えてるのは、俺の方なんだョなぁ〜・・・。
               いつも、仕事優先で・・・ に我慢ばっかりさせて・・・。
               ダメかも知れないけど・・・レンカク様にでも、頼んでみるか・・・。
                          
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               ( 花火大会当日、 の所にカッチが訪ねて来た )

               ( コンコン )

               すいません、カッチですけど・・・。
               ツバメの兄ぃから伝言がありまして・・・。

                あ、はい。

               ( ドアを開けた )

               あ、兄ぃからなんスけど。

                はい。

               今日、お客様を会場までお連れしてから、すぐに向かうから
               会場近くの、セイ・リューンの木の所で、待ってて欲しいって。

                えっ?

               あ、でも・・・
               多分、開始時間には間に合わないけど・・・
               絶対行くからって・・・言ってました。

                あっ・・・そうですか・・・。

               はい。

                わざわざありがとうございました。

               あ、いえ・・・。
               それじゃあ、これで。

                はい。



                ツバメ・・・無理したのかなぁ〜・・・。
                昨日・・・あんな事言わなきゃよかったなぁ〜・・・。
                一番大変なのは、ツバメだって分かってるのに・・・。
                何か・・・自己嫌悪だなぁ・・・。
                後でちゃんと謝らないと・・・ダメだョね・・・。
                          
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               ( 待ち合わせ場所  花火が始まった )

                あっ・・・始まっちゃった・・・。
                でも、きれいだなぁ〜 ( 空をずっと見上げていた )

               いつ気づいてくれんだョ。

                えっ?
                あっ・・・ツバメ。

               少し遅れたけど、ギリギリセーフだョな。

                うん。
                ツバメ・・ごめんね・・・。
                仕事・・・大丈夫なの?

               あぁ。
               レンカク様に言ってみたら
               お客様、会場までお連れしたら、会場には警備主任とかがいるから
               そこで、引き継いだら終わりでいいって・・・言ってくれてさ。

                そーなんだ・・・。
                でも・・・そういうの申し出るのとかって・・・やっぱり嫌だョねー・・・。
                本当にごめんね。

               何言ってんだョ。
               俺・・・
                に、「一緒に行けない」って言う方が、ずっと嫌だったョ。
               俺だって・・・ と花火大会来たかったんだからさぁ〜。

                ツバメ・・・。

               もうちょっと、近くまで行くか?

                あ、うん。

               ( 手をつないだ )

                あっ、今の花火・・・凄く綺麗だったョ・・・見た?

                ん?
                あぁ・・・。
                でも・・・ の笑顔の方が・・・もっと綺麗だョ・・・。

                えっ?
                ツバメ・・・お客様接待してたから、おせいじ上手になっちゃったんだね〜。

                におせいじ言って、どーすんだョ。

                ・・・まぁ、そうだけど・・・。

               素直に受け取れョ、こんな事・・・滅多に言わないぜ。

                ・・・うん・・・。


               あのさぁ〜・・・

                ん?
             
               今日は、こうやって変更できたけど・・・
               きっと・・・どうにもならない時の方が多いと思うんだョ・・・。

                うん。
    
               本当にすまないと思ってる・・・。

                そんな事ないョ、仕事だもん。

               でも・・・文句言ってくれた方が・・・嬉しいんだョ・・・。

                えっ?

               だってさぁ〜・・・
               すぐに「分かった」とか言われちゃうと・・・
               別に、会いたくないのかなぁ〜とか思っちゃうだろ〜・・・。

                そんなつもりないョー・・・。

               あぁ・・・分かってるョ・・・。
               でも・・・ の文句って・・・可愛いし・・・
               俺、全然嫌じゃないから・・・。

                ・・・うん。
  
               逆に、ずっと我慢してて・・・本当に、どうでもよくなられちゃったら・・・
               そっちの方が嫌だからさぁ〜・・・。

                うん・・・、分かった・・・。
                でも、そんな事言って・・・後で後悔するかもョ。

               いいョ。
                の本心だろ、すべてちゃんと受け取るョ。
               でも・・・聞き分けなかったら、俺も怒るぜ。

                うん。

               

               あっ、今の花火・・・ハート形だったぜ。

                えっ?
                嘘・・・見てないョ・・・。

               花火大会に来て、何処見てんだョ。

                だって・・・この向きじゃ、花火は私の背中に上がるでしょ・・・。

                が勝手にそっち側行ったんじゃねーか。
               俺の隣にいれば良かったのに。

                だって・・・向き合った方が、話しやすかったから・・・。

               冗談だョ。
               また上がるから、早くこっち来いョ。

                うん。

               でも・・・今日は一緒に花火見れて、良かったョ。

                うん。

               花火より綺麗なものも見れたしなっ。

                えっ・・・・・・・・・・・・・・。

               また・・・来年も一緒に来ような、花火大会。

                うん。

               絶対だぞ。

                ツバメの方こそ。                                  

                          fin                                         2005,8,24 UP 

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