修兵 誕生日(前編)


                〔 九番隊 檜佐木の副官室 〕


               ( 女性隊員が押しかけて来た )


               ( コンコン )


               失礼します。
               檜佐木副隊長、明日なんですけど・・・
               檜佐木副隊長の誕生日パーティーやりますので、大丈夫ですョね。


                えっ?

               逃げられませんからねー。

                逃げられないって・・・何だョ・・・。

               もう、すべて調査済みですからねー(エヘヘ・・・
               阿散井副隊長と吉良副隊長の予定は、全部把握してあるので
               明日、約束がないのは・・・明白ですョー。
               あのお二人もお呼びしますから・・・
               大丈夫ですョね〜修兵様〜。


                俺、行かねーョ。

               えっ?
               ウソですョねー・・・。

                行かねーョ、約束がある。

               そんなはずはありません!!

                お前ら、俺の全て知ってるっていうのか?

               えっ?・・・
               そんな事ないですけど・・・。
               でも・・・
               約束って・・・どなたとですか?

                そんな事、お前らに言う必要ねーだろ。
                もう、出てってくれ。

               嫌です。
               私達だって・・・檜佐木副隊長の為に、一生懸命準備して・・・
               ・・・楽しみにしてきたんです・・・。
               檜佐木副隊長・・・約束なんてないはずなのに、酷いですョー。

                すまない・・・。
                でも・・・約束はしてあるんだ・・・明日は行けないョ・・・。

               だから、誰とですか?
               教えて下さい。

                聞いてどうするんだョ。
                そいつに意地悪しに行くんだろー?

               意地悪って・・・女なんですか?

                ・・・・・・・・・・・・・・・・・
                俺だって、好きなヤツくらいいるョ・・・。
                もういいだろ、出てってくれ。

               教えてくれたら、出ていきます。

                それは出来ねーョ。
                あいつに迷惑かかるだろ・・・。

               教えてくれないなら、私達で調べますョ。
               私達の力、みくびらないで下さいね。
               檜佐木副隊長の口から、はっきり教えていただけたら・・・
               私達も黙って引き下がります。
               でも、教えていただけないなら・・・
               やりたい様にやらせてもらいますけど、いいですョね。

                危害加えるってーのか?
                お前ら、
                副隊長に向かってそんな口利いたらどーなるのか、分かってんだろーなー。

               分かってます。
               でも・・・私達だって・・・檜佐木副隊長が好きで・・・
               こんな時にしか、お傍にいられないから・・・。

               命でも何でも賭けます。


                名前言えば・・・何にもしないんだな。
                確約するか?

               はい、絶対に。

                でも・・・勘違いすんなョな・・・。
                別に・・・付き合ってる訳じゃねーんだ・・・。
                ただ・・・俺が一方的に・・・好きなだけだから・・・。
                          ・
                          ・
                          ・

                本当は・・・約束なんてしてねーんだ・・・。
                それどころか・・・話した事さえねーのに・・・。

                でも・・・パーティーなんて出たくねー・・・そんな気分じゃないんだ・・・。
                名前・・・出しちまって・・・すまねぇなぁ〜・・・。
                とりあえず・・・謝りに行ってくっか・・・。
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・

               〔 十四番隊医療所 〕

               ( 修兵がドアを開け・・・ )


                すいません、 副隊長いらっしゃいますか?

                あ、はい。
                今行きますので、ちょっとお待ち下さい。



                お待たせしました。
                どこかお怪我でも?

                あ、いいえ・・・。
                ちょっとお話があるんですが・・・よろしいでしょうか?
                私、九番隊副隊長、檜佐木修兵 と申します。

                ・・・はい。
                あのー・・・ここでよろしいんでしょうか?

                出来れば、人がいない所がいいんですけど・・・。

                では、こちらにどーぞ。
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・

               ( 修兵は頭を下げて )
                すいません・・・。
                俺・・・もしかしたらあなたに迷惑かけちゃうかもしれないんです・・・。

                えっ?

               ( 向き直り )
                あ・・・俺、恋次と仲良くて・・・
                あなたの事は・・・恋次からいつも聞かされてるんで・・・。

                あー・・・そうなんですか。
                きっと・・・
                ( おもいっきり笑顔で )
                酷い言われ方されてるんでしょーね〜。
                まぁ、本当の事だから・・・いいんですけどね〜。

                いえ、そんな事ありませんョ。
                あいつ・・・あなたに・・・(心底惚れてますから・・・)

                あのー・・・迷惑って・・・?

                あぁ・・・。
                ( 修兵は、さっきの事を素直に話した・・・
                  ただ一点、自分の気持ちは隠して・・・。 )

                すいません・・・。
                いつも恋次が言ってるもんで・・・ つい、あなたの名前が浮かんでしまって・・・

                ( 違う・・・今の俺は・・・あなたの事しか頭にないんだ・・・ )


                (  が笑顔を向けて )
                光栄ですねー。
                私なんかの名前出しちゃって、いいんですか?
                きっと、皆にバカにされちゃいますョー。
                あー、特に 恋次 に。


                (  の口から「恋次」と聞いた時・・・胸に大きな痛みを感じた・・・

                  そーなんだョな〜・・・この子は・・・恋次の・・・ )


                あー、そんなに心配されなくてもいいですョ。
                私、いじめられるの慣れてるし。
                最終的には「違う」ってバレちゃうでしょーけど
                明日何とか逃れられればいいんですョね〜。

                えっ?
                あ・・・はい・・・。

                えっと・・・私、どーしたらいいんでしょうか?
                ここにじっとしてればいいのかなぁ〜?
                外、ふらふらしてたら、檜佐木副隊長様と会ってないのが
                バレちゃいますもんね〜。

                えっ?・・・あ、そ・そーですね・・・。
                あ・あのー・・・明日って・・・何か用事あるんですか?

                私ですか?
                別にないですけど・・・。
                あっ、それから・・・普通に喋ってくださいね。
                丁寧じゃなくていいですから。

                はい・・・。
                あの・・・じゃあ、明日・・・会ってもらえますか?
                ( こんな事言うつもりじゃなかった・・・ただ謝るだけだったのに・・・ )

                えっ?
                えっと・・・会うって・・・。

                あぁ・・・ダメですョね〜・・・すいません、いいんです。

                あ、いえ・・・別にかまいませんけど・・・。
                でも・・・折角のお誕生日に・・・やっと逃げたのに私と一緒じゃ・・・
                パーティーの方がかえっていいんじゃありませんか?


                ( 修兵は覚悟を決めた )

                ( 出来れば、恋次には知られたくねーけど・・・。
                  でも・・・1年に1度の誕生日・・・
                  俺らみたいに、戦ってばかりのヤツなんて・・・
                  いつ死ぬかわからねーんだ・・・。
                  誕生日・・・好きな女といられるんなら・・・
                  たとえ、アイツ(恋次)に殺られてもいいじゃねーか )


                じゃあ・・・俺がここに来ます。
                いいですか?

                えっ? あ、はい。
                でも・・・ここって・・・何にもないですョ・・・。
                用意するって言っても・・・私達、基本的にあまり出歩かないんで・・・
                大した事出来ませんし・・・。

                あぁ、別になにもいりませんョ。
                 副隊長がいてくれれば、それだけでいいですから。

                ・・・はぁ・・・。
                あ、あのー・・・ でいいですョ。

                えっ?
                あー・・・ ・・・ですか・・・。
                あっ、じゃあ・・・俺の事は「修兵」って呼んで下さい。

                えっ?

                恋次の事は恋次って呼んでるでしょ〜・・・
                だから、俺の事も「修兵」で・・・。

                はぁ・・・。

                出来れば、俺も名前で呼びたいけど・・・
               (心の中で思ったはずの言葉が・・・無意識に出て来ていた・・・ )

                あ、別にかまいませんけど・・・。

                えっ?

                えっ?・・・あ・・・あの、名前でもかまいませんけど・・・。

                お・俺・・・。

                ・・・どーかされましたか?

                あー、いえ・・・。
                いいんですか? 名前で呼んでも?

                はい・・・別に・・・。

                呼び捨てでも?

                はい・・・「さん」とかつけていただくようなタイプじゃありませんから私。

                それで・・・
                あのー・・・明日会うって事は・・・
                出来れば恋次には、言わないでもらえますか?
                あー、バレた時はバレた時で、俺が責任とりますから・・・。

                責任?

                はぁ・・・、まぁ一応俺・・・男同士のルール破るんで・・・。
                 ・・・には関係ない事ですけど・・・。

                はぁ・・・。

                じゃあ、今日はこれで・・・。
                明日・・・来るから・・・。
                ありがと〜。

                あ、いいえ〜・・・。
                すいません・・・何のお構いもしませんで・・・。
                多分・・・明日も・・・。

                あぁ、いいって。
                会えればそれで・・・じゃあー。

                はい・・・。
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・
                          ・

               ( 夜・・・恋次が訪ねて来た )

                どーしたの?
                怪我でもした?

               お前なぁ〜、俺が来るたび、怪我したか?って聞くなョ。
               俺、そんなに弱くねーぜ。

                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


               ( 恋次が の頭に手を置き )
               心配してくれてんなら、嬉しいョ。


                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


               どーしたんだョ・・・。

                えっ? 何が?

               いつもなら「心配なんてしてない」とか何とか言うだろーが。


                ( 恋次に会うまでは・・・何とも思わなかった・・・
                  明日・・・恋次以外のヒト(男性)と会う・・・。
                  鳳君とは・・・たまに会う事もあるけど・・・
                  別にオープンだし・・・恋次も知ってる・・・。
                  でも・・・
                  「恋次には言わないでくれ」って・・・。
                  まぁ、恋次の友達だし・・・
                  「会う」って言っても、ただ会うだけなんだけど・・・。
                  でも・・・
                  何故か・・・心が重い・・・ )


               どーしたんだョ。
               気分でも悪いのか?
               顔色は、悪くねーみてーだけど・・・。

                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
                ( 言葉が・・・出ない・・・。
                  恋次に隠し事するなんて・・・考えられないから・・・ )


               ( 恋次が心配そうな顔で、じっと見つめている・・・ )


               大丈夫か?

                うん・・・。

               今日は帰るョ・・・。
               お前・・・早く寝た方がいいみてーだからな・・・。


               ( 恋次が後ろを向いて、去ろうとした時・・・ 

                  が恋次の右手を、両手で掴んだ・・・ )


                ・・・。
               どーした? 何かあったのか?

                ううん・・・、何にもないョ。
                何かなきゃダメなの?
                前に・・・わざとでもいいって・・・言ってくれたでしょ・・・。

               あぁ・・・まぁ・・・。
               でも、おかしいョ・・・やっぱり・・・。

                じゃあいい・・・・・・・
               

               (  が走って部屋に行ってしまった )

                ・・・。




               (  の部屋の前 )

                ・・・、入っていいか?

                ダメ!
                恋次なんて大嫌い!  
                帰って!

               全く・・・訳分かんねーヤツだなぁ〜。

                そーだョ。
                訳分かんねーヤツだョ・・・。
                自分でも・・・訳分かんないもん・・・。

               入るぞ。


               お前・・・泣いてんのか?

                泣いてなんてないもん・・・。

               どーしたんだョ。
               話せョ。
               話すまで帰らねーからな。



                バカ


               ( 恋次はただ黙って を見つめている )


                恋次のバカ




               で、その後は何だョ。


                ・・・・・・・・・・・・・・・・・。


               お前泣かせたヤツ、誰だョ。
               鳳か?
               今から行って、叩き切ってやるョ。
   
                ち・違うョ・・・。

               違うって事は、誰かいるんだョなー、お前泣かせたヤツが!
               言えョ。
               そいつ許さねーから!


                れんじ・・・
                あ・あのね・・・
                別に誰かに泣かされた訳じゃないの・・・。
                自分で勝手に泣いただけだから・・・。

               バカ言ってんじゃねーョ。
               誰だョ!
               早く言えョ!!



                ( 恋次・・・凄く怖い・・・こんな恋次見たの初めて・・・
                  修兵が「恋次に言わないでくれ」って言った意味が・・・
                  なんとなく、分かった気がした・・・。 )


                ( 絶対言えない・・・言っちゃいけないんだ・・・ )

                れんじ・・・
                本当に誰かに泣かされたんじゃないの・・・。
                「違う」って言ったのは、鳳君じゃないからそう言っただけで・・・
                だから・・・
                そんなに怒んないで・・・怖いョ・・・。

               一人で泣くにしたって、きっかけ作ったヤツがいんだろ。
               いいから、そいつの名前言えョ!
               俺が始末してきてやる。

                恋次・・・何て事言うの?
                始末って・・・。
                そんなに簡単に殺めていいの?
                そんな恋次・・・本当に嫌いだョ・・・。

               あぁ、嫌いでいいョ。
               お前どー思ってっかしんねーけど
               俺ら皆、相手殺ってなんぼの世界に生きてんだぜ。
               そりゃぁ相手はホロウや悪人で、善良なヤツ殺る訳じゃねぇけど
               でも・・・誰と戦おうと、殺るって事は一緒だ。
               殺らなきゃ殺られるんだ・・・。
               そんな世界だから、おまえらみたいのがかき集められてきたんだろ。

                れんじ・・・。

               自分の命賭けてもいーって思ったヤツ泣かされて、黙ってられるほど
               俺は腰抜けじゃねーョ。
               お前は怖いって言ったけど・・・
               これが俺の本来の姿だ。


                何で・・・こんな話しになっちゃったんだろ〜・・・。
                私がいけなかったんだョね・・・。
                切りたいなら私を切りなョ。
                そしたら気が済むでしょ・・・。


               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


                だってそーでしょ〜・・・。
                私を泣かしたヤツを切りたいんでしょ・・・。
                じゃあ、自分で泣いたんだから、私を切るしかないじゃない・・・。
                いいョ。
                こんな命惜しくない。

               「ビシッ」(恋次が引っ叩いた)

               そんな事、2度と言うな!


               嫌われちゃしょーがねーョな。
               諦めもつくってもんだ・・・。
               約束したから、お前の事は何があっても守ってやるョ。
               でも・・・もう、こうやって会う事はねーな。
               じゃあな。

               ( 恋次が静かに部屋を出ていった )


                何で・・・・・・
                れんじ・・・・・・・
                本当に私を泣かせてるのって・・・恋次じゃない・・・・・・・・

                ( 止めどなく溢れ出る涙・・・悲しくて・・・悲しくて・・・ )

                                                            To be continued         2005,8,11   up

              あとがき
              8月14日、修兵誕生日です☆
              好きなキャラ、2人が同じ月だなんて・・・
              迷いましたが、修兵も絡ませたくなって
              書いてみました。

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